2019年4月11日木曜日

グローバル化の影響:(a)賃金下落と労働条件悪化への圧力、(b)法人税率低下への圧力、(c)資本市場、コモディティ市場の不安定化、(d)非効率な産業からの転換による失業者の増加。(ジョセフ・E・スティグリッツ(1943-))

グローバル化の影響

【グローバル化の影響:(a)賃金下落と労働条件悪化への圧力、(b)法人税率低下への圧力、(c)資本市場、コモディティ市場の不安定化、(d)非効率な産業からの転換による失業者の増加。(ジョセフ・E・スティグリッツ(1943-))】

(1)グローバル化を推進する際に主張される理念
 (1.1)グローバル化は、国全体の産出量、たとえばGDPを上昇させる。
 (1.2)グローバル化の利益が、トリクルダウン効果で国民全体に行きわたる。
(2)グローバル化に伴い、実際に発生する事象
 (2.1)資本が自由に移動できることにより、労働者と政府に対する交渉力が強まる。
  (a)賃金が低く、労働条件が悪い国へ工場を移転させることができる。この結果、国内においても、労働者に対する交渉力が強まり、賃金を引き下げることができる。
  (b)法人税率が低い国へ事業所を移転させることができる。この結果、国内においても、政府に対する交渉力が強まり、法人税率を引き下げることができる。
  (c)仮に、労働力の移動が自由化され、資本の移動が禁止された場合には、各国は労働者を惹きつけるために、良い住環境、良い教育環境、労働者に対する低い税率を競うことだろう。
 (2.2)資本市場、コモディティ市場の変動性が高まる。
 (2.3)輸入増によって失業した人々は、次の仕事にありつけない確率が高く、失業者となる。
  (a)政府は、マクロ経済政策と雇用政策によって、失業率が跳ね上がらないようにする必要がある。
  (b)金融セクターは、破壊された古いビジネスの代わりに、新しいビジネスを創造するという本来の役割を果たす必要がある。
 「グローバル化の管理に用いられた手法は、それ自体が賃金を押し下げる効果を発揮してきた。グローバル化の過程で、労働者の交渉力が骨抜きにされたのだ。資本の移動性が高くて関税率が低い場合、企業は労働者にこう言うだけでいい。賃金や労働条件の引き下げを呑まなければ、工場をどこかへ移転させる、と。ここでは、労働力の移動が自由化され、資本の移動が禁止された世界を想定し、非対称的なグローバル化が交渉力にどのような影響を及ぼすかを見ていこう。まず、各国は労働者をひきつけるために競い合うだろう。彼らは良い住環境や、良い教育環境や、労働者に対する低い税率を約束するだろう。そして、これらの財源を確保するため、資本に対して高い税率を課すだろう。残念ながら、わたしたちが住む世界はそうなっていない。原因のひとつは、上位1パーセントの人々がそう望まないからだ。
 労働者の交渉力を弱める方向で、政府にグローバル化のルールを設定させたあと、企業はさらに政治のテコを使って、法人税率の引き下げを要求することができる。具体的に言えば、税金を下げてくれないなら、もっと税率の低い国に会社を移転させる、と国家に脅しをかけるのだ。彼らは特定の政治課題を推し進めることで、自分たちに都合よく市場の力を形成してきたが、当然ながら、そのプロセスで真の目的を明かしてはいない。企業はグローバル化――資本の自由な移動と投資の保護――を議論する際、結果として自分たちが利益にあずかり、結果として残りがツケを払うことを伏せ、社会全体が恩恵を受けるというまことしやかな主張に終始するのである。
 この主張には二つの穴がある。第一に、グローバル化は国全体の産出量、たとえばGDPを上昇させるという点。第二に、グローバル化の利益がトリクルダウン効果で国民全体に行きわたるという点だ。二つの議論はいずれも正しくない。市場が完璧に機能する環境下で、自由貿易を実現するのであれば、労働者は保護された非効率的なセクターから、保護されていない効率的な輸出関連セクターへ移動できる。結果として、GDPが上昇する”可能性”もあるだろう。しかし、多くの場合、市場はそれほどうまく機能しない。たとえば、輸入増によって失業した人々は、次の仕事にありつけない確率が高く、彼らは失業者となる。保護された非効率的なセクターの労働者が、失業者層へ移動してしまえば、GDPは低下をまぬがれない。アメリカではまさにこのような事態が起こってきたのである。このような事態が起こるのは、政府がマクロ経済の舵取りを誤り、国内の失業率が跳ね上がったときと、金融セクターが本来の仕事を怠り、破壊された古いビジネスの代わりに新しいビジネスを創造できなかったときだ。
 グローバル化がGDPを低下させるもうひとつの理由としては、リスクの増加が挙げられる。開放性を高めた国家は、資本市場の不安定化からコモディティ市場の不安定化まで、あらゆる種類のリスクにさらされる可能性がある。市場の変動性が大きくなればなるほど、企業は事業上のリスクを縮小させる方向へ動くと予想されるが、リスクの低い事業はえてして収益性も低い。このリスク回避の効果がふくらんだ場合、全国民の暮らし向きが悪化するような事態も起こりうる。」
(ジョセフ・E・スティグリッツ(1943-),『不平等の代価』(日本語書籍名『世界の99%を貧困にする経済』),第3章 政治と私欲がゆがめた市場,pp.114-116,徳間書店(2012),楡井浩一,峯村利哉(訳))
(索引:グローバル化の影響,賃金下落,労働条件悪化,法人税率低下,市場の不安定化)

