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2018年8月14日火曜日

疑問:アウェアネスに必要な0.5秒間の活動持続時間というのは、単にある事象の短期記憶を生み出すのにかかる時間を反映しているだけではないか。(ベンジャミン・リベット(1916-2007))

短期記憶と意識

【疑問:アウェアネスに必要な0.5秒間の活動持続時間というのは、単にある事象の短期記憶を生み出すのにかかる時間を反映しているだけではないか。(ベンジャミン・リベット(1916-2007))】

(a)明らかに、被験者がそのアウェアネスを想起し報告するには、ある程度の短期記憶の形成が起こらなければならない。

          記憶の想起と内観報告
            ↑
意識的な皮膚感覚──この感覚の短期記憶があるはず
 ↑
アウェアネスに必要な0.5秒間の活動持続時間
 ↑
単発の有効な皮膚への刺激パルス

(b)疑問:アウェアネスに必要な0.5秒間の活動持続時間というのは、単にある事象の短期記憶を生み出すのにかかる時間を反映しているだけではないか。
(c1)可能な仮説1:記憶痕跡の発生そのものが、アウェアネスの「コード」である。
(c2)可能な仮説2:ある事象のアウェアネスは遅延無しに発生するが、それが報告可能になるには、0.5秒間の長さの活性化が必要である。

 「0.5秒間の活性化の持続がアウェアネスに必要であることをどう説明するのかという問いには、また別の大きな問題があります。それは、記憶形成の果たしうる役割です。
 主観的なアウェアネスの唯一の有効な証拠とは、実際それを経験した個人のアウェアネスについての内観報告のみであることを、すでに述べました。しかし明らかに、被験者がそのアウェアネスを想起し、報告するには、ある程度の短期記憶の形成が起こらなければなりません。ついでに言えば、短期記憶、または「ワーキング」メモリーというのは、ある事象の数分後にその情報を想起するという人間の能力のために働いている記憶を指します。一度見ただけで7桁から11桁の電話番号を想起する能力が、このタイプの記憶の良い例です。さらに訓練を重ねなければ、人はその番号を数分で忘れるものです。長期記憶では、その上にさらにニューロンのプロセスが関与するおかげで、その効果が数日や数ヶ月、数年間持続します。
 学者によっては、アウェアネスに必要な0.5秒間の活動持続時間というのは、単にある事象の短期記憶を生み出すのにかかる時間を反映しているだけではないか、と主張します(リベット(1993年)におけるデネットの議論を参照)。この記憶形成が作用するとしたら、少なくとも二つのやり方があります。一つは、記憶痕跡の発生そのものが、アウェアネスの「コード」である場合です。もう一つは、ある事象のアウェアネスは意味のある遅延などまったくなしに発生するが、それが報告可能になるには、0.5秒間の長さの活性化が必要であるとう場合です。これらの選択肢のいずれについても、それを反証する実験結果があります。それについて簡単に説明します。」
(ベンジャミン・リベット(1916-2007),『マインド・タイム』,第2章 意識を伴う感覚的なアウェアネスに生じる遅延,岩波書店(2005),pp.68-69,下條信輔(訳))
(索引:短期記憶,意識)

マインド・タイム 脳と意識の時間


(出典:wikipedia
ベンジャミン・リベット(1916-2007)の命題集(Collection of propositions of great philosophers)  「こうした結果によって、行為へと至る自発的プロセスにおける、意識を伴った意志と自由意志の役割について、従来とは異なった考え方が導き出されます。私たちが得た結果を他の自発的な行為に適用してよいなら、意識を伴った自由意志は、私たちの自由で自発的な行為を起動してはいないということになります。その代わり、意識を伴う自由意志は行為の成果や行為の実際のパフォーマンスを制御することができます。この意志によって行為を進行させたり、行為が起こらないように拒否することもできます。意志プロセスから実際に運動行為が生じるように発展させることもまた、意識を伴った意志の活発な働きである可能性があります。意識を伴った意志は、自発的なプロセスの進行を活性化し、行為を促します。このような場合においては、意識を伴った意志は受動的な観察者にはとどまらないのです。
 私たちは自発的な行為を、無意識の活動が脳によって「かきたてられて」始まるものであるとみなすことができます。すると意識を伴った意志は、これらの先行活動されたもののうち、どれが行為へとつながるものなのか、または、どれが拒否や中止をして運動行動が現れなくするべきものなのかを選びます。」
(ベンジャミン・リベット(1916-2007),『マインド・タイム』,第4章 行為を促す意図,岩波書店(2005),pp.162-163,下條信輔(訳))
(索引:)

ベンジャミン・リベット(1916-2007)
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