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2019年4月10日水曜日

国会議員に当選するには、地盤(後援会)、看板(知名度)、鞄(資金)の「三バン」が必要とされている。政治を変えるには、情熱のある人が誰でも立候補でき、落選したら以前の生活に戻れるような制度が必要だ。(池上彰(1950-))

地盤(後援会)、看板(知名度)、鞄(資金)

【国会議員に当選するには、地盤(後援会)、看板(知名度)、鞄(資金)の「三バン」が必要とされている。政治を変えるには、情熱のある人が誰でも立候補でき、落選したら以前の生活に戻れるような制度が必要だ。(池上彰(1950-))】
 「一般の人が国会議員になるのは大変です。最近は候補者公募をしている政党もあるので、そこに応募するという手もあります。
 こうしたしくみを通じて、会社でバリバリ働いていたエリート社員や、国際組織で働いていた人、ボランティア活動に従事していた若者など、候補者の多様化が進みました。
 しかし、候補者になれても、当選までの道のりは遠くて険しい。当選するためには、「三バン」が必要とされています。「ジバン」「カンバン」「カバン」です。
 「ジバン」とは、地盤のこと。支持者も後援会もない地域で立候補しても、誰も応援してくれませんよね。しかし、地元にゆかりの人なら、小・中学校や高校時代の同級生たちが、「あいつのためなら一肌脱ぐか」と言って応援してくれることもあるでしょう。
 自分が立候補を宣言したとき、どれだけの人が応援してくれるのか。それによって、人徳レベルがわかってしまいます。
 「カンバン」とは、看板。つまり候補者の知名度です。その地域で名の知られた人が有利です。地元で市議会議員や県議会議員として活躍してきた実績があれば、地域内でよく知られていますから、有権者も投票用紙に名前を書きやすいですよね。その地域に古くから伝わる名家の出という人も、知名度の点では有利になったりします。
 投票用紙に自分の名前を書いてもらえるようにするためには、知名度が必要です。地元に縁が薄くても、テレビで名や顔を売った人は有利でしょう。
 そして「カバン」とは、鞄のこと。政界の隠語で、資金のことです。資金のたっぷり入ったカバンが必要だ、という意味です。
 政治にはお金がかかります。選挙運動にも資金が必要です。それがないと選挙に勝てない、という意味なのです。
 これら三つを合わせて「三バン」といいます。単なる語呂合わせのような表現ですが、この「三バン」を持っていないと選挙で当選できないというわけです。
 でもこれだけのものを持っている人は少ないですよね。一般庶民はとても立候補できなくなってしまいます。
 政治を変えるには、「世の中を変えたい」という情熱がある人は誰でも気軽に立候補できるしくみが必要です。「とても当選は無理」とみんながしり込みをしていては、いつまでも同じ政治家が当選し続けることになり、政治を変えることができないからです。
 「よし、では頑張って立候補しよう!」と決意しても、落選したときのことを考えると、決意も鈍ります。
 一般のサラリーマンが選挙に立候補しようとすると、会社を辞めなければならないのが普通です。選挙に落ちたときに「復職させてください」と言っても、「選挙に出た特別な人」という色眼鏡で見られてしまい、もとの職場に戻ることは難しくなります。
 誰でも気軽に立候補できて、落選したら、以前の生活にすぐ戻れる。政治を変えるためには、まずはこんな社会にすることも大切なのです。」
(池上彰(1950-),『イラスト図解 社会人として必要な経済と政治のことが5時間でざっと学べる』PART2 政治,第1章 「国会議員」はどんなことをしている?,06 国会議員になるには「三バン」が必要?,pp.202-205,KADOKAWA(2018))
(索引:地盤(後援会),看板(知名度),鞄(資金))

