行動は、その結果によって変容させられるウォルター・ミシェル(1930-2018)
「行動は、その結果によって変容させられる。生物が何らかの反応(あるいは環境に対して「働きかける」(operate)のでオペラントとよばれる反応パターン)をした際にその結果として起こることは、類似した反応を将来にも行うことがどれくらい好ましいかを決定する。
もしその反応が好ましい、すなわち強化になる結果をもたらしたなら、その生物は類似した状況下で再びその行動をしやすくなる。
一般に広まった誤解とは逆に、「強化子」あるいは好ましい結果は、食べ物や性的満足のような原始的な強化子とは限らない。情報のような認知的な喜び(Jones,1966)、や有能感や達成のようなものを含むたいていの事象は、強化子として機能する。
このような反応によって引き起こされた結果をもとにした学習は、心理学の初期のころには試行錯誤学習あるいは道具的学習とよばれたが、いまはオペラント条件づけとよばれている。
ある反応パターンが引き起こす結果が変わったとき、その反応パターンが再び起こる確率も、類似した反応パターンが起こる確率も変化する(Nemeroff & Karoly,1991)。
もし小さな少年が、哀れっぽい声を出してしがみついたとき、母親がすべてのものを後回しにして、その子どもをなだめようとしたら、その子が将来、同じようにふるまう可能性が高くなる。しかし、もし母親が一貫してこの行動を無視して、相手にしなかったら、その子が同じようにふるまい続ける可能性は下がるであろう。」
(ウォルター・ミシェル(1930-2018),オズレム・アイダック,ショウダ・ユウイチ『パーソナリティ心理学』第Ⅳ部 行動・条件づけレベル、第10章 行動主義の考え方、p.323、培風館 (2010)、黒沢香(監訳)・原島雅之(監訳))
【中古】パーソナリティ心理学—全体としての人間の理解 / ミシェル ウォルター ショウダユウイチ アイダック オズレム 黒沢香 原島雅之 / 培風館 |