2026年8月2日日曜日

009必ずわかる難問題5

 ★010必ずわかる難問題6


前回の復習の後

どうすれば金儲けできるかという話し。(4.2)を詳細に説明する


★(1)効率的な市場

 市場において個々人が自己利益を最大化させることで、全体の社会的利益を最大化させることができる。

★(2)市場の失敗

 市場は、独力で効率的な結果を生み出せない。すなわち、以下の諸原因により、個々人が社会にもたらす利益と個人的報酬が等しくなくなり、全体の社会的利益を最大化させることができなくなる。

★ 市場の失敗の原因

【(a)不完全な競争、(b)情報の不完全性、非対称性、(c)外部性の働き、(d)リスク市場の非存在によって、市場の失敗が発生する。高い効率性と繁栄のためには、政府による適切な矯正作業が必要である。(ジョセフ・E・スティグリッツ(1943-))】


★(2.1)競争が不完全なとき。

 (2.2)情報の不完全性や情報の非対称性が存在するとき。

  市場取引に関する情報を、誰かが持っている一方で、他の誰かが持っていない状況。

★(2.3)外部性が働いているとき。

  ひとつの集団の行動によって、正もしくは負の影響が他に及ぶ可能性があるものの、集団が正の影響から利益を得ることも、負の影響の代償を支払うこともない状況。

★(2.4)リスク市場が存在しないとき

  たとえば、直面する重大なリスクの多くに対して、保険をかけることができない状況。

★(3)政府の役割

 (3.1)政府は、税金と規制にかんする制度設計を通じて、個人のインセンティブと、社会的利益を同調させる必要がある。

 (3.2)重大な市場の失敗に対して、納得できる矯正作業を政府が行なわないかぎり、経済の繁栄は望めないだろう。

★(4)2つの考え方

 (4.1)みんなの幸せを考える。全体の社会的利益を最大化させようとするには、政府の適切な矯正作業が必要である。

★(4.2)私だけ、儲かれば良い。社会に対する貢献以上の個人的報酬を獲得しようとするには、政府の規制は少ないほうが都合がいい。

【社会に対する貢献以上の報酬を得る方法:(a)参入障壁の構築と独占の維持、(b)競争障壁の構築、(c)市場の透明性を低下させること、(d)これら反競争的行為が規制されないための政治的対策。(ジョセフ・E・スティグリッツ(1943-))】

★「事業家たちが重視するのは、社会の繁栄とは何かを広く知らしめることでもなければ、市場の競争性を高めることでもない。彼らの目的は、“自分に都合よく”市場を機能させ、より大きな利潤を手にすることだけだ。しかし、これらの行為はたいていの場合、経済の効率性を低下させ、不平等を拡大させる結果に終わる。」(ジョセフ・E・スティグリッツ(1943-),『不平等の代価』(日本語書籍名『世界の99%を貧困にする経済』),第2章 レントシーキング経済と不平等な社会のつくり方,pp.80-82,徳間書店(2012),楡井浩一,峯村利哉(訳))

★(4.2.1)儲けを大きくするために、市場の競争性を低下させ、独占力を確保すること。

(i)参入障壁や、競争の障壁を構築する。

(ii)反競争的行為が法律で禁止されないように対策する。

(iii)仮に法律が存在する場合は、実効的な取り締まりが行なわれないよう対策する。

★(4.2.2)市場の透明性を低下させる。

(i)例として、公開市場ではなく店頭市場を利用し、買い手には必要な情報を与えず、取引を有利に進める。

★「好んで使われるのは、市場の透明性を低下させる手法だ。透明性が高まれば高まるほど、市場における競争は激しくなりやすい。銀行家たちはこの事実を知っている。だからこそ銀行業界は、〈AIG〉の没落の中心的役割を果たした危険な金融商品、デリバティブの引き受け事業を展開するにあたって、不透明な“店頭市場”での取引を必死に守りつづけたのだ。店頭市場では、良い取引と悪い取引を消費者が見極めるのは難しい。透明性の高い現代の公開市場とは対照的に、店頭市場ではすべてが交渉で決まる。売り手が絶え間なく取引を行なう一方、買い手はたまにしか市場を訪れないため、売り手は買い手よりも多くの情報を持ち、その情報を使って取引を有利に進める。」(ジョセフ・E・スティグリッツ(1943-),『不平等の代価』(日本語書籍名『世界の99%を貧困にする経済』),第2章 レントシーキング経済と不平等な社会のつくり方,pp.80-82,徳間書店(2012),楡井浩一,峯村利哉(訳))



★(5)歴史

 世界大恐慌以降の40年間、すぐれた金融規制によって、アメリカと世界は大きな危機を回避してきた。1980年代に規制が緩和されると、その後の30年間は、危機が立て続けに起きるようになった。


https://sententiarum2.blogspot.com/2019/03/abcde1943_30.html










人気の記事(月間)

人気の記事(年間)

人気の記事(全期間)

ランキング

ランキング


哲学・思想ランキング



FC2