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2020年5月11日月曜日

1960年代から80年代にかけての国際的な通貨規制の緩和により、資産家は、資産に最も有利な税制や規制を、世界中から物色できるようになった。その代理人が、ウェルス・マネジャーである。(ブルック・ハリントン(1968-))

ウェルス・マネジャーという仕事

【1960年代から80年代にかけての国際的な通貨規制の緩和により、資産家は、資産に最も有利な税制や規制を、世界中から物色できるようになった。その代理人が、ウェルス・マネジャーである。(ブルック・ハリントン(1968-))】

ウェルス・マネジャーという仕事の誕生
 (1)国際的な通貨規制の緩和
  1960年代から80年代にかけて、オフショア金融の発展と国際的な通貨規制の緩和が徐々に進んだ。
 (2)資産に最も有利な税制、規制を物色できる
  この変化のおかげで、国民国家の境界を通過することが以前にも増して容易になり、裕福な一家や金持ちは、資産に最も有利な税制や規制、または政治情勢を、世界各地で自由に物色できるようになった。
 (3)各国は、個人の資産を呼び込もうとする
  個人の富を、自国の法域に呼び込もうと各国が競い合うので、税制や規制は絶えず変化している。
 (4)ウェルス・マネジャーの誕生
  一番のお買い得を探し出す業務は複雑化し、通常はウェルス・マネジャーに外部委託されるようにまる。法的、組織的、金融的に、どのような構造で資産を保有するのが最適か、その資産の拠点をどの地域に置くべきか、ウェルス・マネジャーに判断が任されるのだ。

「信託と財産のプラニングが職業となった第二のきっかけは、1960年代から80年代にかけて徐々に進んだ、オフショア金融の発展と国際的な通貨規制の緩和であった。こうした変化が、資本の国際移動に課されていた数々の規制を解き放った。金融的観点からすると、この変化のおかげで国民国家の境界を通過することが以前にも増して容易になり、裕福な一家や金持ちは、資産にもっとも有利な税制や規制、または政治情勢を、世界各地で自由に物色できるようになった。個人の富を自国の法域に呼び込もうと各国が競い合うので、こうした条件は絶えず変化している。そのため、一番のお買い得を探し出す業務は複雑化し、通常はウェルス・マネジャーに外部委託されるようにまる。法的、組織的、金融的に、どのような構造で資産を保有するのが最適か、その資産の拠点をどの地域に置くべきか、ウェルス・マネジャーに判断が任されるのだ。対象となる資産の種類(ヨットなのか、美術品のコレクションなのか、株式のポートフォリオなのか)と、顧客の目的にしたがい、ウェルス・マネジャーはその判断をくだす。」
(ブルック・ハリントン(1968-)『国境なき資本』(日本語名『ウェルス・マネジャー 富裕層の金庫番』)第1章 はじめに、p.5、みすず書房(2018)、庭田よう子(訳))
(索引:ウェルス・マネジャー,規制緩和,税制,規制)

ウェルス・マネジャー 富裕層の金庫番――世界トップ1%の資産防衛


(出典:CBS - Copenhagen Business School
ブルック・ハリントン(1968-)の命題集(Propositions of great philosophers) 「要するに、筆者の研究が示す理論モデルは、制度変化の源泉としての、状況に埋め込まれた即興の役割を強調することにより、専門家がグローバリゼーションに与える影響の理解を広げるものである。これは、制度理論において無視されてきたエージェンシーという側面に取り組むものである。制度理論においては、意図性予見性がとりわけ重要視され、不確実性発明性は排除されてきたからだ。現代の専門サービスの文脈で必要になるのは、「実践価値的な即興」であり、その中で「当事者は自身の利益を開発し実現する」のである。つまり計画ではなく実践を通してなのだ。これは国際的な舞台でとくに当てはまる。この舞台で知的専門家は、法律や職業規律、文化、規範などの新たな制度的構造に各法域で直面するからだ。このような場合、制度的エージェンシーを狭く構築し、「標準化された相互作用系列」や「確立された手続き」に基づくものととらえると、知的専門家の活動の重要領域を除外してしまうことになるのである。」
(ブルック・ハリントン(1968-)『国境なき資本』(日本語名『ウェルス・マネジャー 富裕層の金庫番』)第7章 結び、p.250、みすず書房(2018)、庭田よう子(訳))
(索引:)
ブルック・ハリントン(1968-)
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