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2018年6月20日水曜日

諸学問の配列:(1)総合的配列、(2)解析的配列、(3)名辞に従う目録の配列。(ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716))

諸学問の配列

【諸学問の配列:(1)総合的配列、(2)解析的配列、(3)名辞に従う目録の配列。(ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716))】
 あらゆる学問的真理は、次の三つの主要な方法で配列し、またお互いに結びつける必要がある。ただし、個別的な事実や歴史・言語のことは別にしておく。
(1) 各命題を、数学者が行うように、それが論理的に依存する命題の後に配列する。すなわち、証明の順に並べる。
(2) 各命題を、目的を実現するために役立つ手段を探しやすいように配列する。すなわち、人類の目標である善の獲得や、悪の回避のための手段を、解析して階層的に配列する。
(3) (1)と(2)の間の記述の重複を避けるために、共通的な名辞の配列を用意して、(1)と(2)を互いに参照させる方法がある。この名辞の配列から、探そうとしている目的の(1)と(2)の命題にたどりつくことができる。その際、共通的な名辞の配列には、以下の二つの方法がある。
 (3.1)人々が共有して使用できる、ある範疇に従って、共通的な名辞を配列する。
 (3.2)アルファベット順に、共通的な名辞を配列する。
 なお、これら三つの方法が、次の三つの学問に対応しているのは興味深い。
(1) 総合的配列、理論的なもの、自然学
(2) 解析的配列、実践的なもの、道徳学
(3) 名辞に従う目録の配列、論証的なもの、論理学

 「ここから、ひとつの同じ真理は、それがもちうる異なった諸関係に従って多くの場所をもちうることが分かります。それで、蔵書を整理する人たちが、ある書物をどこにおくべきか分からなくなることもとてもしばしば起こります。二つか三つのふさわしい場所のうちで決心がつかないからです。しかし、今は一般的な原理についてだけお話しし、個別的な事実や歴史・言語のことは別にしておきましょう。私は、あらゆる学問的真理の二つの主要な配列を認めています。各々にはその長所があり、両者は結び付ける価値があるでしょう。一方は総合的で理論的なものです。これは、数学者が行うように、真理を証明の順に並べるものです。したがって、各命題はそれが依存する命題の後に来ることになります。他方の配列は解析的で実践的なものです。これは、人類の目標すなわち善、そのきわみは至福である善から始まり、そうした善を獲得したり反対の悪を避けたりするのに役立つ手段を順を追って探すものです。そして、これら二つの方法は、一般的に百科全書のなかで用いられ、またある人たちはそれらを個別的な学問のなかで用いてきました。」(中略)「しかし、そうした二つの配列を同時に用いて百科全書を書く場合には、反復を避けるために参照という方策を用いることができるでしょう。これら二つの配列に、名辞による第三の配列を付け加えなければなりません。これは、実際には一種の目録にすぎず、すべての人々が共有するであろうある範疇に従って名辞を並べる体系的なものであるか、学者の間で受け入れられている言語に従うアルファベット順のものであるかです。ところで、名辞が十分に注目に値する仕方で入っているすべての命題を見つけて集めるためには、そうした目録が必要でしょう。」(中略)「ところで、私はこうした三つの配列を考察して、それらが、あなたが復活させた古代の区分に対応しているのは好奇心をそそることだと思います。その区分とは、学問ないし哲学を理論的なもの・実践的なもの・論証的なものに、あるいは、自然学・道徳学・論理学に分けるものです。というのも、総合的配列は理論的なものに対応し、解析的[分析的]配列は実践的なものに対応し、名辞に従う目録の配列は論理学に対応しているからです。」
(ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716)『人間知性新論』第四部・第二一章[三]、ライプニッツ著作集5、pp.354-356、[谷川多佳子・福島清紀・岡部英男・1995])
(索引:諸学問の配列、総合的配列、解析的配列、名辞に従う目録の配列)

認識論『人間知性新論』 下 (ライプニッツ著作集)


