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2022年4月22日金曜日

感情体制とは、規範的感情の一式と、 それを表現し、人々に教え込む公的な儀礼、実践およびエモーティヴのことであり、感情統制は権力行使そのものである。支配的な感情規範は、本来なら自己探求的で自己変容的、創造的なエモーティヴを抑圧し、感情の避難所を創出してしまう。(ウィリアム・M・レディ(1947-))

感情体制とエモーティヴ

感情体制とは、規範的感情の一式と、 それを表現し、人々に教え込む公的な儀礼、実践およびエモーティヴのことであり、感情統制は権力行使そのものである。支配的な感情規範は、本来なら自己探求的で自己変容的、創造的なエモーティヴを抑圧し、感情の避難所を創出してしまう。(ウィリアム・M・レディ(1947-))

















(a)感情体制
 エモー ティヴは、感情体制の支配下にある。感情体制とは、「規範的感情の一式と、 それを表現し、人々に教え込む公的な儀礼、実践およびエモーティヴ」のことである。
 (i)規範的感情の一式
 (ii)支配的な感情規範
  感情を表現し、人々に教え込む公的な儀礼、実践
 (iii)エモーティヴ

(b)感情コントロールとしての権力行使
 「感情のコントロールは、権力行使の現場である。 所与の文脈や関係性のもとに立ち現れた気持ちや欲望を、不当なものとして抑圧したり、価値あるものとして重視したりする責務を負うのは誰なのか。政治とはまさに、この誰かを決める過程である」。

(c)エモーティヴの自己変容効果
 どのような感情も、「短時間のうちには注意が翻訳することのできない」ものであり、表現された感 情は人を常に自己 探求へと導くかもしれない。
(d)支配的な感情規範からの「感情の避難所」
 感情体制は、ほぼその定義 ゆえに、エモーティヴが潜在的可能性を十全に発揮することを許さないため、感情の避難所、すなわち「支配的な感情規範から人を安全に解放し、感情的努力を軽減する(...)また、既存の感情体制を補 助したり脅かしたりする可能性のある、(...)関係、作法、もしくは組織」を創出する。 
(e)統制的な感情体制と感情の避難所
 感情体制があまりにも統制的であり、エモーティヴの自己変容効果を妨害し、人々が目標を変化させることを妨げ ると仮定しよう。すると、感情体制は人々に感情的苦痛をもたらすばかりでなく、感情体制に損失を与えうる感情の避難所を生み出すのである。




「愛は感情の一つである。しかし、愛は一つに定まらない。同じことが、どの感情についても言える。 どのような感情も、「短時間のうちには注意が翻訳することのできない」ものである。表現された感 情は、そのすべてがエモーティヴである。このような仕組みによって、エモーティヴは人を常に自己 探求へと導くかもしれない。しかし、エモーティヴは他から切り離されているわけではない。 エモー ティヴは、「感情体制」の支配下にあるからである。 ここで「感情体制」とは、「規範的感情の一式と、 それを表現し、人々に教え込む公的な儀礼、実践およびエモーティヴ」のことである。レディはさら に詳しく説明する。 「感情のコントロールは、権力行使の現場である。 所与の文脈や関係性のもとに 立ち現れた気持ちや欲望を、不当なものとして抑圧したり、価値あるものとして重視したりする責務を負うのは誰なのか。政治とはまさに、この誰かを決める過程である」。 感情体制は、ほぼその定義 ゆえに、エモーティヴが潜在的可能性を十全に発揮することを許さないため、感情の避難所、すなわ ち「支配的な感情規範から人を安全に解放し、感情的努力を軽減する・・・・・・また、既存の感情体制を補 助したり脅かしたりする可能性のある、・・・関係、作法、もしくは組織」を創出する。 感情体制があ まりにも統制的であり、エモーティヴの自己変容効果を妨害し、人々が目標を変化させることを妨げ ると仮定しよう。すると、感情体制は人々に感情的苦痛をもたらすばかりでなく、感情体制に損失を 与えうる感情の避難所を生み出すのである。」
(バーバラ・H・ローゼンワイン(1945-),リッカルド・クリスティアーニ,『感情史とは何か』,2 アプローチ,エモーショノロジー,pp.57-58,伊東剛史(訳),森田直子(訳), 小田原琳(訳), 舘葉月(訳))

感情史とは何か [ バーバラ・H.ローゼンワイン ]