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2020年5月14日木曜日

いま農業者は,県で開発された品種を購入,毎年株分けして増殖,栽培,出荷している。ところが"種苗法改正"で登録品種の自家増殖が禁止になると,対価を払って許諾を得るか,一般品種に変えざるを得なくなる。(山田正彦(1942-))

登録品種の自家増殖が禁止

【いま農業者は,県で開発された品種を購入,毎年株分けして増殖,栽培,出荷している。ところが"種苗法改正"で登録品種の自家増殖が禁止になると,対価を払って許諾を得るか,一般品種に変えざるを得なくなる。(山田正彦(1942-))】

 「登録された品種について自家増殖一律禁止となる、種苗法の今回審議される改定についての大事な話です。
ウドは日本の伝統的な品種だと思ってましたが、 すでにウドでも芳香1号2号という栃木県による品種が登録されています。
平成24年に登録されたのでまだ育種権の保護期間が20年近くあります。
私は栃木県大田原市のウド栽培農家を訪ねて話をお聞きしました。
古谷慶一さんは6年前に県からウドの芳香2号を1本300円で50本分けてもらい、それを毎年株分けして増殖、今では1万本を栽培して出荷を続けています。
種苗法が改定されると登録品種は一律自家増殖が禁止になるので、毎年対価を払って許諾を得るか、苗を全て購入しなければならなくなります。
皆さんウドでそのようなことになるとは夢にも思わなかったと驚いていました。
既に高崎市でF1のウドの苗をポットに入れて1本500円で売り出したそうですが、F1は一代限りで 増殖できず誰も購入者はいなかったそうです。
先に成立した農業競争力強化支援法8条4項では、栃木県の優良な育種知見も海外の企業も含む民間に提供するとなっています。
農水省は毎年800種の新品種の育種登録を認めています。
いずれウドも自家増殖禁止になって、民間企業によるF1の品種、ゲノム編集の品種を農家は高い価格で購入せざるを得なくなります。
古谷さんは、ウドでもそうなれば新たに500万円の負担増になるので、農業は続けられないと嘆いていました。
JAなすのウド部会長の助川悦夫さんは、そうなれば昔の品種「紫」に戻るしかないかなと。
もともとウドの登録品種芳香は伝統的な昔ながらの品種である愛知坊主とか紫など7種類の品種に改良を加えたものを栃木県が品種登録したそうです。
各県は農水省の説明で、県独自の開発した権利が海外での流出を免れるメリットがあると考えてるようです。 (長野県JA中央会清水常務談)
栃木県はイチゴなど独自の優良な品種が海外に持ち出されるのを禁止するメリットがあると考えているそうです。
しかしそれは本当に騙されています。
農水省が種子法を廃止する時に、種苗法で守るから大丈夫だと説明して回ったのは記憶に新しいことです。
ところが、種苗法改定では法のたて付けが違うの で種子法のことを入れることはできないとはっきり述べています。
各県が優良な品種の海外流出を防ぐことは、今の種苗法21条4項で刑事告訴も民事の損害賠償も十分できるのです。
農水省はユポフ91年条約加盟国にはできないのではと反論しますが、 加盟国であれば容易に育種登録ができるのでより確実に流出を防げます。
写真はウドの収穫と株(根っこ)を4つに切って増殖するところです。

やはり心配です。2020/3/17山田正彦 Official Blog

(索引:)

(出典:wikipedia
山田正彦(1942-)の命題集(Propositions of great philosophers)
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