2024年3月23日土曜日

20. 多くの状況で人びとは、感情イデオロギー、感情規則や感情開示規則に同調する自己呈示を維持するために、ホックシールド(1979,1983)が感情労働、つまり感情管理と呼んでいる実務に従事することになる。(ジョナサン・H・ターナー(1942-)

多くの状況で人びとは、感情イデオロギー、感情規則や感情開示規則に同調する自己呈示を維持するために、ホックシールド(1979,1983)が感情労働、つまり感情管理と呼んでいる実務に従事することになる。(ジョナサン・H・ターナー(1942-)

 「ホックシールドの分析の要点は、文化の台本がとくに否定的感情を喚起するような行動を人びとに強いると、個人が文化的規則とイデオロギーをどのように処理するかに強い関心を寄せている。

たとえば航空会社の旅客機乗務員が、乗客の不作法な行動に遭遇している際に、感情規則と感情開示規則によって指示される望ましい態度をどのように保持するのだろうか。

多くの状況で人びとは、感情イデオロギー、感情規則や感情開示規則に同調する自己呈示を維持するために、ホックシールド(1979,1983)が感情労働、つまり感情管理と呼んでいる実務に従事することになる。適切な態度を感じ、またそれを提示するための感情労働の技法は、以下のことを含んでいる。

 1.ボディワーク 人びとは状況への生理反応を変えようとする。

たとえば平静を装うため、個人は冷静さを保つために深呼吸をする。また別の人は攻撃的な行動の構えを表現するため、身体を躍動しながら大声を張りあげるかもしれない(試合に先立ってアスリートがよくやっているように)。このように身体が気持ちを高ぶらせる(あるいは気持ちを削ぐ)ために用いられる(Hochschild,1983)。

 2.表層演技 個人は、こうした演技が感情――ジェスチャーが伝えると思われている感情――を自ら感じ、経験できるという期待を込めて、外部に向けて自らの表出的ジェスチャーを操作する。

たとえば人びとは出会いを維持するため、しばしば「その場にふさわしい幸せそうな表情を装う」。ここでの感情の開示規則は、個人は幸せを感じるべきと要求するが、しかしこの振る舞いは、当人が最終的に幸せと感じることができ、そして本当に肯定的な雰囲気になるかもしれないという期待をもって実行されることもある。

 3.深層演技 人びとは、自己の内面に特定の気持ちを呼び起こそうとする。この気持ちによって、人びとは感情の開示規則が彼らに顕在的に表現することを要求する感情を自ら経験できる。行為者は台本が求める感情開示の方向に自己の内面を変えるためにこの技法を頻繁に用いる。

 4.認知ワーク 個人は思いつきや考えを呼び起こす。

たとえば状況が悲しみを要求するなら(たとえば葬儀)、個人は悲しみとはどんなものであるかについて考え、そして実際に悲しさの顕在表現が本物に見えるようにするため本当の悲しみの感覚を体験した過去の経験を思い起こすかもしれない。」

(ジョナサン・H・ターナー(1942-)『感情の社会学理論』第2章 感情のドラマツルギー的、文化的な理論化、p.78、明石書店 (2013)、正岡寛司(訳))

感情の社会学理論 (ジョナサン・ターナー 感情の社会学5) [ ジョナサン・H・ターナー ]



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