2018年5月4日金曜日

1.不確かさへの志向:次のようなパーソナリティ次元が存在する。不確実さを正面から受けとめ新しい情報を求めて解決しようとする。逆に、不確実さに不快を感じて状況を回避し、新しい情報も求めない。(リチャード・M・ソレンティーノ(1943-)

不確かさへの志向

【不確かさへの志向:次のようなパーソナリティ次元が存在する。不確実さを正面から受けとめ新しい情報を求めて解決しようとする。逆に、不確実さに不快を感じて状況を回避し、新しい情報も求めない。(リチャード・M・ソレンティーノ(1943-)】
 次のようなパーソナリティ次元が存在する。
(a) 不確実さを扱うことに比較的自信があり、それを正面から解決しようとする傾向。
(b) 不確かさに不快になり、不確かさの主観的感覚が増加する状況を回避しようとする傾向。
 結果についてコントロールできない状況を経験した後、(a)の傾向の強い人は、その状況に関連する新しい情報を求めるのに対して、(b)の傾向の強い人は新しい情報を回避する。
 特殊例として、(a)の傾向の強い人は、「あるテストが重要な能力を診断する」と言われた方が、良い成績をとり、(b)の傾向の強い人は「テストが重要な能力を診断するものではない」と伝えられた方がが、よりよい成績をとる。(リチャード・M・ソレンティーノ(1943-))

(出典:Western University



 「人と状況の相互作用の例における個人差の次元として、不確かさへの志向の研究をみてみよう。このパーソナリティ次元は、不確実さを扱うことに比較的自信があり、それを正面から解決しようとする個人の極と、不確かさに不快になり、不確かさの主観的感覚が増加する状況を回避しようとする個人の極で定義される(Sorrentino & Roney,1986,2000)。

さて、次の問題を考えてみよう。結果についてコントロールできない状況を経験した人は、その後で新しい情報を回避するのか、それとも接近するのか。

あるテストが重要な能力を診断すると言われたなら、学生は成績がよくなるのだろうか。

これらの質問に対する回答は、個人の不確かさへの志向によって違ってくる。不確かさへの志向が高い人、すなわち不確かさに自信をもち、それをどうにかしようとする人にとって、二つの質問への回答はイエスである。しかし、不確かさが不快な人の答えは非常に異なったものとなる(Huber,Sorrentino,Davidson & Epplier,1992)。例えば、テストが重要な能力を診断するものではないと伝えられたほうが、よりよい成績をとる(Sorrentino & Roney,1986)。さらに、不確かさへの志向が低い人が制御不能状態を経験したとき、そして特に中程度に抑うつ的であったなら、新しい情報を回避する(Walker & Sorrentino,2000)。

そのため、すべては人のタイプと状況のタイプの相互作用によって決まってくる。そして、ある人にとって性格にあっている状況というのは、他の人にとっては苦痛かもしれない。」

(ウォルター・ミシェル(1930-),オズレム・アイダック,ショウダ・ユウイチ『パーソナリティ心理学』第Ⅰ部 特性・性質レベル、第4章 性質の表出、p.107、培風館 (2010)、黒沢香(監訳)・原島雅之(監訳))
(索引:不確かさへの志向、パーソナリティ次元)

パーソナリティ心理学―全体としての人間の理解



(出典:COLUMBIA UNIVERSITY IN THE CITY OF NEW YORK
ウォルター・ミシェル(1930-)の命題集(Collection of propositions of great philosophers) 「個人が所有する自由や成長へのわくわくするような可能性には限りがない。人は可能自己について建設的に再考し、再評価し、効力感をかなりの程度高めることができる。しかし、DNAはそのときの手段・道具に影響を与える。生物学に加えて、役割における文化や社会的な力も、人が統制できる事象および自らの可能性に関する認識の両方に影響を与え、制限を加える。これらの境界の内側で、人は、将来を具体化しながら、自らの人生についての実質的な統制を得る可能性をもっているし、その限界にまだ到達していない。
 数百年前のフランスの哲学者デカルトは、よく知られた名言「我思う、ゆえに我あり」を残し、現代心理学への道を開いた。パーソナリティについて知られるようになったことを用いて、私たちは彼の主張を次のよう に修正することができるだろう。「私は考える。それゆえ私を変えられる」と。なぜなら、考え方を変えることによって、何を感じるか何をなすか、そしてどんな人間になるかを変えることができるからである。」
(ウォルター・ミシェル(1930-),オズレム・アイダック,ショウダ・ユウイチ『パーソナリティ心理学』第Ⅶ部 各分析レベルの統合――全人としての人間、第18章 社会的文脈および文化とパーソナリティ、p.606、培風館 (2010)、黒沢香(監訳)・原島雅之(監訳))

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