2018年9月12日水曜日

6.この自然情景、激動する海のこの感情、崇高な線、この確固として明確に見ること一般、その他、私たちが事物に授けた一切の美と崇高は、実際には己が創造したものであり、原始的人類から相続している遺産である。(フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900))

感覚、知覚、感情

【この自然情景、激動する海のこの感情、崇高な線、この確固として明確に見ること一般、その他、私たちが事物に授けた一切の美と崇高は、実際には己が創造したものであり、原始的人類から相続している遺産である。(フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900))】

感覚、知覚、感情とは何か。
(1)私たちの祖先たちは、諸事物のうちへ何かを置き入れて見ることによって以外は、詩作し絵を描くすべをまだ知らなかった。感覚、知覚、感情は、原始的人類の詩作であり絵画であり、私たちはこの遺産を相続している。
(2)人間が感嘆し崇拝しているものは、実際には己が創造したもの、自らの産出物、所有物である。
 (a)例えば、これらの実際の自然情景、激動する海のこの感情
 (b)この崇高な線、この確固として明確に見ること一般
 (c)その他、およそ私たちが事物と想像とに授けた一切の美と崇高

 「《私の課題》は、私たちが事物と想像とに授けた一切の美と崇高を、《人間の所有物》や《産出物》として、また人間の最も美しい装飾、最も美しい弁明として返還請求することだ。詩人としての、思索者としての、神としての、権力としての、同情としての人間。

おお、《おのれを貧しくして、惨めだと感ずる》ために、人間が諸事物に贈ってきた人間の王者のような気前のよさったら! これこそ、いかに人間が感嘆し崇拝し、そして、おのれが感嘆するものをおのれが《創造した》ということを、人間が知らず、また知ろうと欲しないかという、人間の最大の「没我」なのである。

―――これらの「実際の」自然情景、それは《原始的人類》の《詩作》であり《絵画》なのだ、―――当時は人々は、諸事物のうちへ何かを《置き入れて見る》ことによって以外には、詩作し絵を描くすべをまだ知らなかったのである。《そしてこの遺産を》私たちは相続したのだ。―――この崇高な線、悲嘆的偉大さのこの感情、激動する海のこの感情は、すべて私たちの祖先たちによって《仮構された》のである。この確固として明確に《見ること》一般は!」
(フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900)『遺稿集・生成の無垢』Ⅳ宗教/キリスト教 九三一、ニーチェ全集 別巻4 生成の無垢(下)、p.500、[原佑・吉沢伝三郎・1994])
(索引:感覚,知覚,感情)

生成の無垢〈下〉―ニーチェ全集〈別巻4〉 (ちくま学芸文庫)


(出典:wikipedia
フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900)の命題集(Collection of propositions of great philosophers) 「精神も徳も、これまでに百重にもみずからの力を試み、道に迷った。そうだ、人間は一つの試みであった。ああ、多くの無知と迷いが、われわれの身において身体と化しているのだ!
 幾千年の理性だけではなく―――幾千年の狂気もまた、われわれの身において突発する。継承者たることは、危険である。
 今なおわれわれは、一歩また一歩、偶然という巨人と戦っている。そして、これまでのところなお不条理、無意味が、全人類を支配していた。
 きみたちの精神きみたちの徳とが、きみたちによって新しく定立されんことを! それゆえ、きみたちは戦う者であるべきだ! それゆえ、きみたちは創造する者であるべきだ!
 認識しつつ身体はみずからを浄化する。認識をもって試みつつ身体はみずからを高める。認識する者にとって、一切の衝動は聖化される。高められた者にとって、魂は悦ばしくなる。
 医者よ、きみ自身を救え。そうすれば、さらにきみの患者をも救うことになるだろう。自分で自分をいやす者、そういう者を目の当たり見ることこそが、きみの患者にとって最善の救いであらんことを。
 いまだ決して歩み行かれたことのない千の小道がある。生の千の健康があり、生の千の隠れた島々がある。人間と人間の大地とは、依然として汲みつくされておらず、また発見されていない。
 目を覚ましていよ、そして耳を傾けよ、きみら孤独な者たちよ! 未来から、風がひめやかな羽ばたきをして吹いてくる。そして、さとい耳に、よい知らせが告げられる。
 きみら今日の孤独者たちよ、きみら脱退者たちよ、きみたちはいつの日か一つの民族となるであろう。―――そして、この民族からして、超人が〔生ずるであろう〕。
 まことに、大地はいずれ治癒の場所となるであろう! じじつ大地の周辺には、早くも或る新しい香気が漂っている。治癒にききめのある香気が、―――また或る新しい希望が〔漂っている〕!」
(フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900)『このようにツァラトゥストラは語った』第一部、(二二)贈与する徳について、二、ニーチェ全集9 ツァラトゥストラ(上)、pp.138-140、[吉沢伝三郎・1994])

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