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2018年6月11日月曜日

仮に、宇宙の別の場所か別の時に、この地球と全ての人々のコピーが存在したとしても、それは別の個体であり、異なる実体である。二つの完備な項は、決して相似にはならない。(ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716))

個体

【仮に、宇宙の別の場所か別の時に、この地球と全ての人々のコピーが存在したとしても、それは別の個体であり、異なる実体である。二つの完備な項は、決して相似にはならない。(ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716))】
問い:宇宙の別の場所か別の時に、私たちが住んでいるこの地球と見た目には少しも違わない天体があり、そこに住んでいる人間の各々は、それに対応する私たちの各々と見た目には少しも違わないとしよう。この場合、その人格ないし自我については同一なのか、それとも二つなのか。
答え:それは、別の個体である。実在的に異なる実体である。別の場所か別の時というだけで、別の実体である。一時的に似ているということは、あるかもしれない。しかし、実体として異なる以上、差異は「機が熟せば姿を現わす」はずである。
(再掲)
完備な項の相似:このような場合は、恐らく起らない。何故ならば、二つの完備なものは決して相似ではないからである。

 「次に挙げるのはさらにいっそうふさわしい別の仮定です。すなわち、宇宙の別の場所か別の時に、私たちが住んでいるこの地球と見た目には少しも違わない天体があり、そこに住んでいる人間の各々は、それに対応する私たちの各々と見た目には少しも違わないことがありうる、という仮定です。かくて、同時に一億組以上の似かよった人物、つまり同一の現われと意識とをもった二人の人物の組があることになります。そして神は、精神だけであれ身体を伴ってであれ、精神が気づかぬうちにそれらを一方の天体から他方の天体へ転移させることができましょう。しかし、それら精神が転移されるにせよそのまま留めおかれるにせよ、その人格ないし自我について、あなたの側の著者たちによればどんな発言がなされるでしょうか。これらの天体の人々の意識や内的・外的な現われは区別できない以上、それらは二つの人格なのでしょうか、それとも同一人格なのでしょうか。確かに、神と諸精神なら、それも時間・場所の外的な隔たりや連関のみならず、二つの天体の人々には感覚できない内的な構成にさえ気づきうる諸精神であるならば、それらも識別できようというもの。けれども、あなた方の仮説によれば、ただ意志性だけが人物を識別するのであって、実体の実在的な同一性ないし差異性とか、他の人たちに現われるものさえ気にかける必要がないということです。ですから、似てはいるが言語に絶するほど互に隔たったそれら二つの天体に同時にいる二人の人物は、唯一人の同じ人物である、となぜ言えないのでしょうか。でもそれは明白な不合理です。自然的に発生しうる事柄について付言すれば、似かよった二つの天体と、その二つの天体にいる似かよった二つの魂は、一時的に似かよっているだけでしょう。なぜなら、個体的な差異がある以上、この差異は少なくとも非可感的な構成に存するのでなければならず、そうした構成は機が熟せば姿を現わすはずだからです。」
(ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716)『人間知性新論』第二部・第二七章[二三]、ライプニッツ著作集4、pp.296-297、[谷川多佳子・福島清紀・岡部英男・1993])
(索引:個体)

認識論『人間知性新論』 (ライプニッツ著作集)


(出典:wikipedia
ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716)の命題集(Collection of propositions of great philosophers)  「すべての実体は一つの全たき世界のようなもの、神をうつす鏡もしくは全宇宙をうつす鏡のようなものである。実体はそれぞれ自分の流儀に従って宇宙を表出するが、それはちょうど、同一の都市がそれを眺める人の位置が違っているのに応じて、さまざまに表現されるようなものである。そこでいわば、宇宙は存在している実体の数だけ倍増化され、神の栄光も同様に、神のわざについてお互いに異なっている表現の数だけ倍増化されることになる。また、どの実体も神の無限な知恵と全能という特性をいくぶんか具えており、できる限り神を模倣している、とさえ言える。というのは、実体はたとえ混雑していても、過去、現在、未来における宇宙の出来事のすべてを表出しており、このことは無限の表象ないしは無限の認識にいささか似ているからである。ところで、他のすべての実体もそれなりにこの実体を表出し、これに適応しているので、この実体は創造者の全能を模倣して、他のすべての実体に自分の力を及ぼしていると言うことができる。」
(ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716)『形而上学叙説』九、ライプニッツ著作集8、pp.155-156、[西谷裕作・1990])

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