(出典:wikipedia
ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716)の命題集(Collection of propositions of great philosophers)  「すべての実体は一つの全たき世界のようなもの、神をうつす鏡もしくは全宇宙をうつす鏡のようなものである。実体はそれぞれ自分の流儀に従って宇宙を表出するが、それはちょうど、同一の都市がそれを眺める人の位置が違っているのに応じて、さまざまに表現されるようなものである。そこでいわば、宇宙は存在している実体の数だけ倍増化され、神の栄光も同様に、神のわざについてお互いに異なっている表現の数だけ倍増化されることになる。また、どの実体も神の無限な知恵と全能という特性をいくぶんか具えており、できる限り神を模倣している、とさえ言える。というのは、実体はたとえ混雑していても、過去、現在、未来における宇宙の出来事のすべてを表出しており、このことは無限の表象ないしは無限の認識にいささか似ているからである。ところで、他のすべての実体もそれなりにこの実体を表出し、これに適応しているので、この実体は創造者の全能を模倣して、他のすべての実体に自分の力を及ぼしていると言うことができる。」
(ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716)『形而上学叙説』九、ライプニッツ著作集8、pp.155-156、[西谷裕作・1990])

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2018年5月26日土曜日

全体体系において上位の学問や普遍学ないしは発見術をもとにして、当該学問の全体を再生できるような公理や経験則を基礎づけることで、全体系が整合する。(ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716))

諸学問の体系

【全体体系において上位の学問や普遍学ないしは発見術をもとにして、当該学問の全体を再生できるような公理や経験則を基礎づけることで、全体系が整合する。(ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716))】
 ある学問は、その学問を生む機会と手段を与えた経験上の観察事項や精神の所見からなるごくわずかの命題に依存する。そのような命題は、仮にその学問が消失したとした場合に、再生させるのにはそれだけで十分足りるような命題である。また、その学問に十分専念しようと思った場合に、教師なしに学ぶためにはそれだけで足りるような命題である。そのような命題を、すでに知られているとされるある上位の学問の規則を結合しなければならない。その上位の学問とは、時には普遍学ないしは発見術であったり、時には他の学問であったりするところの、問題となっているその学問がその下位の部門であるような学問である。

上位の学問の規則
(普遍学ないしは発見術)
(他の学問)
   │
   ↓
経験上の観察事項や精神の所見からなるごくわずかの命題
(この命題を基礎にすれば、この学問全体を再生することができる命題)
(この命題を基礎にすれば、教師なしでも学ぶことができるような命題)

 「学問を発見する原理についていえば、重要なのは、おのおのの学問は普通、学問を生む機会と手段を与えた経験上の観察事項や精神の所見からなるごくわずかの命題に依存するということである。そのような命題とは、仮にその学問が消失したとした場合に、再生させるのにはそれだけで十分足りるような命題である。それはまた、その学問に十分専念しようと思った場合に、教師なしに学ぶためにはそれだけで足りるような命題である。ただし、そうするには普通は、そのような命題に、すでに知られているとされるある上位の学問の規則を結合しなければならない。その上位の学問とは、時には普遍学ないしは発見術であったり、時には他の学問であったりするところの、問題となっているその学問がその下位の部門であるような学問である。」
(ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716)『諸学問を進展させるための格率』、ライプニッツ著作集10、p.255、[小林道夫・1991])
(索引:諸学問の体系)

中国学・地質学・普遍学 (ライプニッツ著作集)



(出典:wikipedia
ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716)の命題集(Collection of propositions of great philosophers)  「すべての実体は一つの全たき世界のようなもの、神をうつす鏡もしくは全宇宙をうつす鏡のようなものである。実体はそれぞれ自分の流儀に従って宇宙を表出するが、それはちょうど、同一の都市がそれを眺める人の位置が違っているのに応じて、さまざまに表現されるようなものである。そこでいわば、宇宙は存在している実体の数だけ倍増化され、神の栄光も同様に、神のわざについてお互いに異なっている表現の数だけ倍増化されることになる。また、どの実体も神の無限な知恵と全能という特性をいくぶんか具えており、できる限り神を模倣している、とさえ言える。というのは、実体はたとえ混雑していても、過去、現在、未来における宇宙の出来事のすべてを表出しており、このことは無限の表象ないしは無限の認識にいささか似ているからである。ところで、他のすべての実体もそれなりにこの実体を表出し、これに適応しているので、この実体は創造者の全能を模倣して、他のすべての実体に自分の力を及ぼしていると言うことができる。」
(ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716)『形而上学叙説』九、ライプニッツ著作集8、pp.155-156、[西谷裕作・1990])

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