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2022年2月17日木曜日

7.圧倒的な富の不平等や奴隷制、債務労働、賃労働のような社会的諸制度は、軍隊と監獄、警察による支えがある場合のみ存在し得ることが、歴史的に明らかにされてきた。暴力の脅威で絶えず強制されることなく、人々が平等性と連帯に基づいて自由に結合するような社会は可能だろうか。(デヴィッド・グレーバー(1961-2020))

真に自由な社会

圧倒的な富の不平等や奴隷制、債務労働、賃労働のような社会的諸制度は、軍隊と監獄、警察による支えがある場合のみ存在し得ることが、歴史的に明らかにされてきた。暴力の脅威で絶えず強制されることなく、人々が平等性と連帯に基づいて自由に結合するような社会は可能だろうか。(デヴィッド・グレーバー(1961-2020))


(a)真に自由な社会
 真に自由な社会とは、暴力の脅威で絶えず強制されることなく、人々が平等性と連帯に基づいて自由 に結合し、生きる価値の見出せる未来社会像や計画、構想を絶えずさまざまに追求していくような社会である。
(b)債務労働、賃労働の基礎としての軍隊、監獄、警察
 圧倒的な富の不平等や奴隷制、債務労働、賃労働のような社会的諸制度は、軍隊と監獄、警察による支えがある場合にのみ存在しうるということが歴史的に明らかにされてきた。
(c)構造的不平等の基礎としての力の脅威
 人種主義や性差別主義といったもっと根深い構造的不平等でさえ、究極的にはより巧妙かつ狡猾な力の脅威に基礎づけられている。




「どちらの文脈でも、一言でいえばアナキズムとは真に自由な社会の実現をめざす政治的運 動であり、「自由な社会」とは暴力の脅威で絶えず強制されることなく人々がお互いに民主主 義的な関係を取り結ぶことで初めて生まれるのである。

圧倒的な富の不平等や奴隷制、債務労 働、賃労働のような社会的諸制度は、軍隊と監獄、警察による支えがある場合にのみ存在しう るということが歴史的に明らかにされてきた。人種主義や性差別主義といったもっと根深い構 造的不平等でさえ、究極的にはより巧妙かつ狡猾な力の脅威に基礎づけられている。

したがっ て、アナキストが思い描くのは平等性と連帯に基づいた世界であり、そこでは人間同士が自由 に結合し、生きる価値の見出せる未来社会像や計画、構想を絶えずさまざまに追求していくの である。

アナキズム的社会に存在しうる組織とはどのようなものかと問われたら、僕はいつも こう答えている。

人間が想像しうるあらゆる形態の組織、そしてその多くは現在のわれわれに は想像もできないような組織だろうが、たったひとつだけ条件がある――いかなる場合でも武装 した男を頼みにして「お前の話などどうでもいい、黙って言われたとおりにしろ」という権限 をもつ人間を必要とせずに成立しうる組織であることだ。  

こうした意味合いにおいては、アナキストはいつでも存在してきたのだ。

ある人々の集団が かれらを抑圧する権力あるいは支配のシステムに直面し、それに激しく反対するなかから、ど んな権力や支配にも縛られずにお互いを扱う方法を想像しはじめるところでは、つねに数多く のアナキストを見いだすことができる。」
(デヴィッド・グレーバー(1961-2020),『デモクラシー・プロジェクト』,第III章 「群衆 は知性と理性を手に入れはじめる」,pp.222-223,航思社(2015),木下ちがや(訳),江上賢一 郎(訳),原民樹(訳)


デヴィッド・グレーバー
(1961-2020)