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2018年5月20日日曜日

38.変革を憎む保守的な考え、古いものを抹殺する急進的な考えは、ともに不健康な状態である。古いものを尊敬し、その基礎の上に立って最善の道を見極め、見極めた確信に基づき変革すること。(フランシス・ベーコン(1561-1626))

保守的と急進的

【変革を憎む保守的な考え、古いものを抹殺する急進的な考えは、ともに不健康な状態である。古いものを尊敬し、その基礎の上に立って最善の道を見極め、見極めた確信に基づき変革すること。(フランシス・ベーコン(1561-1626))】
(a)古いものを偏重する保守的な人は、新しいものがつけ加わる変革を憎む。
(b)新しいものを偏愛する急進的な人は、ただ付け加えるだけでは満足できず、古いものを抹殺せずにおかない。
(c)古いものは尊敬に値するものであり、人びとはその上に立って、最善の道がどれであるかを見きわめるべきである。そして、見きわめたという確信がついたら、それからはどんどん進んでゆくべきである。


 「それらのうち第一のものは、二つの極端に対する極度の愛好である。すなわち、一方は古いものの偏重であり、もう一方は新しいものの偏愛である。」(中略)
 「すなわち、古いものを好む保守的なひとは、新しいものがつけ加わる変革を憎み、新しいものを好む急進的なひとは、ただつけ加えるだけでは満足できず、古いものを抹殺せずにおかないのである。」(中略)
 「すなわち、古いものは尊敬に値するものであって、人びとはその上に立って、最善の道がどれであるかを見きわめるべきではあるが、しかし、見きわめたという確信がついたら、それからはどんどん進んでゆくべきである。それに、じつをいうと、「時代の古いということは、世界の若かったことである」〔出典不詳〕。世界が年をとっている現代こそが古い時代なのであって、われわれ自身から「逆算して」古いと考える時代が古い時代であるのではない。」
(フランシス・ベーコン(1561-1626)『学問の進歩』第一巻、五・一、pp.61-62、[服部英次郎、多田英次・1974])
(索引:学問の不健康な状態、保守的、急進的)

学問の進歩 (岩波文庫 青 617-1)


(出典:wikipedia
フランシス・ベーコン(1561-1626)の命題集(Collection of propositions of great philosophers)  「不死こそ、子をうみ、家名をあげる目的であり、それこそ、建築物と記念の施設と記念碑をたてる目的であり、それこそ、遺名と名声と令名を求める目的であり、つまり、その他すべての人間の欲望を強めるものであるからである。そうであるなら、知力と学問の記念碑のほうが、権力あるいは技術の記念碑よりもずっと永続的であることはあきらかである。というのは、ホメロスの詩句は、シラブル一つ、あるいは文字一つも失われることなく、二千五百年、あるいはそれ以上も存続したではないか。そのあいだに、無数の宮殿と神殿と城塞と都市がたちくされ、とりこわされたのに。」(中略)「ところが、人びとの知力と知識の似姿は、書物のなかにいつまでもあり、時の損傷を免れ、たえず更新されることができるのである。これを似姿と呼ぶのも適当ではない。というのは、それはつねに子をうみ、他人の精神のなかに種子をまき、のちのちの時代に、はてしなく行動をひきおこし意見をうむからである。それゆえ、富と物資をかなたからこなたへ運び、きわめて遠く隔たった地域をも、その産物をわかちあうことによって結びつける、船の発明がりっぱなものであると考えられたのなら、それにもまして、学問はどれほどほめたたえられねばならぬことだろう。学問は、さながら船のように、時という広大な海を渡って、遠く隔たった時代に、つぎつぎと、知恵と知識と発明のわけまえをとらせるのである。
(フランシス・ベーコン(1561-1626)『学問の進歩』第一巻、八・六、pp.109-110、[服部英次郎、多田英次・1974])(索引:学問の船)


フランシス・ベーコン(1561-1626)
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