ラベル 過去と未来の非対称性の由来 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 過去と未来の非対称性の由来 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2021年11月25日木曜日

過去・未来の非対称性は、実際には秩序が無秩序に崩壊する一方的な傾向に根ざしている。すなわち、観測者としての私たちの存在が、原子秩序に基づいて過去と未来の間の鋭い区別を与えるような適正な宇宙配置にあるという事実に、微妙に依存している。(ポール・デイヴィス(1946-))

人間の宇宙における配置

過去・未来の非対称性は、実際には秩序が無秩序に崩壊する一方的な傾向に根ざしている。すなわち、観測者としての私たちの存在が、原始秩序に基づいて過去と未来の間の鋭い区別を与えるような適正な宇宙配置にあるという事実に、微妙に依存している。(ポール・デイヴィス(1946-))

「過去・未来の非対称性は実際には秩序が無秩序に崩壊する一方的な傾向に根ざしています。しかし、 その非対称性は宇宙論的な起源をもっていると思われます。宇宙の秩序は究極的にどこから出てくる かを説明し、したがって過去と未来の差異を明らかにするためには、宇宙の創成 ビッグ・バン を考える必要があります。 原始の熱炉から出てきた宇宙構造は高度に秩序だったものでした。 そ の後の宇宙の働きはすべて、 この秩序を消費し、散逸することでした。 多くの秩序が残っています。 しかし、それらは永久に続きはしません。 太陽や恒星の働きを支配する秩序は宇宙の生命にとって非 常に重要なものです。その秩序は初期の宇宙が主として水素とヘリウムからできていることを保証し た原子核過程に由来します。宇宙初期の膨張速度が非常に速く、初期段階で宇宙物質を重元素まで調 理する暇がないため、このような特徴が生じます。これは宇宙物質がかなり均一で、ビッグバン直 後、ブラック・ホールがあまりできないことにも依存しています。したがって、ここでもまた、宇宙 の生命、そして観測者としての私たちの存在が適正な宇宙配置に、つまり原始秩序―─生物におい て複雑性の頂点に達する秩序──に基づいて過去と未来のあいだに鋭い差別を与えているものに、いかに微妙に依存しているかが発見されるのです。」

(ポール・デイヴィス(1946-),『他の世界』(日本語書籍名『宇宙の量子論』),第10章 超時間,pp.302-303,地人書館,1985,木口勝義)

【中古】 宇宙の量子論 /ポール・C.W.デーヴィス(著者),木口勝義(著者) 【中古】afb





決まっていないから未来であるという直感があるが、時間を逆転しても非決定である。準備し実験し解析するという、実験結果を釘どめする人間の知的な超構造が、過去と未来の非対称性をもたらす。そしてそれは、私たちの近傍で進む熱力学過程による世界の非対称性の作用である。(ポール・デイヴィス(1946-))

過去と未来の非対称性の由来

決まっていないから未来であるという直感があるが、時間を逆転しても非決定である。準備し実験し解析するという、実験結果を釘どめする人間の知的な超構造が、過去と未来の非対称性をもたらす。そしてそれは、私たちの近傍で進む熱力学過程による世界の非対称性の作用である。(ポール・デイヴィス(1946-))

(a)非決定性、未来、存在
 a→b、bがaにより決まらないということは、まさにそれだけの意味であり、決まらないから未来だとか、決まらないから存在しないとは言えない。

(b)時間を逆転しても非決定

 (i)通常の実験
  始めに量子状態を用意(確定した状態)して、結果(未確定状態)を測定する。
 (ii)逆転実験
  いくつかの結果(確定状態)を集め、その初期状態を推測する。時間的に枠組全体を反転し、さまざまな質問を行ない、いろいろな結果を解析すると、未来ではなく、過去が非決定的になる。
(c)過去・未 来の非対称性は実験結果を釘どめする知的な超構造である
 実験室実験には、実際の実験とならんで、準備段階と解析段階がある。この枠組がすでに結果の 解釈に過去未来の非対称性を課している。


「実際は、このような考え方は厳密な検討に耐えることができません。 未来が非決であるという事実は必ずしも未来が存在しないことを意味しているわけではありません。 それはたんに、未来は現 在に隷属して出てくるわけではない、ということにすぎません。 さらに、未来は非決定的だが、過去 は具体的であるとみなす事実は、実際に実験を行ない、結果をまとめる方法と密接に関連しています。 実験室実験には、実際の実験とならんで、準備段階と解析段階があります。 この枠組がすでに結果の 解釈に過去未来の非対称性を課しているのです。 実際、始めに量子状態を用意して結果を測定する かわりに、逆のことを行なう、つまり、おおまかに言えば、一組の逆転実験を行なうこともできます。 つまり、いくつかの結果を集め、その初期状態を推測するのです。時間的に枠組全体を反転し、さま ざまな質問を行ない、いろいろな結果を解析すると、未来ではなく、過去が非決定的になります(こ の体系では、エヴェレットの分枝は、未来ではなく、過去に向かって扇形に広がります。したがって、 世界は、分裂ではなく、融合していきます)。したがって、量子的な非決定性の過去と未来の立場の 相違は固有のものではなく、それに関与するものに対する私たちの態度の反映となります。 過去・未 来の非対称性は実験結果を釘どめする知的な超構造です。 それは、逆に、私たちのまわりで進む熱力 学過程による世界の非対称性の本来の作用です。 それゆえ、ここでもまた、未来が「現われてくる」 時という印象は世界が時間的に一方向きであることに基づく幻想であるように思われます。それは、時間の運動による本当の効果ではないのです。」

(ポール・デイヴィス(1946-),『他の世界』(日本語書籍名『宇宙の量子論』),第10章 超時間,pp.292-293,地人書館,1985,木口勝義)


【中古】 宇宙の量子論 /ポール・C.W.デーヴィス(著者),木口勝義(著者) 【中古】afb







人気の記事(週間)

人気の記事(月間)

人気の記事(年間)

人気の記事(全期間)

ランキング

ランキング


哲学・思想ランキング



FC2