世界の99%を貧困にする経済


(出典:wikipedia
ジョセフ・E・スティグリッツ(1943-)の命題集(Collection of propositions of great philosophers)  「改革のターゲットは経済ルール
 21世紀のアメリカ経済は、低い賃金と高いレントを特徴として発展してきた。しかし、現在の経済に組み込まれたルールと力学は、常にあきらかなわけではない。所得の伸び悩みと不平等の拡大を氷山と考えてみよう。
 ◎海面上に見える氷山の頂点は、人々が日々経験している不平等だ。少ない給料、不充分な利益、不安な未来。
 ◎海面のすぐ下にあるのは、こういう人々の経験をつくり出す原動力だ。目には見えにくいが、きわめて重要だ。経済を構築し、不平等をつくる法と政策。そこには、不充分な税収しか得られず、長期投資を妨げ、投機と短期的な利益に報いる税制や、企業に説明責任をもたせるための規制や規則施行の手ぬるさや、子どもと労働者を支える法や政策の崩壊などがふくまれる。
 ◎氷山の基部は、現代のあらゆる経済の根底にある世界規模の大きな力だ。たとえばナノテクノロジーやグローバル化、人口動態など。これらは侮れない力だが、たとえ最大級の世界的な動向で、あきらかに経済を形づくっているものであっても、よりよい結果へ向けてつくり替えることはできる。」(中略)「多くの場合、政策立案者や運動家や世論は、氷山の目に見える頂点に対する介入ばかりに注目する。アメリカの政治システムでは、最も脆弱な層に所得を再分配し、最も強大な層の影響力を抑えようという立派な提案は、勤労所得控除の制限や経営幹部の給与の透明化などの控えめな政策に縮小されてしまう。
 さらに政策立案者のなかには、氷山の基部にある力があまりにも圧倒的で制御できないため、あらゆる介入に価値はないと断言する者もいる。グローバル化と人種的偏見、気候変動とテクノロジーは、政策では対処できない外生的な力だというわけだ。」(中略)「こうした敗北主義的な考えが出した結論では、アメリカ経済の基部にある力と闘うことはできない。
 わたしたちの意見はちがう。もし法律やルールや世界的な力に正面から立ち向かわないのなら、できることはほとんどない。本書の前提は、氷山の中央――世界的な力がどのように現われるかを決める中間的な構造――をつくり直せるということだ。
 つまり、労働法コーポレートガバナンス金融規制貿易協定体系化された差別金融政策課税などの専門知識の王国と闘うことで、わたしたちは経済の安定性と機会を最大限に増すことができる。」

  氷山の頂点
  日常的な不平等の経験
  ┌─────────────┐
  │⇒生活していくだけの給料が│
  │ 得られない仕事     │
  │⇒生活費の増大      │
  │⇒深まる不安       │
  └─────────────┘
 経済を構築するルール
 ┌─────────────────┐
 │⇒金融規制とコーポレートガバナンス│
 │⇒税制              │
 │⇒国際貿易および金融協定     │
 │⇒マクロ経済政策         │
 │⇒労働法と労働市場へのアクセス  │
 │⇒体系的な差別          │
 └─────────────────┘
世界規模の大きな力
┌───────────────────┐
│⇒テクノロジー            │
│⇒グローバル化            │
└───────────────────┘

(ジョセフ・E・スティグリッツ(1943-),『アメリカ経済のルールを書き換える』(日本語書籍名『これから始まる「新しい世界経済」の教科書』),序章 不平等な経済システムをくつがえす,pp.46-49,徳間書店(2016),桐谷知未(訳))
(索引:)

