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2018年8月12日日曜日

(仮説)ミラーニューロンは、幼児における自己と他者との相互作用によって形成される。また、ミラーニューロンは、自己意識の発生に、ある役割を果たしている。(マルコ・イアコボーニ(1960-))

ミラーニューロンの由来

【(仮説)ミラーニューロンは、幼児における自己と他者との相互作用によって形成される。また、ミラーニューロンは、自己意識の発生に、ある役割を果たしている。(マルコ・イアコボーニ(1960-))】

(1)親の模倣行動により、笑顔という視覚情報に、運動感覚が関連づけられる。
 (1.1)赤ん坊がにっこり笑う。(運動感覚)
 (1.2)それに応えて親も笑う。(笑う運動感覚に、自分の見た笑顔が関連づけられる。)
 (1.3)赤ん坊がまた笑う。
 (1.4)親もまた笑う。
(2)以上のようにして、笑顔を映し出すミラーニューロンが誕生する。
 (2.1)赤ん坊が誰かの笑顔を見る。
 (2.2)笑うのに必要な運動計画と関連づけられた神経活動が、赤ん坊の脳内で作動して、笑顔をシミュレートするようになる。
 (2.3)赤ん坊も笑う。
 (2.4)成長した私たちは、この脳細胞を使って他人の心理状態を理解するようになる。
(3)ミラーニューロンによって、自分が笑っているという意識が生まれる。(自己意識)
 (3.1)赤ん坊がにっこり笑う。(運動感覚)
 (3.2)笑う運動感覚によって、笑顔の表象が現れる。これは、かつて他人の中に見ていたものである。

 「ミラーニューロンとは、この自己と他者との不可避な関係、必然的な相互依存性を(その発火パターンによって)具体的に表しているような脳細胞なのである。ただし注意しておかなくてはならないのは、ミラーニューロンの発火率が自己の行動に対してと他人の行動に対してとで同一ではないということだ。これまでに何度も見てきたように――さらに言えば、これまでミラーニューロンに関して行われてきたすべての実験において――自己の行動に対してのミラーニューロンの放電は、他者の行動に対してよりもはるかに大きな値を示している。したがってミラーニューロンは自己と他者の相互依存性を――どちらの行動に対しても発火することによって――具現化しているとともに、そのとき私たちが同時に感じている、私たちにとって必要な主体性(非依存性)を、自己の行動に対してより強く発火することで具現化してもいるのだ。
 そこで、ミラーニューロンがいかにして自己と他者とをつなぐ膠のような神経細胞となるかだが、私はそれが幼児の脳内におけるミラーニューロンの発達から始まるという仮説を立てている。いまのところ実証的なデータはまだないが、大いに可能性のありそうなシナリオを推測するのはそう難しいことではない。赤ん坊がにっこり笑えば、それに応えて親も笑う。二分後に赤ん坊がまた笑い、親もまた笑う。こうした親の模倣行動のおかげで、赤ん坊の脳は笑うのに必要な運動計画と、自分の見た笑顔を関連づけられる。それにより――ほら! 笑顔を映し出すミラーニューロンが誕生する。次回、赤ん坊が誰かの笑顔を見たときには、笑うのに必要な運動計画と関連づけられた神経活動が赤ん坊の脳内で作動して、笑顔を《シミュレート》するようになる。ミラーニューロンが私たちの脳内で最初に形成される経緯がこの仮説のとおりなら――私はほぼ確実にそうだと思っているが――「自己」と「他者」はミラーニューロンの中で不可分に混じりあっていることになる。実際、この説明にしたがえば、幼児の脳内のミラーニューロンは《自己と他者との相互作用によって形成される》。これは人間の社会行動におけるミラーニューロンの役割を理解する上で、忘れてはならない重要なコンセプトだ。成長した私たちがこの脳細胞を使って他人の心理状態を理解するというのは理にかなっている。しかし同時に、私たちがこの脳細胞を使って自己意識を築くというのも、また理にかなっている。もともとこれらの細胞は、生後まもなく、他人の行動が《自分自身》の行動の映し鏡だったときに生まれたものだからだ。私たちはミラーニューロンの作用によって、他人の中に自分自身を見るのである。」
(マルコ・イアコボーニ(1960-),『ミラーニューロンの発見』,第5章 自分に向きあう,早川書房(2009),pp.166-167,塩原通緒(訳))
(索引:ミラーニューロンの由来)

ミラーニューロンの発見―「物まね細胞」が明かす驚きの脳科学 (ハヤカワ新書juice)


(出典:UCLA Brain Research Institute
マルコ・イアコボーニ(1960-)の命題集(Collection of propositions of great philosophers)  「ミラーリングネットワークの好ましい効果であるべきものを抑制してしまう第三の要因は、さまざまな人間の文化を形成するにあたってのミラーリングと模倣の強力な効果が、きわめて《局地的》であることに関係している。そうしてできあがった文化は互いに連結しないため、昨今、世界中のあちこちで見られるように、最終的に衝突にいたってしまう。もともと実存主義的現象学の流派では、地域伝統の模倣が個人の強力な形成要因として強く強調されている。人は集団の伝統を引き継ぐ者になる。当然だろう? しかしながら、この地域伝統の同化を可能にしているミラーリングの強力な神経生物学的メカニズムは、別の文化の存在を明かすこともできる。ただし、そうした出会いが本当に可能であるならばの話だ。私たちをつなぎあわせる根本的な神経生物学的機構を絶えず否定する巨大な信念体系――宗教的なものであれ政治的なものであれ――の影響があるかぎり、真の異文化間の出会いは決して望めない。
 私たちは現在、神経科学からの発見が、私たちの住む社会や私たち自身についての理解にとてつもなく深い影響と変化を及ぼせる地点に来ていると思う。いまこそこの選択肢を真剣に考慮すべきである。人間の社会性の根本にある強力な神経生物学的メカニズムを理解することは、どうやって暴力行為を減らし、共感を育て、自らの文化を保持したまま別の文化に寛容となるかを決定するのに、とても貴重な助けとなる。人間は別の人間と深くつながりあうように進化してきた。この事実に気づけば、私たちはさらに密接になれるし、また、そうしなくてはならないのである。」
(マルコ・イアコボーニ(1960-),『ミラーニューロンの発見』,第11章 実存主義神経科学と社会,早川書房(2009),pp.331-332,塩原通緒(訳))
(索引:)

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