2020年9月3日木曜日

問題:称賛、非難されるべき真の善・悪は存在するのか。(a)本能や性癖か、理性、規則、義務なのか、(b)おのれの幸福の配慮か否か、(c)何らかの有用性の顧慮なのか否か、(d)困難な、希少な行為なのか否か。(フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900))

称賛、非難されるべき真の善・悪は存在するのか

【問題:称賛、非難されるべき真の善・悪は存在するのか。(a)本能や性癖か、理性、規則、義務なのか、(b)おのれの幸福の配慮か否か、(c)何らかの有用性の顧慮なのか否か、(d)困難な、希少な行為なのか否か。(フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900))】

(3)追加。

道徳的諸価値(良心の権威)
 問題:道徳的諸価値を生ぜしめ、発展させ、推移させてきた諸条件と事情とを解明すること。無意識の徴候、病気、真の目的の誤解、隠蔽する仮面、偽善としての道徳、あるいは、薬剤、興奮剤、抑制剤、毒物としての道徳。(フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900))
 (1)結果としての道徳
  結果としての道徳:自己満足、自己浄化、復讐のための道徳、病気としての道徳、真の目的の誤解、自己隠匿、仮面としての道徳、偽善、自己弁護のための道徳、おのれの意志に他者を服従させようとする道徳。(フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900))
  (a)無意識の徴候としての道徳
   ・主唱者の心を安らわせ自己満足を覚えさせようとするための道徳
   ・自己を浄化して高くはるかな天上へとのぼろうとするための道徳
  (b)病気としての道徳
   ・主唱者が自分自身を磔に処し屈辱にまみれさせようとするための道徳
  (c)真の目的の誤解としての道徳
   ・主唱者が他のものを忘却せしめるのに役立つ道徳
  (d)真の目的を隠す仮面としての道徳
   ・自己を隠匿しようとするための道徳
   ・主唱者が自己あるいは自己のあるものを人に忘却せしめるのに役立つ道徳
  (e)偽善としての道徳
   ・主唱者を、他の者に対して弁護することを意図した道徳
   ・主唱者が復讐しようとするための道徳
  (f)おのれの意志に他者を服従させようとする道徳
   ・人類のうえに権力と創意に富んだ思いつきとを実行してみようとする道徳
   ・自分が敬重し服従し得ることは、他者も服従すべきとする道徳
 (2)原因としての道徳
  (a)薬剤としての道徳
  (b)興奮剤としての道徳
  (c)抑制剤としての道徳
  (d)毒物としての道徳
 (3)称賛、非難されるべき真の善・悪は存在するのか
  (3.1)本能、性癖か、理性、規則、義務か
   ・本能であるがゆえに評価される行為
   ・性癖であるがゆえに評価される行為
   ・性癖なしでなされるがゆえに評価される行為
   ・最も明晰な理性であるがゆえに評価される行為
   ・規則にしたがっているがゆえに評価される行為
   ・義務であるがゆえに評価される行為
  (3.2)おのれの幸福の配慮か否か
   ・おのれの最善の幸福を配慮するがゆえに評価される行為
   ・おのれのことを配慮しないがゆえに評価される行為
  (3.3)何らかの有用性の顧慮か否か
   ・有用だとみなされるがゆえに評価される行為
   ・有用へのいかなる顧慮をも示さないがゆえに評価される行為
  (3.4)困難な、希少な行為か否か
   ・困難なことであるがゆえに評価される行為
   ・容易なことであるがゆえに評価される行為
   ・稀であるがゆえに評価される行為
   ・不可能だとみなされるがゆえに評価される行為
   ・総じて不可能(一つの奇蹟)だとみなされるがゆえに評価される行為


