2018年6月12日火曜日

6.社会的情動:共感、当惑、恥、罪悪感、プライド、嫉妬、羨望、感謝、賞賛、憤り、軽蔑(アントニオ・ダマシオ(1944-))

社会的情動

【社会的情動:共感、当惑、恥、罪悪感、プライド、嫉妬、羨望、感謝、賞賛、憤り、軽蔑(アントニオ・ダマシオ(1944-))】
社会的情動
《例》共感、当惑、恥、罪悪感、プライド、嫉妬、羨望、感謝、賞賛、憤り、軽蔑

《ホメオスタシス機構の入れ子構造の例》
「軽蔑」という社会的情動
 「嫌悪」という基本的情動
  毒性の食物を自動的に嘔吐出すことと結びついて進化した情動

 「〈社会的情動〉には、共感、当惑、恥、罪悪感、プライド、嫉妬、羨望、感謝、賞賛、憤り、軽蔑、などがある。

入れ子の原理はこの社会的情動にも当てはまる。一次の情動の中にある要素とともに一連の調節反応が、社会的情動の下部要素として、さまざまな組み合わせで存在するのを見て取れる。下の階層の要素が入れ子的に組み込まれているのは明白だ。

たとえば、「軽蔑」という社会的情動には「嫌悪」の顔の表情を見て取れる。嫌悪は、毒性の食物を自動的に嘔吐出すことと結びついて進化した一次の情動である。さらに、軽蔑や道徳的な怒りの状態を説明するためにわれわれが使う言葉さえ――われわれはよく「嫌悪をもよおす」などと言う――その入れ子を中心にめぐっている。

苦と快の要素も、一次の情動の場合よりはわかりにくいが、社会的情動の表面下に歴然と存在している。」

(アントニオ・ダマシオ(1944-)『スピノザを探し求めて』(日本語名『感じる脳 情動と感情の脳科学 よみがえるスピノザ』)第2章 欲求と情動について、pp.72-73、ダイヤモンド社(2005)、田中三彦(訳))
(索引:社会的情動)

感じる脳 情動と感情の脳科学 よみがえるスピノザ


(出典:wikipedia
アントニオ・ダマシオ(1944-)の命題集(Collection of propositions of great philosophers)  「もし社会的情動とその後の感情が存在しなかったら、たとえ他の知的能力は影響されないという非現実的な仮定を立てても、倫理的行動、宗教的信条、法、正義、政治組織といった文化的構築物は出現していなかったか、まったく別の種類の知的構築物になっていたかのいずれかだろう。が、少し付言しておきたい。私は情動と感情だけがそうした文化的構築物を出現させているなどと言おうとしているのではない。第一に、そうした文化的構築物の出現を可能にしていると思われる神経生物学的傾性には、情動と感情だけでなく、人間が複雑な自伝を構築するのを可能にしている大容量の個人的記憶、そして、感情と自己と外的事象の密接な相互関係を可能にしている延長意識のプロセスがある。第二に、倫理、宗教、法律、正義の誕生に対する単純な神経生物学的解釈にはほとんど望みがもてない。あえて言うなら、将来の解釈においては神経生物学が重要な役割を果たすだろう。しかし、こうした文化的現象を十分に理解するには、人間学、社会学、精神分析学、進化心理学などからの概念と、倫理、法律、宗教という分野における研究で得られた知見を考慮に入れる必要がある。実際、興味深い解釈を生み出す可能性がもっとも高いのは、これらすべての学問分野と神経生物学の〈双方〉から得られた統合的知識にもとづいて仮説を検証しようとする新しい種類の研究だ。」
(アントニオ・ダマシオ(1944-)『スピノザを探し求めて』(日本語名『感じる脳 情動と感情の脳科学 よみがえるスピノザ』)第4章 感情の存在理由、pp.209-210、ダイヤモンド社(2005)、田中三彦(訳))

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基本的情動:《例》恐れ、怒り、嫌悪、驚き、悲しみ、喜び。様々な文化や、人間以外の種においても、共通した特徴が見られる。(アントニオ・ダマシオ(1944-))

基本的情動

【基本的情動:《例》恐れ、怒り、嫌悪、驚き、悲しみ、喜び。様々な文化や、人間以外の種においても、共通した特徴が見られる。(アントニオ・ダマシオ(1944-))】
基本的情動
《例》恐れ、怒り、嫌悪、驚き、悲しみ、喜び
《特徴》情動をもたらす状況や、情動を特徴づける行動パターンに関して、様々な文化や、また人間以外の種においても、共通した一貫性が観察される。

 「〈一次の〉〈あるいは基本的な〉情動はもっと定義しやすい。なぜなら、いくつかの顕著な情動をこのグループにひとまとめにする確立された伝統があるからだ。よく列挙されるものには、恐れ、怒り、嫌悪、驚き、悲しみ、喜び、がある。これらは情動という言葉が使われると、まず頭に浮ぶものだ。それらが中心に位置づけられているのには、しかるべき理由がある。これらの情動はさまざまな文化の人間に、そして人間以外の種に、容易に見て取れるからだ。また、これらの情動をもたらす状況も、これらの情動を定義づける行動のパターンにも、文化や種をとおして一貫性が見られる。当然、情動の神経生物学に関してわれわれが知っていることのほとんどは、一次の情動の研究からきている。」
(アントニオ・ダマシオ(1944-)『スピノザを探し求めて』(日本語名『感じる脳 情動と感情の脳科学 よみがえるスピノザ』)第2章 欲求と情動について、p.72、ダイヤモンド社(2005)、田中三彦(訳))
(索引:基本的情動)