ジョセフ・E・スティグリッツ(1943-)
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何十億年とかかって豊かな共生を達成してきた地上のあらゆる生の営み、それはすべて化学反応の世界だ。核反応は化学反応より100万倍も強く、一歩間違えれば、もはややり直しがきかないような事故のリスクを抱えている。(高木仁三郎(1938-2000))

核技術の特殊性

【何十億年とかかって豊かな共生を達成してきた地上のあらゆる生の営み、それはすべて化学反応の世界だ。核反応は化学反応より100万倍も強く、一歩間違えれば、もはややり直しがきかないような事故のリスクを抱えている。(高木仁三郎(1938-2000))】

 「私たちの地上の世界は、生物界も含めて基本的に化学物質によって構成されている世界である。生物が生きるということは、物を食べ酸素を呼吸し、物質やエネルギーを合成し、また排泄によって環境に戻すという循環の流れの中に身を置くことで、生きるというのは基本的に「(自然と)共に生きる」ということ以外ではあり得ない(声明文の「自然《との》和解」ということと関係している)。そしてこの循環は、基本的に化学物質の結合と分解といった化学過程(科学の言葉でいえば、原子を構成する電子の反応)の範囲で成り立っているのである。
 これまで、核以前の技術はこの原理を超えたことはなかった(どんなに先端的な技術も、したがって、すべて地上の自然界に先例を見出すことができた)。ところが、核というのは、化学結合よりも一〇〇万倍も強力な力、これまでの自然界にはまったく異質な物質と原理を、まったくそれに備えのなかった地上に導入したのである。
 このことの恐ろしさの一端を、我々はチェルノブイリ原発の事故によって目のあたりにすることになった。一瞬の爆発によって、世界中が放射能の恐怖に見舞われた。この出来事は、何十億年とかかって豊かな共生を達成してきた地上のあらゆる生の営みが、ヒトという生物のちょっとしたボタンの押し間違いといったことによっても、一瞬にして灰と化しうることを、あらためて私たちに悟らせた。この破局の一瞬はいつ訪れるかしれない―――チェルノブイリがそうであったように。そして、その一瞬がひとたび訪れた以上、もはややり直しはきかないのである。
 核文明は、そのように破滅の一瞬を、いつも時限爆弾のように、その胎内に宿しながら、存在している。この危機は明らかにこれまでのものとまったく異質のものではないだろうか。そして今、その時限爆弾がカチカチと時を刻む音が、いよいよ大きく、私たちの耳に入ってこないだろうか。」
(高木仁三郎(1938-2000)『高木仁三郎著作集 第一巻 脱原発へ歩みだすⅠ』チェルノブイリ――最後の警告 第Ⅲ章 ポスト・チェルノブイリに向けて、pp.242-243)
(索引:核技術の特殊性,核反応,化学反応)

脱原発へ歩みだす〈1〉 (高木仁三郎著作集)

(出典:高木仁三郎の部屋
友へ―――高木仁三郎からの最後のメッセージ
 「「死が間近い」と覚悟したときに思ったことのひとつに、なるべく多くのメッセージを多様な形で多様な人々に残しておきたいということがありました。そんな一環として、私はこの間少なからぬ本を書き上げたり、また未完にして終わったりしました。
 未完にして終わってはならないもののひとつが、この今書いているメッセージ。仮に「偲ぶ会」を適当な時期にやってほしい、と遺言しました。そうである以上、それに向けた私からの最低限のメッセージも必要でしょう。
 まず皆さん、ほんとうに長いことありがとうございました。体制内のごく標準的な一科学者として一生を終わっても何の不思議もない人間を、多くの方たちが暖かい手を差しのべて鍛え直して呉れました。それによってとにかくも「反原発の市民科学者」としての一生を貫徹することができました。
 反原発に生きることは、苦しいこともありましたが、全国、全世界に真摯に生きる人々とともにあることと、歴史の大道に沿って歩んでいることの確信から来る喜びは、小さな困難などをはるかに超えるものとして、いつも私を前に向って進めてくれました。幸いにして私は、ライト・ライブリフッド賞を始め、いくつかの賞に恵まれることになりましたが、繰り返し言って来たように、多くの志を共にする人たちと分かち合うものとしての受賞でした。
 残念ながら、原子力最後の日は見ることができず、私の方が先に逝かねばならなくなりましたが、せめて「プルトニウム最後の日」くらいは、目にしたかったです。でもそれはもう時間の問題でしょう。すでにあらゆる事実が、私たちの主張が正しかったことを示しています。なお、楽観できないのは、この末期的症状の中で、巨大な事故や不正が原子力の世界を襲う危険でしょう。JCO事故からロシア原潜事故までのこの一年間を考えるとき、原子力時代の末期症状による大事故の危険と結局は放射性廃棄物が垂れ流しになっていくのではないかということに対する危惧の念は、今、先に逝ってしまう人間の心を最も悩ますものです。
 後に残る人々が、歴史を見通す透徹した知力と、大胆に現実に立ち向かう活発な行動力をもって、一刻も早く原子力の時代にピリオドをつけ、その賢明な終局に英知を結集されることを願ってやみません。私はどこかで、必ず、その皆さまの活動を見守っていることでしょう。
 私から一つだけ皆さんにお願いするとしたら、どうか今日を悲しい日にしないでください。
 泣き声や泣き顔は、私にはふさわしくありません。
 今日は、脱原発、反原発、そしてより平和で持続的な未来に向っての、心新たな誓いの日、スタートの楽しい日にして皆で楽しみましょう。高木仁三郎というバカな奴もいたなと、ちょっぴり思い出してくれながら、核のない社会に向けて、皆が楽しく夢を語る。そんな日にしましょう。
 いつまでも皆さんとともに
 高木 仁三郎
 世紀末にあたり、新しい世紀をのぞみつつ」
(高木仁三郎(1938-2000)『高木仁三郎著作集 第四巻 プルートーンの火』未公刊資料 友へ―――高木仁三郎からの最後のメッセージ、pp.672-674)

