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2019年11月20日水曜日

(a)個人の自発性、独創性、道徳的勇気が人類の進歩の源泉であり、(b)個人が自ら目標を選択するのが、人間の最も本質的なことだ、という理由によって、干渉や妨害からの自由、消極的自由が基礎づけられてきた。(アイザイア・バーリン(1909-1997))

消極的自由の基礎づけ

【(a)個人の自発性、独創性、道徳的勇気が人類の進歩の源泉であり、(b)個人が自ら目標を選択するのが、人間の最も本質的なことだ、という理由によって、干渉や妨害からの自由、消極的自由が基礎づけられてきた。(アイザイア・バーリン(1909-1997))】

(1.3)追加。
(1.4)追加。

(1)消極的自由
  消極的自由とは、他人から故意の干渉や妨害を受けず、また制度的な制約もなく、放任されていることである。可能でないことの諸原因、開かれている可能性の程度については、別に考察を要する。(アイザイア・バーリン(1909-1997))
 (1.1)他人から故意の干渉や妨害を受けず、放任されていること。
  (a)個人あるいは個人の集団が、自分のしたいことをしても、放任されている。
  (b)個人あるいは個人の集団が、自分のありたいものであることを、放任されている。
  (c)他人から、故意の干渉や妨害を受けない。
  (d)他人から、行動の範囲を限定されていれば、自由ではなく強制されていると言える。
 (1.2)可能でないことの諸原因と消極的自由
  (a)他人の妨害ではない物理的制約、身体的制約、病気や障害
   可能でないことの全てが、消極的自由の制限ではない。
  (b)他人の妨害ではない個人の能力の不足や貧困
   (i)一般には、消極的自由の制限とは考えられない。
   (ii)可能でないことが、特定の社会・経済理論によって、個人の能力の不足や貧困の原因が、個人以外の原因に帰属させられるとき、「自由が奪われている」と認識される。
  (c)他人の故意の干渉や妨害:消極的自由の制限
  (d)法律により制度的な制限:消極的自由の制限
 (1.3)いかに自由でも、最低限放棄しなければならない自由
  (a)いかに不自由でも、最低限守らなければならない自由は、すべての個人が持つ権利である。
  (b)従って、その自由を奪いとることは、他のすべての個人に禁じられなければならない。
 (1.4)いかに不自由でも、最低限守らなければならない自由
  (a)これを放棄すれば人間本性の本質に背くことになる自由は、放棄することができない。
  (b)では、人間本性の本質とは何か。自由の範囲を定める規準は、何か。
   自然法の原理、自然権の原理、功利の原理、定言命法、社会契約、その他の概念
  (c)個人の自由は、文明の進歩のために必要である。
   (i)文明の進歩の源泉は個人であり、個人の自発性、独創性、道徳的勇気が、真理や変化に富んだ豊かなものを生み出す。
   (ii)これに対して、集団的凡庸、慣習の重圧、画一性への不断の傾向が存在する。あるいはまた、公的権威による侵害、組織的な宣伝による大量催眠など。
  (d)自分で善しと考えた目標を選択し生きるのが、人間にとって一番大切で本質的なことである。
   仮に、本人以外の他の人が、いかに親切な動機から、いかに立派な目標であると思えても、その目標以外の全ての扉を本人に対して閉ざしてしまうことは、本人に対して罪を犯すことになる。