感じる脳 情動と感情の脳科学 よみがえるスピノザ


(出典:wikipedia
アントニオ・ダマシオ(1944-)の命題集(Collection of propositions of great philosophers)  「もし社会的情動とその後の感情が存在しなかったら、たとえ他の知的能力は影響されないという非現実的な仮定を立てても、倫理的行動、宗教的信条、法、正義、政治組織といった文化的構築物は出現していなかったか、まったく別の種類の知的構築物になっていたかのいずれかだろう。が、少し付言しておきたい。私は情動と感情だけがそうした文化的構築物を出現させているなどと言おうとしているのではない。第一に、そうした文化的構築物の出現を可能にしていると思われる神経生物学的傾性には、情動と感情だけでなく、人間が複雑な自伝を構築するのを可能にしている大容量の個人的記憶、そして、感情と自己と外的事象の密接な相互関係を可能にしている延長意識のプロセスがある。第二に、倫理、宗教、法律、正義の誕生に対する単純な神経生物学的解釈にはほとんど望みがもてない。あえて言うなら、将来の解釈においては神経生物学が重要な役割を果たすだろう。しかし、こうした文化的現象を十分に理解するには、人間学、社会学、精神分析学、進化心理学などからの概念と、倫理、法律、宗教という分野における研究で得られた知見を考慮に入れる必要がある。実際、興味深い解釈を生み出す可能性がもっとも高いのは、これらすべての学問分野と神経生物学の〈双方〉から得られた統合的知識にもとづいて仮説を検証しようとする新しい種類の研究だ。」
(アントニオ・ダマシオ(1944-)『スピノザを探し求めて』(日本語名『感じる脳 情動と感情の脳科学 よみがえるスピノザ』)第4章 感情の存在理由、pp.209-210、ダイヤモンド社(2005)、田中三彦(訳))

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4.狭義の情動の一つに「背景的情動」がある。エネルギーや熱意、わずかな不快、興奮、いらいら、落ち着き。四肢や体全体の動きの状態、顔の表情、声の中にある調べ、韻律によって知られる。(アントニオ・ダマシオ(1944-))

狭義の情動の一つ:背景的情動

【狭義の情動の一つに「背景的情動」がある。エネルギーや熱意、わずかな不快、興奮、いらいら、落ち着き。四肢や体全体の動きの状態、顔の表情、声の中にある調べ、韻律によって知られる。(アントニオ・ダマシオ(1944-))】
背景的情動
《例》エネルギーや熱意、わずかな不快、興奮、いらいら、落ち着き
《外部への現れ》四肢や体全体の動きの状態、顔の表情、声の中にある調べ、韻律

 「背景的情動はひじょうに重要だが、この言葉が暗示するように、それは人の行動においてとくに顕著ではない。だから、読者もこれまでそれにあまり注意を払ってこなかったかもしれないが、もしあなたがいま会ったばかりの人間にエネルギーや熱意を正確に見いだすような人なら、あるいは友人や同僚にわずかな不快や興奮、いらいらや落ち着きを見て取るような人なら、たぶんあなたは背景的情動をうまく読み取る人だ。

そしてもしそういうことなら、相手が一言も発しないうちに、相手をいろいろ診断してしまうだろう。まず、四肢や体全体の動きの状態を見定める。どれほどしっかりしているか、どれほど正確か、どれほどゆとりがあるか。あなたは顔の表情も観察する。また言葉が発せられても、あなたはただその言葉を聞いて辞書的な意味を思い描くわけではない。その声の中にある調べ、韻律に耳を傾ける。」
(アントニオ・ダマシオ(1944-)『スピノザを探し求めて』(日本語名『感じる脳 情動と感情の脳科学 よみがえるスピノザ』)第2章 欲求と情動について、pp.70-71、ダイヤモンド社(2005)、田中三彦(訳))
(索引:背景的情動)

感じる脳 情動と感情の脳科学 よみがえるスピノザ


(出典:wikipedia
アントニオ・ダマシオ(1944-)の命題集(Collection of propositions of great philosophers)  「もし社会的情動とその後の感情が存在しなかったら、たとえ他の知的能力は影響されないという非現実的な仮定を立てても、倫理的行動、宗教的信条、法、正義、政治組織といった文化的構築物は出現していなかったか、まったく別の種類の知的構築物になっていたかのいずれかだろう。が、少し付言しておきたい。私は情動と感情だけがそうした文化的構築物を出現させているなどと言おうとしているのではない。第一に、そうした文化的構築物の出現を可能にしていると思われる神経生物学的傾性には、情動と感情だけでなく、人間が複雑な自伝を構築するのを可能にしている大容量の個人的記憶、そして、感情と自己と外的事象の密接な相互関係を可能にしている延長意識のプロセスがある。第二に、倫理、宗教、法律、正義の誕生に対する単純な神経生物学的解釈にはほとんど望みがもてない。あえて言うなら、将来の解釈においては神経生物学が重要な役割を果たすだろう。しかし、こうした文化的現象を十分に理解するには、人間学、社会学、精神分析学、進化心理学などからの概念と、倫理、法律、宗教という分野における研究で得られた知見を考慮に入れる必要がある。実際、興味深い解釈を生み出す可能性がもっとも高いのは、これらすべての学問分野と神経生物学の〈双方〉から得られた統合的知識にもとづいて仮説を検証しようとする新しい種類の研究だ。」
(アントニオ・ダマシオ(1944-)『スピノザを探し求めて』(日本語名『感じる脳 情動と感情の脳科学 よみがえるスピノザ』)第4章 感情の存在理由、pp.209-210、ダイヤモンド社(2005)、田中三彦(訳))

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