学問の目的
【学問の真の目的は、人類の利益に役立つことだ。以下のような目的の見誤りは大きな過ちである。金儲けや生活の手段、戦いに勝つための知恵、装飾と名声、好奇心と探求の欲求、心を楽しませてくれる喜び。(フランシス・ベーコン(1561-1626))】(a)金儲けと生活の資のため
利得や販売のための店を求めているようである。
(b)知恵で勝って相手をやっつけることができるため
戦い争うための砦や展望のきく陣地を求めているようである。
(c)装飾と名声のため
高慢な精神がその上に登るための高い塔を求めているようである。
(d)自然な好奇心と探求の欲求のため
さ迷い歩く移り気な精神が美しい景色を見ながらあちこちと歩くためのテラスを求めているようである。
(e)様々な喜びで心を楽しませるため
探し求めて落ち着かない精神を休ませるための臥床を求めているようである。
(f)人類の利益になり、役に立つよう誠実に立派に使うため
創造主を賛美し人間のみじめさを救うために、豊かな倉庫を求めているようである。
「しかし、他のどれよりも大きなあやまちは、知識の最後の、あるいは終極の目的を見誤りあるいははきちがえることである。というのは、人びとが学問と知識を求めるようになるのは、ときとして、自然な好奇心と探求の欲求からであり、ときとして、さまざまな喜びで心を楽しませるためであり、ときとして、装飾と名声のためであり、またときとして、知恵で勝って相手をやっつけることができるためであるが、しかしたいていは、かねもうけと生活の資のためであって、神から授かった理性を、人類の利益になり、役にたつよう、誠実に、りっぱに使うためであることはまれであって、人びとはまるで、知識のなかに、探し求めておちつかない精神を休ませるための臥床を求めているようでもあり、さまよい歩く移り気な精神が美しい景色を見ながらあちこちと歩くためのテラスを求めているようでもあり、高慢な精神がそのうえにのぼるための高い塔を求めているようでもあり、戦い争うためのとりでや展望のきく陣地を求めているようでもあり、利得や販売のための店を求めているようでもあるが、創造主を賛美し人間のみじめさを救うために、豊かな倉庫が求められているようではない。」
(フランシス・ベーコン(1561-1626)『学問の進歩』第一巻、五・一一、pp.67-68、[服部英次郎、多田英次・1974])
(索引:学問の不健康な状態、学問の目的)
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(出典:wikipedia)
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(フランシス・ベーコン(1561-1626)『学問の進歩』第一巻、八・六、pp.109-110、[服部英次郎、多田英次・1974])(索引:学問の船)
フランシス・ベーコン(1561-1626)
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