 「われわれは絶対的に自由であることなどできぬ。自由のうちのあるものを護るために他を放棄しなければならない。けれども、全面的な自己放棄は自滅である。ではいったい、その最小限とはなんでなければならないか。それは、これを放棄すれば人間本性の本質にそむくことになるものである。その本質とはなにか。それがもたらす規準とはなんであるか。これは果てしのない論争のたねであったし、おそらくいつまでもそうであるだろう。しかし、干渉を蒙らない範囲を定めるところの原理がなんであれ、それが自然法の原理であれ自然権の原理であれ、あるいはまた功利の原理であれ定言命法の宣告であれ、社会契約の神聖であれ、その他ひとびとが自分の確信を明確化し正当化しようとしてきた概念であれ、この意味における自由は《から》の自由 liberty from のことである。移動はするけれどもつねに認識はできる境界線をこえて干渉を受けないということだ。「自由の名に値する唯一の自由は、われわれ自身の仕方でわれわれ自身の善を追求することである」と、もっとも有名な自由主義のチャンピョンはいっている。もしそうであるならば、はたして強制は正当化されるであろうか。ミルはそれが正当化されることになんの疑問も抱かなかった。すべての個人が最小限の自由をもつ権利があるとは正義の要求するところであるから、だれかからその自由を奪いとることは必然的に他のすべての個人に禁じられなければならない、必要があれば力をもってしても禁じられなければならないというのである。実際、法律の全機能はまさにそのような衝突を防止することにあった。国家は、ラッサールが侮蔑的に名づけた夜警あるいは交通巡査の機能にまで縮小されてしまったのだ。
 個人の自由の保護ということをミルにとってかくも神聖なものたらしめたものは、なんであったか。かの有名なエッセイでかれはこう述べている――そもそも人間が「ただ自分だけに関わりのある道を通って」欲するがままの生き方ができるのでなければ、文明は進歩することができない。観念〔思想〕の自由市場がなければ、真理はあらわれてはこないだろう。そして自発性、独創性、天才の、精神的エネルギーの、道徳的勇気の、はけ口がなくなってしまうだろう。社会は「集団的凡庸」 collective mediocrity の重みのためにおしつぶされてしまうであろう。変化に富んだ豊かなものはすべて、慣習の重圧、画一性への不断の傾向性によってうちくだかれてしまい、慣習や画一性は「衰弱した凡才」、「痩せこけて偏屈な」、「締めつけられゆがめられた」人間しか産み出さないであろう。「異教的な自己主張は、キリスト教的自己否定と同じく価値のあるものだ」。「忠告とか警告とかにさからってひとが犯しがちなあらゆる過ちは、他人が善しと考えたものに自分を束縛することを容認する悪よりは、はるかにまさっている」。自由の擁護とは、干渉を防ぐという「消極的」な目標に存する。自分で目的を選択する余地のない生活を甘受しないからといって迫害をもってひとを脅かすこと、そのひとのまえの他のすべての扉を閉ざしてしまってただひとつの扉だけを開けておくこと、それは、その開いている扉のさし示す前途がいかに立派なものであり、またそのようにしつらえたひとびとの動機がいかに親切なものであったにしても、かれが人間である、自分自身で生きるべき生活をもった存在であるという真実に対して罪を犯すことである。このような自由が、エラスムス(オッカムというひともあるかもしれない)の時代から今日にいたる近代世界において自由主義者たちの考えてきた自由なのだ。市民的自由とか個人の権利のためのあらゆる抗弁、搾取や屈辱に対する、公的権威の侵害に対する、あるいはまた慣習ないし組織的な宣伝による大量催眠に対するすべての抗議は、みなこの議論の多い個人主義的な人間観から発したものなのである。」
(アイザイア・バーリン(1909-1997),『二つの自由概念』(収録書籍名『歴史の必然性』),1 「消極的」自由の概念,pp.17-19,みすず書房(1966),生松敬三(訳))
(索引:消極的自由,個人の自発性,独創性,道徳的勇気,目標の選択)

歴史の必然性 (1966年)


(出典:wikipedia
アイザイア・バーリン(1909-1997)の命題集(Collection of propositions of great philosophers)  「ヴィーコはわれわれに、異質の文化を理解することを教えています。その意味では、彼は中世の思想家とは違っています。ヘルダーはヴィーコよりももっとはっきり、ギリシャ、ローマ、ジュデア、インド、中世ドイツ、スカンディナヴィア、神聖ローマ帝国、フランスを区別しました。人々がそれぞれの生き方でいかに生きているかを理解できるということ――たとえその生き方がわれわれの生き方とは異なり、たとえそれがわれわれにとっていやな生き方で、われわれが非難するような生き方であったとしても――、その事実はわれわれが時間と空間を超えてコミュニケートできるということを意味しています。われわれ自身の文化とは大きく違った文化を持つ人々を理解できるという時には、共感による理解、洞察力、感情移入(Einfühlen)――これはヘルダーの発明した言葉です――の能力がいくらかあることを暗に意味しているのです。このような文化がわれわれの反発をかう者であっても、想像力で感情移入をすることによって、どうして他の文化に属する人々――われわれ似たもの同士(nos semblables)――がその思想を考え、その感情を感じ、その目標を追求し、その行動を行うことができるのかを認識できるのです。」
(アイザイア・バーリン(1909-1997),『ある思想史家の回想』,インタヴュア:R. ジャハンベグロー,第1の対話 バルト地方からテムズ河へ,文化的な差異について,pp.61-62,みすず書房(1993),河合秀和(訳))

アイザイア・バーリン(1909-1997)

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