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2020年5月24日日曜日

意識は仮像,現象であり,実在は科学的方法によって捉えられるという考えは,外的対象については正しい. しかし,意識そのものを対象にした場合,意識に現われるものは実在そのもの,少なくとも実在の一面である.(マイケル・ロックウッド(1933-2018))

意識とは何か

【意識は仮像,現象であり,実在は科学的方法によって捉えられるという考えは,外的対象については正しい. しかし,意識そのものを対象にした場合,意識に現われるものは実在そのもの,少なくとも実在の一面である.(マイケル・ロックウッド(1933-2018))】

 「要するに、私は、内省的な心理学が基本的な物理学に貢献するかもしれないということを遠まわしに言っているのである。もし心的状態が脳の状態であるならば、内省はすでに、脳物質には、物理学者の哲学のなかで現在容れられている以上のものが存在することを教えているように私には思えるのである。
 おなじくらい重要な、第二の点は、ラッセルのもともとの観点からは何か逸脱したものを述べているかも知れない。しかし、もしそうだとしても、それは、ラッセルの観点よりもっともらしくすると同時に、物理学内部におけるとともに哲学内部における現在の思考の線にそれをもっと密着させるものである。私は、意識にあきらかになるものに還元できないような《視角による》特性があることを認めなければならないと思う。なお、われわれは、意識をある脳状態の固有の性質をつたえるものと考えるべきなのである、と私は提案する。しかし、その知識は、ある観点に逃れようもなくむすびついているものである。われわれがここで抵抗しなければならないのは、ある観点から何かを知るということは、ともかく、それによってとらえられるものの客観性と相反するというあやまった考えなのである。現象的性質を感知するときにわれわれの感知しているものは、《実在にそのように埋めこまれたものとして意識にのぼるような》脳状態の属性であるけれども、見かけと実在のあいだにギャップは存在しない、ということを私は示唆している。意識にあらわれるものは実在《である》、少なくとも、実在の一部あるいは一面なのである。」
(マイケル・ロックウッド(1933-2018)『心、脳、量子』(日本語名『心身問題と量子力学』)第11章 状態とオブザーバブル、p.257、産業図書(1992)、奥田栄(訳))
(索引:)

心身問題と量子力学

マイケル・ロックウッド(1933-2018)
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