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2021年11月27日土曜日

ストリング理論の美しさは、それが量子重力の局所的因果的理論であるという点にある。すなわち、ストリングは、有限な大きさにもかかわらず、相互作用は、ストリング全体ではなく、点でのみ起こり(局所性)、空間的に離れた事象は互いに影響しない(因果性)。 (アブダス・サラム(1926-1996))

量子重力の局所的因果的理論

ストリング理論の美しさは、それが量子重力の局所的因果的理論であるという点にある。すなわち、ストリングは、有限な大きさにもかかわらず、相互作用は、ストリング全体ではなく、点でのみ起こり(局所性)、空間的に離れた事象は互いに影響しない(因果性)。 (アブダス・サラム(1926-1996))







「サラム

 点状の粒子を有限な大きさをもつもので置きかえるのです。つまりおよそ10 -33センチの有限の大 きさを持つストリングを考える。

 ストリングの理論はボーアの好んだ10 -33センチの有限な基本的長さを提供するのです。これが有限な長 さであるにもかかわらず、理論はそれでも局所的なのです。これは信じられないことです。

———

どういう意味で局所的なのですか?

サラム 

因果律が保たれているという意味で局所的なのです。 空間的に離れたところにある事象は互い に影響しないのです。

ストリング理論の美しさは、広がったものを扱っているにもかかわらず、ストリングの相互作用は点でのみ起こる。 ストリング全体で起こるわけではないのです。 ストリングはその広がりの一点でだけ 分離したりくっついたりするし、ストリングが接触すると一点で接触するのです。 これがその局所性の 秘密なのです。

———

つまり、ストリングは単に物質粒子のモデルであるというだけでなく、これら粒子が互いに作用し合う その仕方に関するモデルでもあると考えるべきなのですね。

サラム 

そうです。この観点から見れば、ストリングが物理学のすべてを説明するかどうかは二次的問 題だといえる。 ストリングは十年以上にわたり研究されている。しかしその熱狂的推進者たちですら理 論のこの独特な長所、つまりそれが量子重力の局所的因果的理論であるという点を強調すらしない。」

(ポール・デイヴィス(1946-),ジュリアン・ブラウン(編集),『スーパーストリング』,7  アブダス・サラム(1926-1996),p.210,紀伊國屋書店,1990,出口修至)