高木仁三郎(1938-2000、物理学、核化学)
原子力資料情報室(CNIC)
Citizens' Nuclear Information Center
認定NPO法人 高木仁三郎市民科学基金|THE TAKAGI FUND for CITIZEN SCIENCE
高木仁三郎の部屋
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ニュース(高木仁三郎)
高木仁三郎 略歴・業績Who's Whoarsvi.com立命館大学生存学研究センター
原子力市民委員会(2013-)
原子力市民委員会
Citizens' Commission on Nuclear Energy
原子力市民委員会 (@ccnejp) | Twitter
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ニュース(原子力市民委員会)

1860年リンカーンが大統領に当選。50万人近い死者を出した南北戦争(1861~65)で奴隷制が廃止されたが、南部諸州では根強い差別が今も残る。先祖の功績を称える「南軍旗」は、今も黒人差別の象徴でもある。(池上彰(1950-))

「南軍旗」

【1860年リンカーンが大統領に当選。50万人近い死者を出した南北戦争(1861~65)で奴隷制が廃止されたが、南部諸州では根強い差別が今も残る。先祖の功績を称える「南軍旗」は、今も黒人差別の象徴でもある。(池上彰(1950-))】
 「アメリカの黒人教会で発生した銃の乱射事件は、いまだにアメリカに残る黒人差別を象徴するものでした。この事件をきっかけに、アメリカ国内では、グーグルやアマゾンが動き出すなど思わぬ影響が広がりました。
 事件が起きたのは2015年6月17日の夜のこと。アメリカ南部のサウスカロライナ州チャールストン市の黒人教会で白人男性が銃を乱射。教会で聖書の勉強会に参加していた黒人12人のうち9人が死亡しました。犠牲者の中には州の上院議員を務めていた教会の牧師も含まれています。
 アメリカには、俗に黒人教会と呼ばれる教会が存在します。自らをそう名乗るわけではなく、宗派もさまざまですが、集まる信者はほとんどが黒人。ゴスペルを歌って踊るなど、独特の文化を持っています。
 襲撃された教会は、エマニュエル・アフリカン・メソジスト・エピスコパル教会。1816年創設といいますから、200年の歴史を持つ由緒あるものです。
 黒人の地位向上運動に取り組んだキング牧師も、1962年にこの教会で演説しています。
 事件が起きたチャールストン市の隣の市では、2015年4月、逃げる黒人男性を白人警察官が背後から射殺する事件が起き、警察官は殺人の罪で起訴されました。黒人は、黒人であるだけで白人警察官から不審者として職務質問されることが多く、その過程でトラブルになることがしばしばあります。
 こんな雰囲気は、アメリカ南部に行くと、至るところで感じます。私がとりわけ違和感を覚えるのは、アメリカ南部の州の公共施設に、その州の旗と共に「南軍旗」が掲げられていることです。20年以上前になりますが、始めて見たときには、「南北戦争が終わって100年以上経つのに、まだ南部連合の旗を掲げているのか」と仰天したことを思い出します。
 この南軍旗が、今回の事件で槍玉に上がりました。事件を起こした黒人差別主義者の21歳の男が、南軍旗を持っている写真を事件前にインターネットに投稿していたことがわかったからです。
 南軍旗は、赤地に青い対角線が描かれ、青い対角線の中に13個の白い星が交差しています。13個の星は、7つずつ交差し、中央の星はひとつ。これは、南部の州がアメリカからの離脱を宣言したときに同調した7つの州と、最終的にアメリカ連合国に参加したとされる13の州の数を象徴しています。
 アメリカの南北戦争は、1861年から65年まで戦われました。1860年、奴隷制に反対するエイブラハム・リンカーンが大統領に当選すると、奴隷制を維持していた南部の諸州が反発。真っ先にサウスカロライナがアメリカ合衆国から離脱を宣言。計7州が脱退して、アメリカ連合国を結成しました。
 その後4州が合流して計11州となりますが、さらに2州内の反対派が加わったことから、アメリカ連合国を13と数えることもあり、星の数の13は、これを意味しています。
 アメリカ連合国と、アメリカ合衆国からの離脱を認めない北部の州は戦争に突入。これが南北戦争です。投入された兵士は、北軍が156万人、南軍が90万人という総力戦となり、両軍合わせて50万人近い死者を出しました。
 結局は北軍の勝利に終わり、これをきっかけに、アメリカでは奴隷制が廃止されることになりますが、南部では根強い黒人差別が続いています。
 また、負けた南部諸州には、南軍に対するノスタルジーが残ります。英雄的に戦った先祖の功績を称えようという意識もあり、これが、南軍旗の掲揚につながります。州の施設に、アメリカの国旗と州の旗、それに南軍旗を並列して掲揚する州があるのです。サウスカロライナも、そのひとつです。
 州の旗も、ミシシッピ、アラバマ、フロリダについては、現在も南軍旗のデザインが一部に取り入れられています。
 しかし、黒人奴隷制を守ろうとした南部を象徴する旗は、そのまま黒人差別の象徴にもなります。」(後略)
(池上彰(1950-),『これが「世界を動かすパワー」だ!』POWER1 アメリカ,「南軍旗」を知っていますか?,pp.58-61,文藝春秋(2016))
(索引:南軍旗,南北戦争,黒人差別)

