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2018年6月15日金曜日

11.外的に向けられた感覚ポータルマップとは?(アントニオ・ダマシオ(1944-)

外的に向けられた感覚ポータルマップ

【外的に向けられた感覚ポータルマップとは?(アントニオ・ダマシオ(1944-)】
外的に向けられた感覚ポータルマップ
《知覚の種類》視覚、聴覚、嗅覚、味覚、平衡覚の〈特殊感覚〉と、マスター生命体マップの一部である目、耳、鼻、舌を収めている身体領域とその動きの知覚。
《例》視覚であれば、目を動かす眼筋、レンズや瞳孔の直径を調節する仕組み、目のまわりの筋肉、まばたきしたり、笑いを表現したりするための筋肉など。
《特徴》
(a)〈特殊感覚〉が、心の「質的」な側面を構築する。
(b)〈特殊感覚〉が、マスター生命体マップのどの身体領域から受け取っているのかを知り、身体領域を調節して視点を構築する。

 「感覚ポータルについては第4章で、感覚プローブ――ダイヤモンド――がはめこまれている補強枠の話をすることで間接的に触れた。ここではそれを自己に奉仕するものとして描こう。身体内の各種感覚ポータル――たとえば目、耳、舌、鼻を収めている身体領域――の表現は、マスター生命体マップの別個で特殊な事例だ。感覚ポータルマップがマスター生命体マップの枠組みにおさまるのは、マスター感情システムがそこにおさまるのと同じで、実際のマップの移転よりはむしろ時間的な調整によって起こるのだと思う。こうしたマップの一部がずばりどこにあるのか、というのが、いま検討したいことだ。
 感覚ポータルマップは二重の役目を果たす。まずは視点を構築すること(意識においては大きな側面となる)および心の質的な側面の構築だ。物体の認識について興味深い側面の一つは、その物体を記述する心的なコンテンツと、その知覚を行っている身体部分に対応する心的コンテンツとの間に構築される、見事な関係性だ。見るのは目で行うことは知っているが、《自分が自分の目で見ていることも感じられる》。」(中略)

「視覚の場合、感覚ポータルに含まれるのは目を動かす眼筋だけでなく、レンズの大きさを調整することでモノに焦点をあわせる仕組みのすべて、瞳孔の直径を増減することで、光量を変える装置(目のカメラシャッター)、そして目のまわりの筋肉、顔をしかめたりまばたきしたり、笑いを表現したりするための筋肉などもある。目の動きやまばたきは、自分の視覚イメージの操作に重要な役割を果たすし、驚異的なことだがフィルムイメージの有効で現実味ある編集にも一役買っている。」
(アントニオ・ダマシオ(1944-)『自己が心にやってくる』第3部 意識を持つ、第8章 意識ある心を作る、pp.234-236、早川書房 (2013)、山形浩生(訳))
(索引:感覚ポータルマップ)

自己が心にやってくる


(出典:wikipedia
アントニオ・ダマシオ(1944-)の命題集(Collection of propositions of great philosophers)  「もし社会的情動とその後の感情が存在しなかったら、たとえ他の知的能力は影響されないという非現実的な仮定を立てても、倫理的行動、宗教的信条、法、正義、政治組織といった文化的構築物は出現していなかったか、まったく別の種類の知的構築物になっていたかのいずれかだろう。が、少し付言しておきたい。私は情動と感情だけがそうした文化的構築物を出現させているなどと言おうとしているのではない。第一に、そうした文化的構築物の出現を可能にしていると思われる神経生物学的傾性には、情動と感情だけでなく、人間が複雑な自伝を構築するのを可能にしている大容量の個人的記憶、そして、感情と自己と外的事象の密接な相互関係を可能にしている延長意識のプロセスがある。第二に、倫理、宗教、法律、正義の誕生に対する単純な神経生物学的解釈にはほとんど望みがもてない。あえて言うなら、将来の解釈においては神経生物学が重要な役割を果たすだろう。しかし、こうした文化的現象を十分に理解するには、人間学、社会学、精神分析学、進化心理学などからの概念と、倫理、法律、宗教という分野における研究で得られた知見を考慮に入れる必要がある。実際、興味深い解釈を生み出す可能性がもっとも高いのは、これらすべての学問分野と神経生物学の〈双方〉から得られた統合的知識にもとづいて仮説を検証しようとする新しい種類の研究だ。」
(アントニオ・ダマシオ(1944-)『スピノザを探し求めて』(日本語名『感じる脳 情動と感情の脳科学 よみがえるスピノザ』)第4章 感情の存在理由、pp.209-210、ダイヤモンド社(2005)、田中三彦(訳))

アントニオ・ダマシオ(1944-)
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