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2020年4月5日日曜日

無意識の精神機能におけるニューロン活動の持続時間は100ms以下である。このことは、意識されない問題解決のプロセスが極めて迅速に、効果的に進行できることを示唆している。(ベンジャミン・リベット(1916-2007))

意識を伴わない精神機能

【無意識の精神機能におけるニューロン活動の持続時間は100ms以下である。このことは、意識されない問題解決のプロセスが極めて迅速に、効果的に進行できることを示唆している。(ベンジャミン・リベット(1916-2007))】

(d)追記。

意識現象の発現の仕方
 意識作用には、意識を伴わない「精神機能」、ニューロン活動が先行する。感覚だけではなく、意識を伴う思考や感情、情動、自発的な行為を促す意図、創造的なアイデア、問題の解決なども、同様であろう。(ベンジャミン・リベット(1916-2007))
(a)体性感覚
 (i)意識を伴わない感覚信号の検出、ニューロン活動が先行する。
 (ii)適切なニューロン活動の持続時間が、ある程度増加することによって、感覚の意識が現れる。
 (iii) 意識を伴わない感覚信号の検出、精神機能、ニューロン活動が存在し、活動の持続時間が500ms以上になると意識的な機能となる。持続時間の延長には、「注意」による選択が関与しているらしい(仮説)。(ベンジャミン・リベット(1916-2007))
(b)他の感覚モダリティ(視覚、聴覚、嗅覚、味覚)でも、同様である。
(c)意識を伴う思考や感情、情動、自発的な行為を促す意図でも、同様である。
 (i)話し始める過程、話の内容が、話が始まる前に既に無意識に起動され、準備されている。仮に、ある人が話す単語の一つ一つについてまず自覚してからでなければ話せないならば、一連の言葉を速やかに話すことが不可能になるだろう。(ベンジャミン・リベット(1916-2007))
 (ii)ピアノやバイオリンなどの楽器の演奏も、無意識のパフォーマンスの働きによるものに違いない。実際、個々の指を動かす意図を自覚していない、と演奏者たちは報告している。(ベンジャミン・リベット(1916-2007))
(d)創造的なアイデア、問題の解決なども、同様であろう。
 (i)無意識の精神機能におけるニューロン活動の持続時間は100ms以下である。このことは、意識されない問題解決のプロセスが極めて迅速に、効果的に進行できることを示唆している。

 「(5) 無意識の精神機能がより持続時間の短いニューロン活動によって生み出されている場合、その精神機能はより速いスピードで進行することができます。信号へのアウェアネスがなくても信号の検出と選択反応を強制する私たちの実験から判断すると、無意識機能での神経活動の有効なタイム-オン(持続時間)は、約100ミリ秒以下というように、実に極めて短い可能性があります。このことから、問題解決に影響を与える一連の無意識プロセスが、個々の短いプロセスを次々とスピーディーに進行できることが示唆されます。このような敏捷さは、当然、無意識の思考を非常に効果的にします。それは、短時間継続する無意識の考えの要素が、込み入った問題の中にある一連の困難なステップを次々と達成していくことで成り立っています。逆に、一連の思考の中の各ステップで、アウェアネスが現れるまで人は先に進まないとしたら、プロセス全体の動きが5倍ほども鈍くなり、意識を伴った考えやその結果生じる行為への決断がのろのろとした作業となることでしょう。」
(ベンジャミン・リベット(1916-2007),『マインド・タイム』,第3章 無意識的/意識的な精神機能,岩波書店(2005),p.130,下條信輔(訳))
(索引:意識を伴わない精神機能)

マインド・タイム 脳と意識の時間


(出典:wikipedia
ベンジャミン・リベット(1916-2007)の命題集(Collection of propositions of great philosophers)  「こうした結果によって、行為へと至る自発的プロセスにおける、意識を伴った意志と自由意志の役割について、従来とは異なった考え方が導き出されます。私たちが得た結果を他の自発的な行為に適用してよいなら、意識を伴った自由意志は、私たちの自由で自発的な行為を起動してはいないということになります。その代わり、意識を伴う自由意志は行為の成果や行為の実際のパフォーマンスを制御することができます。この意志によって行為を進行させたり、行為が起こらないように拒否することもできます。意志プロセスから実際に運動行為が生じるように発展させることもまた、意識を伴った意志の活発な働きである可能性があります。意識を伴った意志は、自発的なプロセスの進行を活性化し、行為を促します。このような場合においては、意識を伴った意志は受動的な観察者にはとどまらないのです。
 私たちは自発的な行為を、無意識の活動が脳によって「かきたてられて」始まるものであるとみなすことができます。すると意識を伴った意志は、これらの先行活動されたもののうち、どれが行為へとつながるものなのか、または、どれが拒否や中止をして運動行動が現れなくするべきものなのかを選びます。」
(ベンジャミン・リベット(1916-2007),『マインド・タイム』,第4章 行為を促す意図,岩波書店(2005),pp.162-163,下條信輔(訳))
(索引:)

ベンジャミン・リベット(1916-2007)
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