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2018年7月10日火曜日

存在者相互の関係には、(1)時空内での表出(2)現前(3)交渉(4)動かしあいがあるが、もっと完全性の高い関係であり、新たな実体を生起させる「実体的紐帯」がある。これが真理の実在性の根拠である。(ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716))

実体的紐帯

【存在者相互の関係には、(1)時空内での表出(2)現前(3)交渉(4)動かしあいがあるが、もっと完全性の高い関係であり、新たな実体を生起させる「実体的紐帯」がある。これが真理の実在性の根拠である。(ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716))】
(再掲)
宇宙論
(1) 真の完全なモナド(一般的な至高の原因)は、無数の存在者の集まりである。
(2) 各存在者(モナド)は、一つの全たき世界、神をうつす鏡、全宇宙をうつす鏡であり、過去、現在、未来における宇宙の出来事のすべてを表出している。
(3) 表出は、以下の二つのものからなる。
 (3.1) その各々の存在者を真の「一」にさせる能動的原理、非物質的なもの、魂。
 (3.2) 受動的で有機的身体、物質的なもの。
(4) それら個々の魂が表出するものはすべて、ただ自己の本性から引き出されるものであり、他の個々の存在者から直接には影響されない。
(5) 個々の存在者が独立しているにもかかわらず、自然のうちに認められる秩序、調和、美がもたらされるのは、各々の魂が、その本性を、一般的な至高の原因から受け取り、それに依存しているからに他ならない。これが、予定調和である。
(6) 個々の存在者の表出が、その存在者の物質的な身体と自発的に一致する理由も、この予定調和による。

各存在者(モナド)相互の関係
(4) それら個々の魂が表出するものはすべて、ただ自己の本性から引き出されるものであり、他の個々の存在者から直接には影響されない。すなわち、「諸モナドは相互に観念的な依存関係を有している」。
 (4.0.1) 他の存在者は、時間と空間の秩序のなかで表出される。
 (4.0.2) 他の存在者は、直接的な現前として表出される。
 (4.0.3) 他の存在者は、交渉として表出される。
 (4.0.4) 「モナドが相互に動かしあうときには結び付きがある」。
(4.1) 以上の相互関係の他に、「もっと完全性の高い関係が考えられる。それは、複数の実体から新たな一つの実体を生起させるものである」。すなわち「実体的紐帯」である。
 (4.1.1) 実体的紐帯は、(4.0.1)~(4.0.4)に関係だけから成り立つものではない。
 (4.1.2) 実体的紐帯は、各存在者の他に「一種の新たな実体性を付け加える」。
 (4.1.3) 新たな実体性は、各存在者に付け加えられるようなものではない。
 (4.1.4) 新たな実体も一つのモナドであり、これが「真理の実在性」の根拠である。この実体が魂として、結合される各存在者が身体として措定される。身体である諸存在者は、一つの魂である紐帯的実体の支配の下にあり、「それによって一なる有機的身体すなわち一つの自然の機械が作られる」。「それは神の知性の結果であるだけではなく、神の意志の結果でもある」。

 「さらに、神は、一つ一つのモナドとそのモナドの様態とを考察するだけではなく、モナド相互の関係をも考察する。ここに関係の実在性と真理の実在性とが存する。こうした中でも基本的なものとして、持続すなわち継起するものの秩序、位置すなわち共存することの秩序、交渉すなわち相互作用などがある。この場合に諸モナドは相互に観念的な依存関係を有していると考えられる。だが、直接的な位置は現前である。現前と交渉とは別に、モナドが相互に動かしあうときには結び付きがある。これら[の関係]によってわれわれは、事物が一をなしていると考えるのであり、実際、全体に関する真理は、神にとっても妥当するものとして示され得る。しかしこれらの実在的な関係の他に、もっと完全性の高い関係が考えられる。それは、複数の実体から新たな一つの実体を生起させるものである。これは単なる結果的なものではなく、真実で実在的な関係だけから成り立つものでもなく、それらの他に一種の新たな実体性を付け加えるもの、すなわち実体的紐帯であり、それは神の知性の結果であるだけではなく、神の意志の結果でもある。しかしこれは諸モナドに対して付け加えられるのでは決してない。さもなければ、離ればなれになっているモナドが結合して一つの新たな実体を作ってしまうだろうし、[反対に]隣接した物体から生起すべく決定していることも生起しなくなってしまう。したがって諸モナドを結合しさえすればよいのである。諸モナドは一つのモナドの支配の下にあり、それによって一なる有機的身体すなわち一つの自然の機械が作られるのである。そしてここに、魂と身体との形而上学的紐帯が存し、魂と身体とで措定的一(unum suppositum)が構成される。これはキリストにおける諸本性の結合と類比的である。こうして、それ自身による一すなわち措定的一ができる。」
(ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716)『デ・ボス宛書簡』一七一二年二月五日、ライプニッツ著作集9、pp.162-163、[佐々木能章・1989])
(索引:実体的紐帯,真理の実在性)

ライプニッツ著作集 (9)


(出典:wikipedia
ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716)の命題集(Collection of propositions of great philosophers)  「すべての実体は一つの全たき世界のようなもの、神をうつす鏡もしくは全宇宙をうつす鏡のようなものである。実体はそれぞれ自分の流儀に従って宇宙を表出するが、それはちょうど、同一の都市がそれを眺める人の位置が違っているのに応じて、さまざまに表現されるようなものである。そこでいわば、宇宙は存在している実体の数だけ倍増化され、神の栄光も同様に、神のわざについてお互いに異なっている表現の数だけ倍増化されることになる。また、どの実体も神の無限な知恵と全能という特性をいくぶんか具えており、できる限り神を模倣している、とさえ言える。というのは、実体はたとえ混雑していても、過去、現在、未来における宇宙の出来事のすべてを表出しており、このことは無限の表象ないしは無限の認識にいささか似ているからである。ところで、他のすべての実体もそれなりにこの実体を表出し、これに適応しているので、この実体は創造者の全能を模倣して、他のすべての実体に自分の力を及ぼしていると言うことができる。」
(ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716)『形而上学叙説』九、ライプニッツ著作集8、pp.155-156、[西谷裕作・1990])

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