2022年1月25日火曜日

学問には、(a)先験的=演繹的な学問、(b)帰納的=経験的な学問、(c)過去を再構成する想像力による学問がある。象徴体系、表現の手段、表現様式を理解し、その前提である変化する現実、人間の歴史を再構成する。 (ジャンバッティスタ・ヴィーコ(1668-1744))

過去を再構成する想像力による学問

学問には、(a)先験的=演繹的な学問、(b)帰納的=経験的な学問、(c)過去を再構成する想像力による学問がある。象徴体系、表現の手段、表現様式を理解し、その前提である変化する現実、人間の歴史を再構成する。 (ジャンバッティスタ・ヴィーコ(1668-1744))



ジャンバッティスタ・ヴィーコ
(1668-1744)













(a)先験的=演繹的な学問
(b)帰納的=経験的な学問
(c)過去を再構成する想像力による学問
 (i)社会の変化成長の過程は、人びとが その過程を表現しようとする象徴活動とは、並行する。
 (ii)象徴体系は、それ自体が象徴する現実の本質的部分であり、現実と共 に変化する。
 (iii)表現の手段を理解することに始まり、それら手段が前提しかつ表現する現実像を探究する。
 (iv)体系的に変化する表現様式を通じて変化する現実、人間の歴史を探究する。

目的(文化、時代)、現実
 ↓
象徴体系、表現の手段、表現様式
 ↓
芸術作品の   ⇔ 芸術作品
理解・解釈・評価



「(7)それゆえに、伝統的な知識の二つのカテゴリー――先験的=演繹的と帰納的=経験的、五 感の感知によるものと、啓示によって賜ったものと――に加えて、過去を再構成する想像力とい う新種を追加しなければならない。この種の知識は、他の文化の精神生活に、さまざまな物の 見方や生き方に、「参入する」ことによって生まれる。それは想像力 fantasia の始動に よってのみ可能なのである。ヴィーコの云う想像力とは、社会の変化成長の過程と、人びとが その過程を表現しようとする象徴活動の中にも並行しておこる変化発展と、この両者を相関さ せて、むしろ前者は後者によって伝えられると考えることにより、変化過程を看取する方法な のである。というのは、象徴体系は、それ自体が象徴する現実の本質的部分であり、現実と共 に変化するものなのだから。表現の手段を理解することに始まり、それら手段が前提しかつ表現する現実像に達せんことを求めるという発見法は、歴史的真実についての一種の超越的演繹 法(カント流の意味で)である。これは従前の如き、変化する外観を通じて不変の現実に到達 する方法ではない。体系的に変化する表現様式を通じて変化する現実――人間の歴史――に至らん とする方法である。」
 (アイザイア・バーリン(1909-1997),『ヴィーコとヘルダー』,序説,pp.17-18,みすず書 房(1981),小池銈(訳))


アイザイア・バーリン
(1909-1997)




芸術作品は、その製作者たちの時代や場所、彼らの社会の成長段階にのみ限られるような象徴記号の目的、つまりは記号の固有な用法を正確に把握することにより、理解・解釈・評価されるべきである。あらゆる学術、思想、芸術、文化の歴史的研究と比較研究も同様である。 (ジャンバッティスタ・ヴィーコ(1668-1744))

芸術作品の解釈・評価

芸術作品は、その製作者たちの時代や場所、彼らの社会の成長段階にのみ限られるような象徴記号の目的、つまりは記号の固有な用法を正確に把握することにより、理解・解釈・評価されるべきである。あらゆる学術、思想、芸術、文化の歴史的研究と比較研究も同様である。 (ジャンバッティスタ・ヴィーコ(1668-1744))



ジャンバッティスタ・ヴィーコ
(1668-1744)












(a)芸術の解釈は時代と文化に依存する
 芸術作品は、その製作者たちの時代や場所、彼らの社会の成長段階にのみ限られるような象徴記号の目的、つまりは記号の固有な用法を正確に把握することにより、理解・解釈・評価されるべきである。
目的(文化、時代)
 ↓
芸術作品の   ⇔ 芸術作品
理解・解釈・評価

(b)異なる文化の理解
 我々の時代の文化と全く異なった文化の持つさまざまな不思議な点も、その神秘を解明し得る。
(c)学術、思想、芸術、文化の歴史的研究と比較研究
 人類学、社会学、 法学、経済思想、政治哲学、言語学、宗教学、文学、あらゆる芸術、理念、あらゆる文化の、発展の歴史的な探究と、異なる人々のあいだの比較研究が、可能となる。



「(6)右の趣旨から次のこと(事実上、一つの新しい美学)が生まれる。即ち、芸術作品 は、あらゆる場所のすべての人に有効な久遠の原理ないし基準を尺度にしてではなく、その製 作者たちの時代や場所、彼らの社会の成長段階にのみ限られるような象徴記号(特に言語)の 目的、つまりは記号の固有な用法を正確に把握することにより、理解・解釈・評価されるべきである。われわれの時代の文化と全く異なっているために、あるいは野蛮な混乱として、ある いはあまりにかけ離れた異国的なものゆえ真面目に注目するに値しないと、それまで退けられ てきた文化の持つさまざまな不思議な点も、右のような尺度によれば始めてその神秘を解明し 得る。これは比較文化史の端緒であり、一群の新しい歴史の学問――比較人類学、比較社会学、 比較法学・言語学・人種学・宗教学、比較文学、芸術史学、理念史、法制史、文明史――即ち、 歴史的、つまり発生的に考えられた、最広義の社会科学と後に呼ばれるようになった知識の全 分野の緒を開くものである。」
(アイザイア・バーリン(1909-1997),『ヴィーコとヘルダー』,序説,p.17,みすず書房 (1981),小池銈(訳))


アイザイア・バーリン
(1909-1997)




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