 「ここでは或る行為が、その行為は行為者には困難なことであるがゆえに評価され、かしこでは或る別の行為が、その行為は行為者には容易なことであるがゆえに、かしこでは或る行為が、その行為は稀であるがゆえに、かしこでは或る行為が、その行為は規則にしたがっているがゆえに、かしこでは或る行為が、評価者はその行為を自分には不可能だとみなすがゆえに、かしこでは或る行為が、評価者はその行為を総じて不可能(一つの奇蹟)だとみなすがゆえに、かしこでは或る行為が、その行為が有用だとみなされるがゆえに、かしこでは或る行為が、その行為は有用へのいかなる顧慮をも示さないがゆえに、かしこでは或る行為が、当の人間はそのようにしておのれの最善の仕合わせを配慮するがゆえに、かしこでは或る行為が、当の人間はそのさいおのれのことを配慮しないがゆえに、かしこでは〔或る行為が〕、その行為は義務であるがゆえに、かしこでは〔或る行為が〕、その行為が性癖であるがゆえに、かしこでは〔或る行為が〕、その行為が性癖なしでなされるがゆえに、かしこでは〔或る行為が〕、その行為は本能であるがゆえに、かしこでは〔或る行為が〕、その行為は最も明晰な理性であるがゆえに、評価される―――かくてこれら一切を人々はその時々に道徳的と呼ぶのだ! 私たちは現今、きわめて異なった諸文化のもろもろの尺度を同時に操作し、そしてこれらの諸尺度によってほとんどあらゆる事物を、まさに望み通りに、言いかえれば、仲間の人間たちや私たち自身に対する私たちの善意あるいは悪意に応じて、道徳的あるいは非道徳的だと評価することができる。道徳は現今では称讃や非難の大きな話題である。しかし、一体全体どうして称讃したり非難したりしなくてはならないのか? もし人々がそうしたことから脱却することができるならば、この大きな話題もまたもはや必要とされないことだろう。」
(フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900)『遺稿集・生成の無垢』Ⅱ道徳哲学 三四七、ニーチェ全集 別巻4 生成の無垢(下)、pp.200-201、[原佑・吉沢伝三郎・1994])
(索引:本能と道徳,理性と道徳,幸福と道徳,有用性と道徳,行為の困難性と道徳)

生成の無垢〈下〉―ニーチェ全集〈別巻4〉 (ちくま学芸文庫)


(出典:wikipedia
フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900)の命題集(Propositions of great philosophers) 「精神も徳も、これまでに百重にもみずからの力を試み、道に迷った。そうだ、人間は一つの試みであった。ああ、多くの無知と迷いが、われわれの身において身体と化しているのだ!
 幾千年の理性だけではなく―――幾千年の狂気もまた、われわれの身において突発する。継承者たることは、危険である。
 今なおわれわれは、一歩また一歩、偶然という巨人と戦っている。そして、これまでのところなお不条理、無意味が、全人類を支配していた。
 きみたちの精神きみたちの徳とが、きみたちによって新しく定立されんことを! それゆえ、きみたちは戦う者であるべきだ! それゆえ、きみたちは創造する者であるべきだ!
 認識しつつ身体はみずからを浄化する。認識をもって試みつつ身体はみずからを高める。認識する者にとって、一切の衝動は聖化される。高められた者にとって、魂は悦ばしくなる。
 医者よ、きみ自身を救え。そうすれば、さらにきみの患者をも救うことになるだろう。自分で自分をいやす者、そういう者を目の当たり見ることこそが、きみの患者にとって最善の救いであらんことを。
 いまだ決して歩み行かれたことのない千の小道がある。生の千の健康があり、生の千の隠れた島々がある。人間と人間の大地とは、依然として汲みつくされておらず、また発見されていない。
 目を覚ましていよ、そして耳を傾けよ、きみら孤独な者たちよ! 未来から、風がひめやかな羽ばたきをして吹いてくる。そして、さとい耳に、よい知らせが告げられる。
 きみら今日の孤独者たちよ、きみら脱退者たちよ、きみたちはいつの日か一つの民族となるであろう。―――そして、この民族からして、超人が〔生ずるであろう〕。
 まことに、大地はいずれ治癒の場所となるであろう! じじつ大地の周辺には、早くも或る新しい香気が漂っている。治癒にききめのある香気が、―――また或る新しい希望が〔漂っている〕!」
(フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900)『このようにツァラトゥストラは語った』第一部、(二二)贈与する徳について、二、ニーチェ全集9 ツァラトゥストラ(上)、pp.138-140、[吉沢伝三郎・1994])

フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900)
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結果としての道徳:自己満足、自己浄化、復讐のための道徳、病気としての道徳、真の目的の誤解、自己隠匿、仮面としての道徳、偽善、自己弁護のための道徳、おのれの意志に他者を服従させようとする道徳。(フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900))

結果としての道徳

【結果としての道徳:自己満足、自己浄化、復讐のための道徳、病気としての道徳、真の目的の誤解、自己隠匿、仮面としての道徳、偽善、自己弁護のための道徳、おのれの意志に他者を服従させようとする道徳。(フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900))】