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(出典:wikipedia
池上彰(1950-)の命題集(Collection of propositions of great philosophers)  「あなたが同じ立場だったらどうするか?
 もし、あなた方があのときにそのチッソの水俣工場で働いている社員だったら、どうしますか、ということです。つまり熊本県でも有数の企業です。水俣にとってはいちばん大手の企業です。水俣で生まれ育って、学校を出て、チッソに就職するというのは地元の人にとってはいちばんのエリートコースですよね。それこそ、みなさんがもしチッソに就職が決まったと報告をすれば、家族はもちろん親戚もみんな、「いやあいいところに就職したね、よかったね」と祝福してくれるはずです。もちろん、プラスチックの可塑剤という、日本という国が豊かになるときに必要なものをつくっているわけですから、みんな誇りを持って働いていたはずです。ところがやがて、そこから出てくる廃水が原因で、地元の住民に健康被害が出る、という話が聞こえるようになってきた。さあ、みなさんは果たしてどんな行動をとりますか、ということです。当時のチッソの社員たち。たとえば病院の医師が、原因究明のために猫を使って実験をしていた。でも会社から、そんな実験はやめろ、と言われたからやめてしまった。あるいは多くの社員は気がついていたからこそ、排水口の場所を変えたわけです。それによってさらに被害を広めてしまった。労働組合が分裂をして、そこで初めて、企業の仕打ちに気がついた社員たちが声を上げるようになった。さあ、もしそういうことになったら、みなさんはどういう態度をとりますか。
 いまの日本は廃水の基準に厳しいですから、何かあればすぐわかるでしょう。でもいま、実は、まったく同じようなことが中国のあちこちで起きています。開発途上国で同じようなことが起きているのですね。みなさんが就職をしました。そこの会社が実は、東南アジアあるいはアフリカに、現地の工場を持っている。現地の工場に、要員として派遣されました。そこで働いていた。そうしたらその周辺で、健康被害が出ている住民たちがいることに気がついた。あなたはどういう態度をとるのか。まさにそれが問われている、ということなのですね。決して他人事ではないのだということがわかっていただけるのではないでしょうか。」
(池上彰(1950-),『「経済学」講義 歴史編』lecture5 高度経済成長の歪み,pp.228-229,KADOKAWA(2015))
(索引:)

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2019年4月9日火曜日

地方選出の国会議員は、東京への単身赴任であるが、土日には選出の地元へ帰って活動している。これが、国会議員の「金帰火来」である。(池上彰(1950-))

国会議員の「金帰火来」

【地方選出の国会議員は、東京への単身赴任であるが、土日には選出の地元へ帰って活動している。これが、国会議員の「金帰火来」である。(池上彰(1950-))】
 「金曜夜、羽田空港から地方に向かう最終便の機内には、議員バッジをつけた人が何人も乗っています。同じころ、東京駅から出る新幹線「のぞみ」のグリーン車にも、国会議員の顔がチラホラと……。これが、国会議員の「金帰火来」と呼ばれるものです。
 国会議員は、国会に出席するのが仕事です。そこで、地方選出議員には東京都内の一等地に議員宿舎が用意され、安い家賃で暮らすことができます。さらに仕事場として、国会議事堂のすぐ横の議員会館もあります。
 しかし、地方選出議員にしてみれば、地元の選挙区のことが気になりますよね。まして、前回の選挙で落選したライバル候補が地元で挨拶回りをしているなどという情報を聞くと、心配でたまらなくなるでしょう。
 「猿は木から落ちても猿だが、議員は落ちるとただの人」と言われます。次の選挙で落ちないように、週末には地元で活動しようということになります。そこで、金曜日の夜になると、羽田空港や東京駅に向かうことになるのです。前に取りあげたように、地元へ帰る航空券や新幹線グリーン車のパスは支給されています。
 地元を大切にしていることをアピールするために、地元にも事務所を構えて秘書を雇い、家族は地元の自宅にいて、支援者の相談相手になったりするケースがほとんどです。議員は東京へ単身赴任なのです。
 土曜日と日曜日は、地元で支援者の家に挨拶に行ったり、「国会報告会」を開いたりします。「地元のために頑張っています」とアピールしなければならないからです。
 土日に議員が地元の支援者と会うことは、国政にも影響を与えます。議論が分かれる問題について、支援者たちからは「けしからん」「仕方ないよ」などと、直接的な反応を受けることになります。その結果、硬直していた事態が動くこともあり、民意の反映にもつながっているといえるのです。」
(池上彰(1950-),『イラスト図解 社会人として必要な経済と政治のことが5時間でざっと学べる』PART2 政治,第1章 「国会議員」はどんなことをしている?,03 国会議員は1週間どう働くのか,pp.190-193,KADOKAWA(2018))
(索引:国会議員の「金帰火来」)

