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2022年2月25日金曜日

24.民主化運動弾圧の標準的な戦術:(a)相手が卑劣で暴力的だと宣伝、(b)中産階級の支持者を分断、(c)治安紊乱を意図的につくりあげる。(デヴィッド・グレーバー(1961-2020))

民主化運動弾圧の標準的な戦術

民主化運動弾圧の標準的な戦術:(a)相手が卑劣で暴力的だと宣伝、(b)中産階級の支持者を分断、(c)治安紊乱を意図的につくりあげる。(デヴィッド・グレーバー(1961-2020))


 (a)相手が卑劣で暴力的だと宣伝
 まず最初に、運動を事実上率いているラディカル派が卑劣で、(少なくとも 潜在的には) 暴力的であるという筋書きを立て、道徳的権威を落とす。
 (b)中産階級の支持者を分断
 次に、中産階級の支持者を引き剥がすために、計算づくの譲歩と恐ろしいストーリーをつくりあげる。
 (c)治安紊乱を意図的につくりあげる
 本当に革命的状況が起きそうな場合には治安紊乱を意図的につくりあげる。周知のとおり、これは エジプトのムバラク政権が、数百人の犯罪者たちを刑務所から釈放し、中産階級の地区から警 察を引き上げ、革命は単なる混乱に終わるだけだと住民たちを納得させようとした際に行った ことである。



「1999年、2000年そして01年のグローバル・ジャスティス運動を抑え込むためのさまざま な試みは明らかに組織的なものであり、01年9月11日以降、アメリカ政府は社会秩序への脅威 とみなすものすべてに統一的に対応するという明確な目的のもと、新たなセキュリティ官僚制 度を幾層にも構築したのだ。これらの諸機関を運用する者が、大規模かつ急速に拡大する潜在 的に革命的な全国規模の運動に何の関心も示さずただ傍観したままだとしたら、かれらは何ら 職務を遂行していないということになる。  かれらはどのように事をすすめたのか。たしかにこれもわからないし、おそらく今後もずっ とわからないだろう。60年代の公民権運動、平和運動を転覆しようとしたFBIの役割が正確に わかるまでには数十年かかった。それでもやはり、起こるべくして起こったことの大枠を掴む のは特に難しいことではない。実際には民主化運動を弾圧しようと試みる政府のほとんどが採 用している標準的な戦術があり、今回もほぼ定石通りに行われたのは明らかだ。その脚本はこ のように展開する。まず最初に、運動を事実上率いているラディカル派が卑劣で(少なくとも 潜在的には)暴力的であるという筋書きを立て、道徳的権威を落とす。次に、中産階級の支持 者を引き剥がすために、計算づくの譲歩と恐ろしいストーリーをつくりあげる、あるいは本当 に革命的状況が起きそうな場合には治安紊乱を意図的につくりあげる(周知のとおり、これは エジプトのムバラク政権が、数百人の犯罪者たちを刑務所から釈放し、中産階級の地区から警 察を引き上げ、革命は単なる混乱に終わるだけだと住民たちを納得させようとした際に行った ことである)。このように攻撃されるのだ。」
 (デヴィッド・グレーバー(1961-2020),『デモクラシー・プロジェクト』,第II章 なぜうま くいったのか,pp.160-161,航思社(2015),木下ちがや(訳),江上賢一郎(訳),原民樹(訳)) 


デヴィッド・グレーバー
(1961-2020)






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