自由の領域を拡張すること
問題は、我々が既にやっていることをもっと推し進 め、自由が真の組織化の原理になるまで、自由の領域を拡張していくことにある。供給不足に陥っている物は世界中にたくさんあ る。我々には知性というほぼ無制限の供給物があり、問題を創造的に解決する方法を考え出すことができる。(デヴィッド・グレーバー(1961-2020))
「さて、おそらく読者には僕の念頭にある方向性の全体を理解してもらえただろう。
われわ れはすでに自分たちの時間の大半を共産主義の実践に費やしているのだ。服従を強制する手段 としての物理的脅威を必要とせずに、お互いを理解しようとするとき、われわれはつねにアナ キストであるし、少なくともアナキストのようにふるまっている。
問題は、完全に新しい社会 を一から築き上げるということではなく、われわれがすでにやっていることをもっとも推し進 め、自由が真の組織化の原理になるまで自由の領域を拡張していくことにある。
実際のところ 僕は、どのように生産され配分されるのかを考案する技術的な側面が、これまでつねにいわれ てきたような大問題になるとは思っていない。
供給不足に陥っている物は世界中にたくさんあ る。
われわれには知性というほぼ無制限の供給物があり、問題を創造的に解決する方法を考え だすことができる。問題は想像力の欠如ではない。問題は、想像力を確実に発揮させないため につくられた、あるいは金融派生商品や新しい武器システム、書類記入用の新しいインター ネットシステムをつくらせないようにする、債務と暴力の抑圧的なシステムである。」
(デヴィッド・グレーバー(1961-2020),『デモクラシー・プロジェクト』,第V章 呪文を解 く,pp.341-342,航思社(2015),木下ちがや(訳),江上賢一郎(訳),原民樹(訳))
デヴィッド・グレーバー (1961-2020) |