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2018年8月27日月曜日

量子力学の法則と、観測結果とを結びつける明確な理解に、私たちは未だ到達していない。観測過程を客観的な時間発展の結果として記述できるような法則の解明には、私たちの意識の理解が関わっていると思われる。(ロジャー・ペンローズ(1931-))

量子力学と意識

【量子力学の法則と、観測結果とを結びつける明確な理解に、私たちは未だ到達していない。観測過程を客観的な時間発展の結果として記述できるような法則の解明には、私たちの意識の理解が関わっていると思われる。(ロジャー・ペンローズ(1931-))】

1.(U)波動関数の時間発展(シュレーディンガー方程式)
 量子的コヒーレントな重ね合わせ。収縮は起こらない。
2.(R、SR)収縮、主観的収縮
 通常の量子力学(コペンハーゲン解釈)。環境との巻き込み観測。意識を持つ観測者による観測。
3.(OR)客観的収縮
 新しい物理学(Penrose 1994)。自己収縮。量子重力によって引き起こされる(Penrose,Doisi他)。
4.(Orch OR)調節された客観的収縮
 意識(この論文)。自己収縮。マイクロチューブルにおける量子重力的しきい値がMAPsなどによって調節される。

 「現在の物理学は、なぜ、どのようにして波動関数の収縮「R」が起こるのかを明確に説明することができないと断言してよいだろう。1930年代を通して、実験的あるいは理論的な証拠に基づく物理学者たち(たとえば、シュレーディンガー、ディラック、フォン・ノイマンその他)の考えは、量子力学におけるコヒーレントな重ね合わせは、時間的にはいつまでも続きうるというものだった。したがって、原理的には、ミクロなスケールからマクロのスケールまで重ね合わせが維持されうると考えられた。あるいは、意識を持つ観測者によって観測が行なわれ、その結果波動関数が収縮するまで、重ね合わせは維持されると考えられた。このような波動関数の収縮を、主観的収縮、「SR」(subjective reduction)と呼ぼう。「RS」の考え方によれば、マクロな物体でさえ、もし観測されないまま放っておかれれば、重ね合わせの状態のままでいることになる。このような考えがいかに馬鹿げているかを示すために、エルヴィン・シュレーディンガーは、有名な「シュレーディンガーの猫」の思考実験を提出した。つまり、観測者が箱を開けて見るまで、中の猫は死んでいる状態と生きている状態の重ね合わせ状態にとどまっているという常識では受け入れがたい結論だ。
 このような困った状況を避けるために、客観的な基準による波動関数の収縮(客観的収縮、「OR」)のメカニズムが最近になって提案されている。このようなメカニズムに基づくと、重ね合わせられた状態は、時間発展して、やがてしきい値に達し、そこで波動関数の収縮、すなわち「OR」が、急速に起こる。これらのメカニズムのうちのいくつかは、重力の効果が「OR」を引き起こすとしている。」

(以下、p.139の図1(波動関数の収縮メカニズムの分類)を元に、意味を変えずに記載し直してある。)
1.(U)波動関数の時間発展(シュレーディンガー方程式)
 量子的コヒーレントな重ね合わせ。収縮は起こらない。
2.(R、SR)収縮、主観的収縮
 通常の量子力学(コペンハーゲン解釈)。環境との巻き込み観測。意識を持つ観測者による観測。
3.(OR)客観的収縮
 新しい物理学(Penrose 1994)。自己収縮。量子重力によって引き起こされる(Penrose,Doisi他)。
4.(Orch OR)調節された客観的収縮
 意識(この論文)。自己収縮。マイクロチューブルにおける量子重力的しきい値がMAPsなどによって調節される。
(ロジャー・ペンローズ(1931-),『影への疑念を超えて』(日本語名『ペンローズの量子脳理論』),意識は、マイクロチューブルにおける波動関数の収縮として起こる,2 時間と空間:量子力学とアインシュタインの重力理論,徳間書店(1997),pp.137-139,茂木健一郎(訳))
(索引:量子力学,意識,観測,主観的収縮,客観的収縮)

ペンローズの量子脳理論―21世紀を動かす心とコンピュータのサイエンス (Naturaーeye science)


(出典:wikipedia
ロジャー・ペンローズ(1931-)の命題集(Collection of propositions of great philosophers)  「さらには、こうしたことがらを人間が理解する可能性があるというそのこと自体が、意識がわれわれにもたらしてくれる能力について何らかのことを語っているのだ。」(中略)「「自然」の働きとの一体性は、潜在的にはわれわれすべての中に存在しており、いかなるレヴェルにおいてであれ、われわれが意識的に理解し感じるという能力を発動するとき、その姿を現すのである。意識を備えたわれわれの脳は、いずれも、精緻な物理的構成要素で織り上げられたものであり、数学に支えられたこの宇宙の深淵な組織をわれわれが利用するのを可能ならしめている――だからこそ、われわれは、プラトン的な「理解」という能力を介して、この宇宙がさまざまなレヴェルでどのように振る舞っているかを直接知ることができるのだ。
 これらは重大な問題であり、われわれはまだその説明からはほど遠いところにいる。これらの世界《すべて》を相互に結びつける性質の役割が明らかにならないかぎり明白な答えは現れてこないだろう、と私は主張する。これらの問題は互いに切り離し、個々に解決することはできないだろう。私は、三つの世界とそれらを互いに関連づけるミステリーを言ってきた。だが、三つの世界ではなく、《一つの》世界であることに疑いはない。その真の性質を現在のわれわれは垣間見ることさえできないのである。」

    プラトン的
    /世界\
   /    \
  3      1
 /        \
心的───2────物理的
世界         世界


(ロジャー・ペンローズ(1931-),『心の影』,第2部 心を理解するのにどんな新しい物理学が必要なのか,8 含意は?,8.7 三つの世界と三つのミステリー,みすず書房(2001),(2),pp.235-236,林一(訳))

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