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2018年9月9日日曜日

暴力的な映像による模倣暴力は、実験で検証されている。攻撃的な行動は、未就学児でも青年期でも、性別、生来の性格、人種によらず一貫して観察される。実際の社会においても、因果関係が実証されている。(マルコ・イアコボーニ(1960-))

メディアの暴力映像の影響

【暴力的な映像による模倣暴力は、実験で検証されている。攻撃的な行動は、未就学児でも青年期でも、性別、生来の性格、人種によらず一貫して観察される。実際の社会においても、因果関係が実証されている。(マルコ・イアコボーニ(1960-))】

 「研究室の設定状況の中で子供を使って行われる、調整された実験の結果ほど明白で決定的なものはないだろう。そして実際に、メディア暴力への頻繁な接触は模倣暴力に強い影響を及ぼしていた。一般に、この種の実験は子供に短い映像を見せるかたちで行われる。暴力的な映像と、そうでない映像を見せるのである。その後、子供が別の子供といっしょに遊んでいるところや、倒しても自動的に起き上がる空気で膨らませた等身大の「ボボ人形」などを相手にしているところを観察する。すると、これらの実験でたいてい観察される一貫した点が見つかる。暴力的な短篇映像を見た子供は、暴力的でない映像を見た子供に比べ、その後に攻撃的な行動を人間に対しても物体に対しても見せることが多くなるのである。このメディア上の暴力による模倣暴力への影響は、未就学児にも青年期の子供にも、男児にも女児にも、生来の性質が攻撃的な子供にもそうでない子供にも、そして人種にも関わりなく、一貫して観察されている。この結果はかなり説得力のあるものだ。
 これらの研究で答えが出ないのは、現実でのメディア上の暴力が人(子供だけでなく大人も含めて)の実際のふるまいに及ぼす影響である。実験の設定状況の中で実証された影響は一時的なものなのか、それとも長期にわたって続くのか? それは人工的なものなのか、それとも現実的なものなのか? 相関研究からわかったことを見るかぎり、その因果関係は長期にわたって続く現実的なものである。たとえばある研究で、コロンバイン高校銃乱射事件のあとにペンシルベニア州の学区で多発した爆弾脅迫など、学校に対する脅迫事件を分析してみたところ、銃乱射事件から50日のあいだに350件以上の学校襲撃の脅迫があったという。学校管理者の推定によれば、銃乱射事件が起こるまでは1年に1回か2回だったというのだから、これはたいへんな違いである。また、メディア上の暴力をよく目にする子供ほど、そうでない子供に比べて攻撃的になる傾向がある。これはさまざまな研究に共通して見られる傾向で、アメリカ国内に限った話でもない。」
(マルコ・イアコボーニ(1960-),『ミラーニューロンの発見』,第8章 悪玉と卑劣漢――暴力と薬物中毒,早川書房(2009),pp.251-254,塩原通緒(訳))
(索引:メディアの暴力映像の影響)

ミラーニューロンの発見―「物まね細胞」が明かす驚きの脳科学 (ハヤカワ新書juice)


(出典:UCLA Brain Research Institute
マルコ・イアコボーニ(1960-)の命題集(Collection of propositions of great philosophers)  「ミラーリングネットワークの好ましい効果であるべきものを抑制してしまう第三の要因は、さまざまな人間の文化を形成するにあたってのミラーリングと模倣の強力な効果が、きわめて《局地的》であることに関係している。そうしてできあがった文化は互いに連結しないため、昨今、世界中のあちこちで見られるように、最終的に衝突にいたってしまう。もともと実存主義的現象学の流派では、地域伝統の模倣が個人の強力な形成要因として強く強調されている。人は集団の伝統を引き継ぐ者になる。当然だろう? しかしながら、この地域伝統の同化を可能にしているミラーリングの強力な神経生物学的メカニズムは、別の文化の存在を明かすこともできる。ただし、そうした出会いが本当に可能であるならばの話だ。私たちをつなぎあわせる根本的な神経生物学的機構を絶えず否定する巨大な信念体系――宗教的なものであれ政治的なものであれ――の影響があるかぎり、真の異文化間の出会いは決して望めない。
 私たちは現在、神経科学からの発見が、私たちの住む社会や私たち自身についての理解にとてつもなく深い影響と変化を及ぼせる地点に来ていると思う。いまこそこの選択肢を真剣に考慮すべきである。人間の社会性の根本にある強力な神経生物学的メカニズムを理解することは、どうやって暴力行為を減らし、共感を育て、自らの文化を保持したまま別の文化に寛容となるかを決定するのに、とても貴重な助けとなる。人間は別の人間と深くつながりあうように進化してきた。この事実に気づけば、私たちはさらに密接になれるし、また、そうしなくてはならないのである。」
(マルコ・イアコボーニ(1960-),『ミラーニューロンの発見』,第11章 実存主義神経科学と社会,早川書房(2009),pp.331-332,塩原通緒(訳))
(索引:)

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