池上彰のこれが「世界を動かすパワー」だ! (文春e-book)


(出典:wikipedia
池上彰(1950-)の命題集(Collection of propositions of great philosophers)  「あなたが同じ立場だったらどうするか?
 もし、あなた方があのときにそのチッソの水俣工場で働いている社員だったら、どうしますか、ということです。つまり熊本県でも有数の企業です。水俣にとってはいちばん大手の企業です。水俣で生まれ育って、学校を出て、チッソに就職するというのは地元の人にとってはいちばんのエリートコースですよね。それこそ、みなさんがもしチッソに就職が決まったと報告をすれば、家族はもちろん親戚もみんな、「いやあいいところに就職したね、よかったね」と祝福してくれるはずです。もちろん、プラスチックの可塑剤という、日本という国が豊かになるときに必要なものをつくっているわけですから、みんな誇りを持って働いていたはずです。ところがやがて、そこから出てくる廃水が原因で、地元の住民に健康被害が出る、という話が聞こえるようになってきた。さあ、みなさんは果たしてどんな行動をとりますか、ということです。当時のチッソの社員たち。たとえば病院の医師が、原因究明のために猫を使って実験をしていた。でも会社から、そんな実験はやめろ、と言われたからやめてしまった。あるいは多くの社員は気がついていたからこそ、排水口の場所を変えたわけです。それによってさらに被害を広めてしまった。労働組合が分裂をして、そこで初めて、企業の仕打ちに気がついた社員たちが声を上げるようになった。さあ、もしそういうことになったら、みなさんはどういう態度をとりますか。
 いまの日本は廃水の基準に厳しいですから、何かあればすぐわかるでしょう。でもいま、実は、まったく同じようなことが中国のあちこちで起きています。開発途上国で同じようなことが起きているのですね。みなさんが就職をしました。そこの会社が実は、東南アジアあるいはアフリカに、現地の工場を持っている。現地の工場に、要員として派遣されました。そこで働いていた。そうしたらその周辺で、健康被害が出ている住民たちがいることに気がついた。あなたはどういう態度をとるのか。まさにそれが問われている、ということなのですね。決して他人事ではないのだということがわかっていただけるのではないでしょうか。」
(池上彰(1950-),『「経済学」講義 歴史編』lecture5 高度経済成長の歪み,pp.228-229,KADOKAWA(2015))
(索引:)

池上彰(1950-)
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