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(出典:wikipedia
池上彰(1950-)の命題集(Collection of propositions of great philosophers)  「あなたが同じ立場だったらどうするか?
 もし、あなた方があのときにそのチッソの水俣工場で働いている社員だったら、どうしますか、ということです。つまり熊本県でも有数の企業です。水俣にとってはいちばん大手の企業です。水俣で生まれ育って、学校を出て、チッソに就職するというのは地元の人にとってはいちばんのエリートコースですよね。それこそ、みなさんがもしチッソに就職が決まったと報告をすれば、家族はもちろん親戚もみんな、「いやあいいところに就職したね、よかったね」と祝福してくれるはずです。もちろん、プラスチックの可塑剤という、日本という国が豊かになるときに必要なものをつくっているわけですから、みんな誇りを持って働いていたはずです。ところがやがて、そこから出てくる廃水が原因で、地元の住民に健康被害が出る、という話が聞こえるようになってきた。さあ、みなさんは果たしてどんな行動をとりますか、ということです。当時のチッソの社員たち。たとえば病院の医師が、原因究明のために猫を使って実験をしていた。でも会社から、そんな実験はやめろ、と言われたからやめてしまった。あるいは多くの社員は気がついていたからこそ、排水口の場所を変えたわけです。それによってさらに被害を広めてしまった。労働組合が分裂をして、そこで初めて、企業の仕打ちに気がついた社員たちが声を上げるようになった。さあ、もしそういうことになったら、みなさんはどういう態度をとりますか。
 いまの日本は廃水の基準に厳しいですから、何かあればすぐわかるでしょう。でもいま、実は、まったく同じようなことが中国のあちこちで起きています。開発途上国で同じようなことが起きているのですね。みなさんが就職をしました。そこの会社が実は、東南アジアあるいはアフリカに、現地の工場を持っている。現地の工場に、要員として派遣されました。そこで働いていた。そうしたらその周辺で、健康被害が出ている住民たちがいることに気がついた。あなたはどういう態度をとるのか。まさにそれが問われている、ということなのですね。決して他人事ではないのだということがわかっていただけるのではないでしょうか。」
(池上彰(1950-),『「経済学」講義 歴史編』lecture5 高度経済成長の歪み,pp.228-229,KADOKAWA(2015))
(索引:)

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2019年3月30日土曜日

(a)歳費(約129万円/月),(b)期末手当(約540万円/年),(c)文書・交通費(100万円/月),(d)立法調査費(65万円/月),(e)公設秘書2人と政策秘書1人分の給料(約2000万円/年),(f)議員宿舎,(g)帰省費用(新幹線無料パスまたは航空券4往復/月),(h)海外視察(約200万円)など。(池上彰(1950-))

国会議員1人当たり費用(2018年現在)