(1)に追記。

道徳的諸価値(良心の権威)
 問題:道徳的諸価値を生ぜしめ、発展させ、推移させてきた諸条件と事情とを解明すること。無意識の徴候、病気、真の目的の誤解、隠蔽する仮面、偽善としての道徳、あるいは、薬剤、興奮剤、抑制剤、毒物としての道徳。(フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900))
 道徳的諸価値を生ぜしめ、発展させ、推移させてきた諸条件と事情とを解明すること。
 (1)結果としての道徳
  (a)無意識の徴候としての道徳
   ・主唱者の心を安らわせ自己満足を覚えさせようとするための道徳
   ・自己を浄化して高くはるかな天上へとのぼろうとするための道徳
   ・主唱者が復讐しようとするための道徳
  (b)病気としての道徳
   ・主唱者が自分自身を磔に処し屈辱にまみれさせようとするための道徳
  (c)真の目的の誤解としての道徳
   ・主唱者が他のものを忘却せしめるのに役立つ道徳
  (d)真の目的を隠す仮面としての道徳
   ・自己を隠匿しようとするための道徳
   ・主唱者が自己あるいは自己のあるものを人に忘却せしめるのに役立つ道徳
  (e)偽善としての道徳
   ・主唱者を、他の者に対して弁護することを意図した道徳
  (f)おのれの意志に他者を服従させようとする道徳
   ・人類のうえに権力と創意に富んだ思いつきとを実行してみようとする道徳
   ・自分が敬重し服従し得ることは、他者も服従すべきとする道徳
 (2)原因としての道徳
  (a)薬剤としての道徳
  (b)興奮剤としての道徳
  (c)抑制剤としての道徳
  (d)毒物としての道徳


 「「われわれの内には定言的命法がある」、というような主張の価値については措いて問わぬとしても、なおわれわれはこう問うことができる、そもそもこうした主張はその主張者について何を証言しているのか、と。道徳のなかには、この主唱者を他の者に対して弁護することを意図したものもある。また、主唱者の心を安らわせ自己満足を覚えさせようとするための道徳もある。さらには、主唱者が自分自身を磔に処し屈辱にまみれさせようとするための道徳もある。なおまた、主唱者が復讐しようとするための道徳、自己を隠匿しようとするための道徳、自己を浄化して高くはるかな天上へとのぼろうとするための道徳もある。ある道徳は、その主唱者が他のものを忘却せしめるのに役立ち、またある道徳は、その主唱者が自己あるいは自己のあるものを人に忘却せしめるのに役立つ。人類のうえに権力と創意に富んだ思いつきとを実行してみようとする多くの道徳家もいるし、他方また多くの道徳家は、ほかならぬカントもその仲間だが、自分の道徳論によって次のようなことをほのめかす、「私において敬重さるべきことは、私が服従しうるという一事だ。―――されば、あなたたちも私とまったく同じように《あるべき》である!」と。―――要するに、もろもろの道徳とても《情念の符号》にすぎないのだ。」
(フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900)『善悪の彼岸』第五章 道徳の博物学について、一八七、ニーチェ全集11 善悪の彼岸 道徳の系譜、p.154、[信太正三・1994])
(索引:道徳)

ニーチェ全集〈11〉善悪の彼岸 道徳の系譜 (ちくま学芸文庫)


(出典:wikipedia
フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900)の命題集(Propositions of great philosophers) 「精神も徳も、これまでに百重にもみずからの力を試み、道に迷った。そうだ、人間は一つの試みであった。ああ、多くの無知と迷いが、われわれの身において身体と化しているのだ!
 幾千年の理性だけではなく―――幾千年の狂気もまた、われわれの身において突発する。継承者たることは、危険である。
 今なおわれわれは、一歩また一歩、偶然という巨人と戦っている。そして、これまでのところなお不条理、無意味が、全人類を支配していた。
 きみたちの精神きみたちの徳とが、きみたちによって新しく定立されんことを! それゆえ、きみたちは戦う者であるべきだ! それゆえ、きみたちは創造する者であるべきだ!
 認識しつつ身体はみずからを浄化する。認識をもって試みつつ身体はみずからを高める。認識する者にとって、一切の衝動は聖化される。高められた者にとって、魂は悦ばしくなる。
 医者よ、きみ自身を救え。そうすれば、さらにきみの患者をも救うことになるだろう。自分で自分をいやす者、そういう者を目の当たり見ることこそが、きみの患者にとって最善の救いであらんことを。
 いまだ決して歩み行かれたことのない千の小道がある。生の千の健康があり、生の千の隠れた島々がある。人間と人間の大地とは、依然として汲みつくされておらず、また発見されていない。
 目を覚ましていよ、そして耳を傾けよ、きみら孤独な者たちよ! 未来から、風がひめやかな羽ばたきをして吹いてくる。そして、さとい耳に、よい知らせが告げられる。
 きみら今日の孤独者たちよ、きみら脱退者たちよ、きみたちはいつの日か一つの民族となるであろう。―――そして、この民族からして、超人が〔生ずるであろう〕。
 まことに、大地はいずれ治癒の場所となるであろう! じじつ大地の周辺には、早くも或る新しい香気が漂っている。治癒にききめのある香気が、―――また或る新しい希望が〔漂っている〕!」
(フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900)『このようにツァラトゥストラは語った』第一部、(二二)贈与する徳について、二、ニーチェ全集9 ツァラトゥストラ(上)、pp.138-140、[吉沢伝三郎・1994])

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