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2019年4月9日火曜日

地方選出の国会議員は、東京への単身赴任であるが、土日には選出の地元へ帰って活動している。これが、国会議員の「金帰火来」である。(池上彰(1950-))

国会議員の「金帰火来」

【地方選出の国会議員は、東京への単身赴任であるが、土日には選出の地元へ帰って活動している。これが、国会議員の「金帰火来」である。(池上彰(1950-))】
 「金曜夜、羽田空港から地方に向かう最終便の機内には、議員バッジをつけた人が何人も乗っています。同じころ、東京駅から出る新幹線「のぞみ」のグリーン車にも、国会議員の顔がチラホラと……。これが、国会議員の「金帰火来」と呼ばれるものです。
 国会議員は、国会に出席するのが仕事です。そこで、地方選出議員には東京都内の一等地に議員宿舎が用意され、安い家賃で暮らすことができます。さらに仕事場として、国会議事堂のすぐ横の議員会館もあります。
 しかし、地方選出議員にしてみれば、地元の選挙区のことが気になりますよね。まして、前回の選挙で落選したライバル候補が地元で挨拶回りをしているなどという情報を聞くと、心配でたまらなくなるでしょう。
 「猿は木から落ちても猿だが、議員は落ちるとただの人」と言われます。次の選挙で落ちないように、週末には地元で活動しようということになります。そこで、金曜日の夜になると、羽田空港や東京駅に向かうことになるのです。前に取りあげたように、地元へ帰る航空券や新幹線グリーン車のパスは支給されています。
 地元を大切にしていることをアピールするために、地元にも事務所を構えて秘書を雇い、家族は地元の自宅にいて、支援者の相談相手になったりするケースがほとんどです。議員は東京へ単身赴任なのです。
 土曜日と日曜日は、地元で支援者の家に挨拶に行ったり、「国会報告会」を開いたりします。「地元のために頑張っています」とアピールしなければならないからです。
 土日に議員が地元の支援者と会うことは、国政にも影響を与えます。議論が分かれる問題について、支援者たちからは「けしからん」「仕方ないよ」などと、直接的な反応を受けることになります。その結果、硬直していた事態が動くこともあり、民意の反映にもつながっているといえるのです。」
(池上彰(1950-),『イラスト図解 社会人として必要な経済と政治のことが5時間でざっと学べる』PART2 政治,第1章 「国会議員」はどんなことをしている?,03 国会議員は1週間どう働くのか,pp.190-193,KADOKAWA(2018))
(索引:国会議員の「金帰火来」)

イラスト図解 社会人として必要な経済と政治のことが5時間でざっと学べる


(出典:wikipedia
池上彰(1950-)の命題集(Collection of propositions of great philosophers)  「あなたが同じ立場だったらどうするか?
 もし、あなた方があのときにそのチッソの水俣工場で働いている社員だったら、どうしますか、ということです。つまり熊本県でも有数の企業です。水俣にとってはいちばん大手の企業です。水俣で生まれ育って、学校を出て、チッソに就職するというのは地元の人にとってはいちばんのエリートコースですよね。それこそ、みなさんがもしチッソに就職が決まったと報告をすれば、家族はもちろん親戚もみんな、「いやあいいところに就職したね、よかったね」と祝福してくれるはずです。もちろん、プラスチックの可塑剤という、日本という国が豊かになるときに必要なものをつくっているわけですから、みんな誇りを持って働いていたはずです。ところがやがて、そこから出てくる廃水が原因で、地元の住民に健康被害が出る、という話が聞こえるようになってきた。さあ、みなさんは果たしてどんな行動をとりますか、ということです。当時のチッソの社員たち。たとえば病院の医師が、原因究明のために猫を使って実験をしていた。でも会社から、そんな実験はやめろ、と言われたからやめてしまった。あるいは多くの社員は気がついていたからこそ、排水口の場所を変えたわけです。それによってさらに被害を広めてしまった。労働組合が分裂をして、そこで初めて、企業の仕打ちに気がついた社員たちが声を上げるようになった。さあ、もしそういうことになったら、みなさんはどういう態度をとりますか。
 いまの日本は廃水の基準に厳しいですから、何かあればすぐわかるでしょう。でもいま、実は、まったく同じようなことが中国のあちこちで起きています。開発途上国で同じようなことが起きているのですね。みなさんが就職をしました。そこの会社が実は、東南アジアあるいはアフリカに、現地の工場を持っている。現地の工場に、要員として派遣されました。そこで働いていた。そうしたらその周辺で、健康被害が出ている住民たちがいることに気がついた。あなたはどういう態度をとるのか。まさにそれが問われている、ということなのですね。決して他人事ではないのだということがわかっていただけるのではないでしょうか。」
(池上彰(1950-),『「経済学」講義 歴史編』lecture5 高度経済成長の歪み,pp.228-229,KADOKAWA(2015))
(索引:)

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