古代哲学の集録
【過去の哲学は、各々ある特定の真理を、他の哲学よりも明確に見ていたかもしれず、集録と評価が必要だ。その際、各哲学に調和と統一を与えている根本的な思想や方法を壊さないようにすること。(フランシス・ベーコン(1561-1626))】過去の哲学はそれぞれ、自然のある点を、他の哲学よりもはっきりと見たかもしれず、自然についての多くの異なった説明と意見を知ることは有益であるので、これらの哲学を集録する必要がある。この際、その哲学に輝きと信用を与えている、その哲学自体における調和を壊すことのないようにすること。これに反して、個々別々に分け標題によってまとめるというような手法は、奇異で、耳ざわりなものとしてしまうだろう。
「経験もまた、幼少の状態にあるときは、あらゆる哲学を母と呼ぶものであるが、成熟すれば、ほんとうの母を見分けるのである。
そういうわけで、さしあたっては、各人は自然のある点を他の仲間よりもはっきりとみたかもしれないので、自然についての多くの異なった説明と意見を知ることは有益であり、それゆえに、「古代哲学の集録」が、それらの哲学のうちいままで残っていて光明となりうるもののなかから、念入りにわかりやすく、つくられることを、わたくしは希望する。
そのような労作が欠けていることを知っているからである。
しかし、このさいわたくしは、そのような集録は、個々別々に分け、各人の哲学を終始、個別にとり扱って、プルタルコスによってなされたように、標題によって一括してまとめる〔『倫理論集』におさめられている諸篇でしたように〕ことのないよう、あらかじめ注意を促さなければならない。
というのは、ある哲学に輝きと信用を与えるものは、その哲学自体における調和であり、これに反して、それがつまみ出され、ばらばらにされるなら、その哲学は、奇異で、耳ざわりなものとなるからである。」
(フランシス・ベーコン(1561-1626)『学問の進歩』第二巻、八・五、pp.182-183、[服部英次郎、多田英次・1974])
(索引:古代哲学の集録、劇場のイドラ)
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(出典:wikipedia)
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(フランシス・ベーコン(1561-1626)『学問の進歩』第一巻、八・六、pp.109-110、[服部英次郎、多田英次・1974])(索引:学問の船)
フランシス・ベーコン(1561-1626)
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検索(フランシス・ベーコン)
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