【(a)歳費(約129万円/月),(b)期末手当(約540万円/年),(c)文書・交通費(100万円/月),(d)立法調査費(65万円/月),(e)公設秘書2人と政策秘書1人分の給料(約2000万円/年),(f)議員宿舎,(g)帰省費用(新幹線無料パスまたは航空券4往復/月),(h)海外視察(約200万円)など。(池上彰(1950-))】
 「2018年現在、国会議員に支払われる「歳費」(給与)は月額129万4000円で、これにボーナスにあたる期末手当約540万円も加わるため、年間で約2100万円となります。これ以外に、文書・交通費として、毎月100万円ずつ支払われます。年間で1200万円です。これには税金がかからず、まるまる受け取ることができます。
 また、議員個人に対してではありませんが、議員が所属している党に、議員1人あたり月65万円の立法調査費が支払われます。これは、法案を作成したり、そのために調査をしたりするための費用です。
 さらに、議員1人につき公設秘書2人と政策秘書1人分の給料が支払われます。これは秘書の経験によって異なるのですが、合計すると2000万円程度は支払われます。これだけで、ざっと6000万円が税金から支払われていますね。
 これ以外にも、議員会館や議員宿舎の維持管理費がかかります。議員宿舎は地方選出の議員が東京で仕事をするために用意されたものです。緊急時にも国会に駆けつけられるように都心の一等地にあるのは当然といえます。ただし、東京に自宅を持つ地方選出の議員もいます。そうした人たちにまで議員宿舎が割りあてられていることに対しては、国民のあいだに批判的な声も少なくありません。
 ほかにも、はっきりとは見えないところで議員に税金が使われています。たとえば、国会と議員宿舎を結ぶ議員専用の無料バス。衆参両院で計200台の黒塗りの専用車も用意されています。議員が地元と東京を往復できるように新幹線グリーン車が乗り放題の無料パスか、月4往復分の航空券ももらえます。新幹線が走っていなくても、毎週無料で飛行機に乗って地元に帰ることができるわけですね。
 まだまだあります。国会議員の海外視察にも公費が出ます。年間一人あたり約200万円までなら議員の負担はないのです。飛行機はファーストクラスが使えます。
 細かい話をすれば、もっとあります。議員会館の各部屋には内線電話1回線と、外線電話2回線があります。東京都内だったら無料でかけ放題。外線電話の基本料金も公費です。
 もちろん、議員は国民の代表。必要なお金を税金で負担するのは当然のこと。たとえば、鉄道の無料パスなどがあることで、お金がない地方選出の議員でも国政に関わることができるわけです。
 でも、そうしたお金がはたして無駄づかいされていないのか、チェックしていく必要がありますね。」
(池上彰(1950-),『イラスト図解 社会人として必要な経済と政治のことが5時間でざっと学べる』PART2 政治,第1章 「国会議員」はどんなことをしている?,01 国会議員の給料はどれくらい?,pp.182-185,KADOKAWA(2018))
(索引:国会議員1人当たり費用(2018年現在))

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(出典:wikipedia
池上彰(1950-)の命題集(Collection of propositions of great philosophers)  「あなたが同じ立場だったらどうするか?
 もし、あなた方があのときにそのチッソの水俣工場で働いている社員だったら、どうしますか、ということです。つまり熊本県でも有数の企業です。水俣にとってはいちばん大手の企業です。水俣で生まれ育って、学校を出て、チッソに就職するというのは地元の人にとってはいちばんのエリートコースですよね。それこそ、みなさんがもしチッソに就職が決まったと報告をすれば、家族はもちろん親戚もみんな、「いやあいいところに就職したね、よかったね」と祝福してくれるはずです。もちろん、プラスチックの可塑剤という、日本という国が豊かになるときに必要なものをつくっているわけですから、みんな誇りを持って働いていたはずです。ところがやがて、そこから出てくる廃水が原因で、地元の住民に健康被害が出る、という話が聞こえるようになってきた。さあ、みなさんは果たしてどんな行動をとりますか、ということです。当時のチッソの社員たち。たとえば病院の医師が、原因究明のために猫を使って実験をしていた。でも会社から、そんな実験はやめろ、と言われたからやめてしまった。あるいは多くの社員は気がついていたからこそ、排水口の場所を変えたわけです。それによってさらに被害を広めてしまった。労働組合が分裂をして、そこで初めて、企業の仕打ちに気がついた社員たちが声を上げるようになった。さあ、もしそういうことになったら、みなさんはどういう態度をとりますか。
 いまの日本は廃水の基準に厳しいですから、何かあればすぐわかるでしょう。でもいま、実は、まったく同じようなことが中国のあちこちで起きています。開発途上国で同じようなことが起きているのですね。みなさんが就職をしました。そこの会社が実は、東南アジアあるいはアフリカに、現地の工場を持っている。現地の工場に、要員として派遣されました。そこで働いていた。そうしたらその周辺で、健康被害が出ている住民たちがいることに気がついた。あなたはどういう態度をとるのか。まさにそれが問われている、ということなのですね。決して他人事ではないのだということがわかっていただけるのではないでしょうか。」
(池上彰(1950-),『「経済学」講義 歴史編』lecture5 高度経済成長の歪み,pp.228-229,KADOKAWA(2015))
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