2026年8月23日日曜日

008必ずわかる難問題4

 


1. 記事のテーマ

心理学者E・トーリー・ヒギンズが提唱した「自己不一致理論(Self-Discrepancy Theory)」を通して解き明かす、人間の「自分自身に対する感情(落胆・罪悪感・恥・恐れ)」のメカニズムとその心理的構造。


2. 何が問題なのか

「もっとこうなりたいのに…」と落ち込んだり、「もっとしっかりしなければ…」と自分を責めたり、「親や上司の期待に応えられていない…」と不安や恐怖を感じたりすることはありませんか?

なぜ私たちは、同じ「理想や目標に届かない」という状況であっても、ある時は『落ち込み(落胆)』を感じ、またある時は『自分への怒り(罪悪感)』や『周囲への恐怖』を感じるのでしょうか?

心のモヤモヤやネガティブな感情の正体は、一体どこから生まれてくるのでしょうか?


★3. 解答の概要

私たちが日常で味わうネガティブな感情は、単なる気分の波ではなく、「現実の自分」と「目指すべき自分」との間のギャップ(不一致)の種類によって正確にパターン化されている、という驚くべき事実があります。

本記事では、自己概念を「自分視点」と「他者視点」の掛け合わせによる6つの領域(現実自己、理想自己、あるべき自己など)に分類。

・「理想の自分」になれない時は【落胆・不満】

・「義務や規範(あるべき自分)」を果たせない時は【罪悪感・自己卑下】

・「他者の望む理想」に届かない時は【恥・当惑】

・「他者の求める義務」を果たせない時は【恐れ・危機感】

このように、私たちが感じる不快な感情の正体が「どの自己とどの自己のズレによって生じているか」を論理的に解説しています。ネガティブ感情の背後にある「自分の心の構造」がクリアに見えてくる視点は、心理学の知見ならではの驚きと納得感をもたらしてくれます。


4. 用語集(ここで勉強できること)

※重要度の高い順に掲載


・現実自己(Actual Self)

 自分が「実際に持っている」と信じている属性や特徴のこと(例:「私はスポーツが得意だ」「自分は少し優柔不断だ」など)。感情の比較におけるすべての起点となる自分。


・理想自己(Ideal Self)

 自分または重要他者が「こうありたい、こうなってほしい」と希望し願う属性のこと。達成できないと「落胆」や「恥」を生み出す。


・あるべき自己(Ought Self)

 自分または重要他者が「持つべきだ、果たす義務がある」と感じている属性のこと。守れないと「罪悪感」や「恐れ・危機感」を生み出す。


・自己不一致理論(Self-Discrepancy Theory)

 E・トーリー・ヒギンズが提唱した理論。現実自己と、理想自己・あるべき自己との間にあるズレ(不一致)が、特定の感情的苦痛を引き起こすとする心理学モデル。


・重要他者(Significant Others)

 父親・母親・配偶者・上司など、自分の価値観や自己評価に強い影響を与える特定の他者のこと。「他者視点の理想/あるべき自己」を形成する要因となる。


・自己概念の視点(自身 vs 他者)

 自己概念は「自分自身がどう思っているか(自身)」だけでなく、「価値ある他者が自分をどう見ていると思っているか(他者)」という2つの視点から多角的に構成されているという捉え方。

https://sententiarum2.blogspot.com/2018/05/e1946.html


https://sententiarum2.blogspot.com/2018/05/e1946_4.html

007必ずわかる難問題3

  ★007_必ずわかる難問題3


(15)から追記


★(1)前回、宇宙の構造と、法則の概要を話しました。現代の物理学は、かなりの精度で真理を掴んでいて、高度な技術の基礎知識にもなっています。


★(2)この宇宙の法則から、生命が生まれて進化することが理解できるだろうか。


★(3)意識が生まれ、その意識が宇宙の法則を理解することを、説明できるだろうか。


★(4)宇宙の出来事の生成は、確率の法則に従っているが、個々の出来事の生成は、偶然に支配されている。


★(5)ところが生命は、良くなろうとする傾向がある。物理学の法則とは矛盾しないのか?


★(6)(仮説)はじめの一歩は、小さな一歩で、偶然だったのだろう。ある分子の配列が、「自己保存」に適したものを探り当てたとき、変化はランダムではなく、方向性を持つことになった。もしかしたら、最初の探り当ても、無数の分子配列の量子的な重ね合わせの中から、まさに「自己保存する」がゆえに出来事として発生するのではないのか? 量子コンピュータのような速さで、無数の組み合わせが一瞬のうちに試行され、自己保存する配列が生き残る。この仮説が正しいなら、生命の発生は、必然だったことになる。


★(7)有機体は、外部環境と内部環境の変化を検出し、その変化が有機体の自己保存と効率的機能にとって良いか悪いかを評価して反応し、外部環境と内部環境を変更する。


★(8)ホメオスタシスの入れ子構造:(1)各機構は、より単純な機構を構成要素としている。(2)そ の際、新しい問題に対応している。(3)全体として「幸福を伴う生存」が目指されている。 (アントニオ・ダマシオ(1944-))


