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2018年5月9日水曜日

権力者に取り入るには、彼の信任の厚い人物を味方にすること。対象:才気がある取り巻き、そば仕えの役人、大臣、お気に入りの音楽家や歌姫、方法:贈り物、包み金、秘密の年金、注意事項:相手が気持よく、安心して、受け取れるようにすること。(フランソワ・ド・カリエール(1645-1717))

買収

【権力者に取り入るには、彼の信任の厚い人物を味方にすること。対象:才気がある取り巻き、そば仕えの役人、大臣、お気に入りの音楽家や歌姫、方法:贈り物、包み金、秘密の年金、注意事項:相手が気持よく、安心して、受け取れるようにすること。(フランソワ・ド・カリエール(1645-1717))】
 任国の君主に好かれる最も確かな方法は、その信任の厚い人物を味方にすることである。そのためには、包み金や秘密の年金、うまい時機をねらった贈り物など、その目的を達成するために役立つような出費が必要となる。その際、注意すべきは、贈り物をしようと思う相手が気持よく、安心して、受け取れるようにしなければならないということだ。また、国によっては、きまった慣習があって、ちょっとした贈り物をする機会が、しばしばある。
(a) とくに君主の信任の厚い人物。
  これ以外にも、次のような人たちが対象となる。
(b) 財産はないが才気があり、お偉方に取り入るすべを心得ているという人間。
(c) 機密事項をしばしば扱わせるために用いている地位の低い役人。
(d) 大臣でさえも、気持ちよくさらりとした態度で贈り物をもってゆけば、愛想よく受けとってくれる。
(e) 君主や大臣の許に出入りを許されている音楽家や歌姫。
 「任国の君主に好かれる最も確かな方法は、その信任の厚い人物を味方にすることであるから、すぐれた交渉家は丁重で礼儀正しく、かつ、愛想よく振舞うばかりでなく、道を通じさせるために大いに役立つような出費を何がしかする必要がある。しかし、それは、上手にやる必要がある。そして、贈り物をしようと思う相手が気持よく、安心して、受け取れるようにしなければならない。贈り物を受けとらせるのにむずかしい技巧がいらないような国も、ないではないが、やはり、贈る仕方によってその効果を増大させることは、贈り物をする人、もしくは、贈り物が手に入るように他人のためにはからう人にとって、賢明なことであり、礼儀にもかなったことである。
 国によっては、きまった慣習があって、ちょっとした贈り物をする機会が、しばしばある。この種の出費は、大使が任地の宮廷で尊敬され好かれるようになるのに大いに助けになるし、彼の任務を成功させるためにも、しばしば、すこぶる役立つことになる。
 どこの宮廷にも、財産はないが才気があり、お偉方に取り入るすべを心得ているという人間がいる。敏腕な交渉家ならば、この連中を、包み金や秘密の年金を与えて、味方にすることも怠ってはならない。上手にその人をえらぶことができれば、こうした連中を大いに役立たせることが可能である。君主や大臣の許に出入りを許されている音楽家や歌姫が、きわめて重要な謀を見破ったことも何度かある。こうした主権者たちは、機密事項をしばしば扱わせるために、地位の低い役人を、身辺に用いざるをえない。こうした役人どもや、うまい時機をねらって贈り物をすると、秘密を洩らさないとは限らない。大臣でさえも、気持ちよくさらりとした態度で贈り物をもってゆけば、愛想よく受けとってくれる。」
(フランソワ・ド・カリエール(1645-1717)『外交談判法』第3章 交渉家の資質と行状について、pp.24-25、岩波文庫(1978)、坂野正高(訳))
(索引:買収、贈賄)

外交談判法 (岩波文庫 白 19-1)



(出典:wikipedia
「こうしたいろいろな交渉の仕方のいずれの場合にも、彼は、とりわけ、公明正大で礼儀にかなったやり方で成功を収めるようにするべきである。もし、細かい駆け引きを用い、相手よりもすぐれているつもりのおのれの才智にたよって、成功しようなどと思うならば、それはまず思い違いというものである。みずからの本当の利益を知る能力をそなえた顧問会議をもたないような君主や国家はない。いちばん粗野なようにみえる国民こそが、実は、自分の利益を最もよく理解して、ひとよりも一層粘り強くこれを追求する国民であることがしばしばある。であるから、どんなに有能な交渉家でも、そうした国民を、この点で欺こうなどと思ってはいけない。むしろ、彼が役目柄提案している事柄の中には、彼らにとって本当に有利な点がいろいろあることを分かってもらえるように、おのが知識と知力の限りを尽くして努力すべきである。人と人の間の友情とは、各人が自分の利益を追求する取引にほかならない、と昔のある哲人が言ったが、主権者相互の間に結ばれる関係や条約については、なおさら同じことが言える。相互的な利益を基礎においていない関係や条約は、存在しない。各主権者が相互に利益を見出さない場合には、条約は効力をほとんど持ち続けないで、自壊する。従って、交渉のいちばんの秘訣はかかる共通の諸利益を共存させ、できれば変わらぬ足どりで、前進させるための方法を見つけることである。」
(フランソワ・ド・カリエール(1645-1717)『外交談判法』第8章 交渉家の職務について、pp.58-59、岩波文庫(1978)、坂野正高(訳))


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