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2018年6月19日火曜日

この宇宙は、その各々が自らの能動的原理により全宇宙を表出する無数の存在者から構成される。各存在者は、その原理を普遍的な原因から受け取っており、この故に全宇宙の秩序、調和、美がもたらされる。(ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716))

モナドと予定調和

【この宇宙は、その各々が自らの能動的原理により全宇宙を表出する無数の存在者から構成される。各存在者は、その原理を普遍的な原因から受け取っており、この故に全宇宙の秩序、調和、美がもたらされる。(ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716))】
(1) 真の完全なモナド(一般的な至高の原因)は、無数の存在者の集まりである。
(2) 各存在者は、一つの全たき世界、神をうつす鏡、全宇宙をうつす鏡であり、過去、現在、未来における宇宙の出来事のすべてを表出している。
(3) 表出は、以下の二つのものからなる。
 (3.1) その各々の存在者を真の「一」にさせる能動的原理、非物質的なもの、魂。
 (3.2) 受動的で有機的身体、物質的なもの。
(4) それら個々の魂が表出するものはすべて、ただ自己の本性から引き出されるものであり、他の個々の存在者から直接には影響されない。
(5) 個々の存在者が独立しているにもかかわらず、自然のうちに認められる秩序、調和、美がもたらされるのは、各々の魂が、その本性を、一般的な至高の原因から受け取り、それに依存しているからに他ならない。これが、予定調和である。
(6) 個々の存在者の表出が、その存在者の物質的な身体と自発的に一致する理由も、この予定調和による。
 「著者はここで、物質に関するもうひとつの重要な指摘を行っています。すなわち、物質を数的にただひとつのものとみなしてはならない、あるいは(私のいつもの言い方では)、真の完全なモナドすなわち「一」とみなしてはならない、という指摘です。物質は無数の存在者の集まりにすぎないのですから。この点で、この優れた著者は、私の学説に到達するには、わずかあと一歩が必要でした。というのも、実際、私はこれらの無限な存在者すべてに表象を与えているからです。つまりその各々は、その存在者が受動的で有機的身体を賦与されるために必要とされるものと一緒に、魂(あるいはその各々を真の「一」にさせる類比的な何らかの能動的原理)を賦与された、いわばひとつの動物のようなものなのです。ところで、これらの存在者は、能動的であると同様に受動的であるその本性(すなわち、それの有する非物質的なところと物質的なところ)を、一般的な至高の原因から受け取りました。そうでなければ、著者がとてもうまく指摘しておられるように、それらは互いに独立であるために、自然のうちに認められるあの秩序、あの調和、あの美を決して作り出すことができないだろうからです。しかし、道徳的な確実性しかもっていないと思われるこの議論は、私が導入した新しい種類の調和、すなわち予定調和によって、まったく形而上学的な必然性にいたります。というのも、それらの魂の各々が、自分の外で起こることを自分自身の仕方で表出し、他の個別的存在者からの影響をいささかもこうむることができず、あるいはむしろ、自己の本性というそれ自身の根底からその表出を引き出さねばならないために、必然的に各々の魂は、その本性(すなわち、外にあるものの表出に対するその内的理由)をある普遍的な原因から受け取ったにちがいないからです。これらの存在者は皆この普遍的原因に依存しており、この原因のためにお互いに他のものに完全に一致し対応するようになるのです。これは、無限の認識と力がなければ不可能であり、とりわけ機械と理性的魂の作用との自発的な一致に関しては、きわめて大いなるわざこそがなしうることなのです。そのためある高名な著作家は、そのすばらしい『歴史批判辞典』のなかでそれに異議を唱え、それは可能なあらゆる知恵を越えているのではないか、といわば疑いました。神の知恵さえそのような結果に対して大きすぎるとは思われない、と彼は言っていたからです。でも彼は、私たちの神の完全性についてもちうる弱い考え方が、これほどくっきりと際立たされたことは一度もなかったことは少なくとも認めました。」
(ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716)『人間知性新論』第四部・第一〇章[一〇]、ライプニッツ著作集5、pp.238-239、[谷川多佳子・福島清紀・岡部英男・1995])
(索引:モナド、予定調和)

認識論『人間知性新論』 下 (ライプニッツ著作集)


(出典:wikipedia
ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716)の命題集(Collection of propositions of great philosophers)  「すべての実体は一つの全たき世界のようなもの、神をうつす鏡もしくは全宇宙をうつす鏡のようなものである。実体はそれぞれ自分の流儀に従って宇宙を表出するが、それはちょうど、同一の都市がそれを眺める人の位置が違っているのに応じて、さまざまに表現されるようなものである。そこでいわば、宇宙は存在している実体の数だけ倍増化され、神の栄光も同様に、神のわざについてお互いに異なっている表現の数だけ倍増化されることになる。また、どの実体も神の無限な知恵と全能という特性をいくぶんか具えており、できる限り神を模倣している、とさえ言える。というのは、実体はたとえ混雑していても、過去、現在、未来における宇宙の出来事のすべてを表出しており、このことは無限の表象ないしは無限の認識にいささか似ているからである。ところで、他のすべての実体もそれなりにこの実体を表出し、これに適応しているので、この実体は創造者の全能を模倣して、他のすべての実体に自分の力を及ぼしていると言うことができる。」
(ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646-1716)『形而上学叙説』九、ライプニッツ著作集8、pp.155-156、[西谷裕作・1990])

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