知性への過度の尊敬
【人間の精神と知性に対する過度の尊敬と一種の崇拝が、過ちに陥らせることがある。大きな書物である自然を、一字一字を拾いながら、少しずつ判じ取るように観察し考察しなければ、真理には到達できない。(フランシス・ベーコン(1561-1626))】「もう一つのあやまちは、人間の精神と知性に対する過度の尊敬と一種の崇拝からおこったものであるが、このあやまちゆえに、人びとは、自然の考察と経験の観察をすっかりやめてしまって、勝手なりくつをこね、根も葉もないことを考えて、混乱してしまったのである。これらの自分勝手な思いにふける人びとは、そうはいうものの、ふつう、もっとも崇高で、神のような哲学者と考えられているが、ヘラクレイトスはかれらに正当な非難をあびせて、「人びとは、真理をかれら自身の小さな世界に求めて、大きい共通の世界に求めなかった」〔セクストゥス・エンピリクス『教師連の論駁』七の一三三〕といっている。すなわち、人びとは一字一字をひろいながら、少しずつ、神のみわざをしるしている書物〔自然〕を判じとることをさげすみ、それとは反対に、たえず瞑想し精神をゆり動かして、かれら自身の霊をせきたて、いわばよび出して、それに予言をさせ、信託を告げさせるのであるが、そのためにかれらがまどわされるのも当然なのである。」
(フランシス・ベーコン(1561-1626)『学問の進歩』第一巻、五・六、pp.64-65、[服部英次郎、多田英次・1974])
(索引:学問の不健康な状態、知性への過度の尊敬)
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(出典:wikipedia)
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(フランシス・ベーコン(1561-1626)『学問の進歩』第一巻、八・六、pp.109-110、[服部英次郎、多田英次・1974])(索引:学問の船)
フランシス・ベーコン(1561-1626)
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