★ホメオスタシスの各階層


(a)感情


(b)狭義の情動


(c)多数の動因と動機、あるいは欲求


(d)快(および報酬)または苦(および罰)と結びついている行動


(e)免疫系


(f)基本的な反射


(g)代謝のプロセス


★(9)代謝のプロセス

 有機体は、内部環境の変化を検出し、その変化が有機体の自己保存と効率的機能にとって良いか悪いかを評価して反応し、代謝のプロセスで内部環境を調整する。


★(10)基本的な反射

 有機体は、外部環境の変化を検出し、その変化が有機体の自己保存と効率的機能にとって良いか悪いかを評価して反応し、基本的な反射で対応する


★(11)免疫系

 有機体は、内部環境の変化を検出し、その変化が有機体の自己保存と効率的機能にとって良いか悪いかを評価して反応し、免疫系で内部環境を調整する。《誘発原因》は、有機体の外部から侵入してくるウイルス、細菌、寄生虫、毒性化学分子など。有機体の内部であっても、例えば死滅しつつある細胞から放出される有害な化学分子。


★(12)快(および報酬)または苦(および罰)と結びついている行動――快楽行動、苦痛行動

 有機体は、外部環境と内部環境の変化を検出し、その変化が有機体の自己保存と効率的機能にとって良いか悪いかを評価して反応し、代謝のプロセスや免疫系で内部環境を調整したり、基本的な反射で反応したりするが、やがて外部環境の特定の対象や状況への接近反応や退避反応をするようになる。

★(12.1)低いレベルの注意

「意識の理論は単に、脳はどのように対象のイメージに目を向けるか、というような理論であっては「ならない」。私が見るところ、生得的な低いレベルの注意は意識に先行して存在し、一方、集中的な注意は意識が生まれてから生じる。意識にとって、注意はイメージをもつのと同じぐらい必要なものである。しかし、注意は意識にとって十分なものではないし、意識と同じものでもない。(アントニオ・ダマシオ(1944-)『起こっていることの感覚』(日本語名『無意識の脳 自己意識の脳』)第1部 脳と意識の謎、第1章「脳の中の映画」とは何か、pp.35-38、講談社(2003)、田中三彦(訳))



★(13)多数の動因と動機、あるいは欲求

 有機体は、外部環境と内部環境の変化を検出し、その変化が有機体の自己保存と効率的機能にとって良いか悪いかを評価して反応し、代謝のプロセスや免疫系で内部環境を調整したり、基本的な反射で反応したりするが、やがて外部環境の特定の対象や状況への接近反応や退避反応をするようになる。そして、外部環境と内部環境の変化検出と評価の一部を意識化することで、特定の動因による行動を組織化するようになる。

《定義》欲求:ある特定の動因によって活発化する有機体の行動的状態

《例》空腹感、喉の渇き、好奇心、探究心、気晴らし、性欲など。


★(14)意識化された外部環境、内部環境

・外部感覚(特殊感覚)

・自分の肢体のなかにあるように感じる痛み、熱さ、その他の変様(表在性感覚、深部感覚)

・身体ないしその一部に関係付ける知覚としての、飢え、渇き、その他の自然的欲求(内臓感覚)

参考:精神の受動のひとつ、身体ないしその一部に関係づける知覚として、飢え、渇き、その他の自然的欲求、自分の肢体のなかにあるように感じる痛み、熱さ、その他の変様がある。(ルネ・デカルト(1596-1650))


★(15)情動

 感覚で与えられた対象や事象、あるいは想起された対象や事象を感知したとき、自動的に引き起こされる身体的パターンであり、喜び、悲しみ、恐れ、怒りなどの語彙で表現される。 それは、対象や事象の評価を含み、脳や身体の状態を一時的に変更することで、思考や行動に 影響を与える。情動誘発因のあるものは進化の過程で獲得され、他のものは個人の生活の中で学習される。あるときは無意識的に情動が誘発され、またあるときは意識的な評価段階を経て情動 が誘発される。誘発された情動の実体はまた意識の諸様相であり情動誘発因の場合もある。

★(15.1)「第三の、そしてたぶんもっとも意味深い事実は、意識と情動は分離「できない」ということ。(中略)通常、意識に障害が起こると情動にも障害が起こる。」(アントニオ・ダマシオ(1944-)『起こっていることの感覚』(日本語名『無意識の脳 自己意識の脳』)第1部 脳と意識の謎、第1章「脳の中の映画」とは何か、pp.35-38、講談社(2003)、田中三彦(訳))

★(16)中核意識と延長意識

「意識は単純なものと複雑なものに分けることが可能であり、神経学的証拠からその分離は明白だ。私が「中核意識」(core consciousness)と呼ぶもっとも単純な種類の意識は、有機体に一つの瞬間「いま」と一つの場所「ここ」についての自己感を授けている。」(中略)「他方、私が「延長意識」(extended consciousness)と呼んでいる多くのレベルと段階からなる複雑な種類の意識は、有機体に精巧な自己感――まさに「あなた」、「私」というアイデンティティと人格――を授け、また、生きてきた過去と予期される未来を十分に自覚し、また外界を強く意識しながら、その人格を個人史的な時間の一点に据えている。」(アントニオ・ダマシオ(1944-)『起こっていることの感覚』(日本語名『無意識の脳 自己意識の脳』)第1部 脳と意識の謎、第1章「脳の中の映画」とは何か、pp.35-38、講談社(2003)、田中三彦(訳))




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