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2018年6月22日金曜日

モリナ主義への反論。(ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716))

モリナ主義への反論

【モリナ主義への反論。(ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716))】
モリナ主義の「中知」  (再掲)
(c) この宇宙において、ある一定の条件が現実化すればそこから生起する条件的事象。神にとっては、直視の知と叡智の知との間の「中知」、人間は自由意志の行使により、これを知る。すなわち、ある一定の条件が現実化すると、人間はその状況では「自由」に為し、しかもその自由意志には「誤用」もあり得る。

(d) 人間の自由意志がそこで発現するという、ある一定の条件が現実化するにしても、この条件の成就自体がやはり、この宇宙の法則によって支配されているだけでなく、この条件において人間の自由意志がいかにして発現するかについても、法則に支配されているはずであり、「行為を条件から切り離そうとしても、それはできないことであろう。」
(e) モリナ主義者は、条件から切り離された純粋な自由意志、すなわち「人間の良き資質」そのものが、この宇宙の原理・法則でもあり得ると考えたが、これは全宇宙を支配する統一的な法則という点から、満足できるものではない。
(f) ある人は、中知は単純叡智の知に包含されるべきだと考えた。

中知は単純叡智  (再掲)
(a) この宇宙を支配している法則に則り、可能的なものとして存在している事象。神の「単純叡智の知」、人間はその一端を理性によりうかがい知る。

 「四一―――私はこの論争の詳細には立ち入らない。一つの典型的な例を示すだけで十分である。聖アウグスティヌスや彼の初期の弟子たちはこのような考え方をよしとはしなかっただろうが、幾人かの古代の人たちはモリナの考えに極めて近かったと思われる。トマス主義者や聖アウグスティヌスの弟子と呼ばれた人々(しかし論敵はこの人たちをヤンセン主義者と呼んでいた)はこの教説を哲学的にも神学的にも論駁した。ある人は、中知は単純叡智の知に包含されるべきだと考えた。しかし主要な反論はこの知の基礎に向けられている。というのも、ケイラの人々がしようとしたことを知るために神はいかなる基礎を有しているのだろうか。一回の偶然かつ自由な行為は、それが神の決意やそれに依存した原因により先定されたものと考えられない限りは、それだけでは確実な原理を与え得るものを含みはしない。それゆえ、現実的に自由な行為の内に見出される困難は条件的に自由な行為の内にも見出せることであろう。つまり、神がこの条件的に自由な行為を認識するのは、その行為の原因を条件とするとき、また事物の第一原因たる神の決意を条件とするときに限られるであろう。そのため、ある偶然的事象を原因の認識から独立した仕方で認識しようとして行為を条件から切り離そうとしても、それはできないことであろう。したがって、すべては神の決意の先定へと還元すべきだということになろう。そしてそれゆえ、(言うところの)中知は無用の長物となり果てるであろう。聖アウグスティヌスに近いと自認している神学者たちは、モリナ主義者の考え方に基づくと人間の良き資質の内に神の恩寵の源泉を見出すことになるだろうとも考えたが、しかしそのような考え方は神の栄光に反するし聖パウロの教説にも反すると判断した。」
(ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716)『弁神論』本論[第一部]四一、ライプニッツ著作集6、p.152、[佐々木能章・1990])
(索引:自由意志、モリナ主義、モリナ主義への反論)

ライプニッツ著作集 (6) 宗教哲学『弁神論』 上


(出典:wikipedia
ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716)の命題集(Collection of propositions of great philosophers)  「すべての実体は一つの全たき世界のようなもの、神をうつす鏡もしくは全宇宙をうつす鏡のようなものである。実体はそれぞれ自分の流儀に従って宇宙を表出するが、それはちょうど、同一の都市がそれを眺める人の位置が違っているのに応じて、さまざまに表現されるようなものである。そこでいわば、宇宙は存在している実体の数だけ倍増化され、神の栄光も同様に、神のわざについてお互いに異なっている表現の数だけ倍増化されることになる。また、どの実体も神の無限な知恵と全能という特性をいくぶんか具えており、できる限り神を模倣している、とさえ言える。というのは、実体はたとえ混雑していても、過去、現在、未来における宇宙の出来事のすべてを表出しており、このことは無限の表象ないしは無限の認識にいささか似ているからである。ところで、他のすべての実体もそれなりにこの実体を表出し、これに適応しているので、この実体は創造者の全能を模倣して、他のすべての実体に自分の力を及ぼしていると言うことができる。」
(ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716)『形而上学叙説』九、ライプニッツ著作集8、pp.155-156、[西谷裕作・1990])

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