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2019年11月4日月曜日

アメリカやフランス、ドイツでは「人権保障」のために裁判所が積極的に違憲審査権を行使し、憲法違反との判決を下す。アメリカの政治問題の法理、フランスの「転轍手」理論、ドイツの連邦憲法裁判所である。(伊藤真(1958-))

違憲審査権

【アメリカやフランス、ドイツでは「人権保障」のために裁判所が積極的に違憲審査権を行使し、憲法違反との判決を下す。アメリカの政治問題の法理、フランスの「転轍手」理論、ドイツの連邦憲法裁判所である。(伊藤真(1958-))】

「4 外国の違憲審査制
 日本国憲法の違憲審査制のあり方について考える際に、日本と同様に立憲主義、法の支配、権力分立、民主主義、司法権の独立、そして基本的人権の保障などの憲法価値を重視している外国の違憲審査制のあり方が参考になる。
 まず、アメリカでは裁判所が積極的に違憲審査権の行使に踏み切ってきた事実を指摘できる。権力分立が機能してきたといえ、1986 年に連邦最高裁は、外交関連の問題がすべて政治問題となるわけではなく、政治問題となるのは政策の選択等であって、法律の解釈の問題は政治問題にはならないとしている。本件訴訟は、新安保法制法が違憲であるか否かという憲法問題を問うものであり、こうした重要な法律問題を解決するために裁判所が積極的にその権限を行使するべき事案であることは、アメリカの政治問題の法理の展開を見ても明らかである。
 なお、日本において、司法消極主義の根拠として、民主的基盤を持たない裁判所は民主的基盤を持つ政治部門の判断に対しては謙抑的であるべきだと主張されることがある。しかし、フランスの「転轍手」理論によれば、裁判所の判断はたとえ違憲判断であっても最終的には憲法改正国民投票を含めた国民の判断に委ねることになるのであるから、民主主義という観点からは全く問題がない。裁判所は政治部門と比較した際の自らの民主的基盤の弱さを理由に、積極的に憲法判断、違憲判断を下すことを躊躇する理由は一切ないといえる。
 ドイツでは憲法擁護のための機関として、連邦憲法裁判所が憲法に明記された。議会の決定がファシズムへの道を開いた歴史的事実から、かつての議会への信頼感が失われ、それを統制する必要性が広く共有されたからであった。アメリカやフランス、ドイツでは「人権保障」のために裁判所が積極的に違憲審査権を行使し、憲法違反との判決を下すことに躊躇しない現実がある。フランスの「転轍手」理論が示すように、違憲審査権は民主主義に反するどころか、主権者である国民に対して国政の最終決定権に関する意見表明の場を提供する可能性があるという点で、決して民主主義に反するものでないという主張が受け入れられている。フランスやドイツでも、「憲法院」や「連邦憲法裁判所」の積極的な人権擁護の判断は、多くの国民の支持を得ている。」
(出典:国家賠償請求訴訟 平成28年(ワ)13525号 2017年9月28日 第5回 口頭弁論 市民集会プログラムより抜粋裁判資料・国家賠償請求訴訟安保法制違憲訴訟の会
(索引:違憲審査権,政治問題の法理,転轍手理論,連邦違憲裁判所)

(出典:安保法制違憲訴訟の会
安保法制違憲訴訟の会(2016-)(Collection of propositions of great philosophers)
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