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2018年8月9日木曜日

錯視を用いて意識的知覚を研究する利点:(a)コンシャスアクセスに焦点を絞る、(b)種々のトリックを用いた意識の自由な操作、(c)主観的な報告を、純粋な科学データとして扱うこと。(スタニスラス・ドゥアンヌ(1965-))

錯視を用いた意識的知覚の研究

【錯視を用いて意識的知覚を研究する利点:(a)コンシャスアクセスに焦点を絞る、(b)種々のトリックを用いた意識の自由な操作、(c)主観的な報告を、純粋な科学データとして扱うこと。(スタニスラス・ドゥアンヌ(1965-))】

 錯視を用いて意識的知覚を研究する利点。
(a)コンシャスアクセスに焦点を絞ること。
(b)種々のトリックを用いた意識の自由な操作。
(c)主観的な報告を、純粋な科学データとして扱うこと。
 錯視は非常に主観的なもので、見ている本人しか経験できない。それにもかかわらず、結果は何度でも再現でき、誰にも同種の経験が得られる。

 「実のところ、クリックとコッホは新たな問題を提起したのだ。彼らに続いて、何十もの研究室が、先の例のような基本的な錯視を用いて意識を研究し始めた。これらの研究プログラムでは、次の三つの利点によって意識的知覚の実験が可能になった。第一に、錯視の説明は、意識に関する複雑な概念を必要としない。見ているのか見ていないのかという、私がコンシャスアクセスと呼ぶ経験に焦点を絞ればよい。第二に、よく知られた種々の錯視を研究に利用できる。これから見ていくように、認知科学者は、単語、画像、音、そしてゴリラすら思いのままに消滅させる何十ものテクニックを開発してきた。三点目は次のとおり。これらの錯視は非常に主観的なもので、たとえば先の例では、見ている本人しか、いつどの円が消えたかを言えない。それにもかかわらず、結果は何度でも再現でき、誰にも同種の経験が得られる。このように、私たちの気づきのなかで、現実に何か特異で魅力的な現象が生じることは否定しがたい。私たちにこの点を真剣に考慮すべきだ。
 「コンシャスアクセスに焦点を絞ること」「種々のトリックを用いた意識の自由な操作」「主観的な報告を純粋な科学データとして扱うこと」。これら三つの重要なアプローチによって、意識を科学の対象として扱えるようになった。」
(スタニスラス・ドゥアンヌ(1965-),『意識と脳』,第1章 意識の実験,紀伊國屋書店(2015),pp.34-34,高橋洋(訳))
(索引:錯視,コンシャスアクセス)

意識と脳――思考はいかにコード化されるか


(出典:wikipedia
スタニスラス・ドゥアンヌ(1965-)の命題集(Collection of propositions of great philosophers)  「160億年の進化を経て発達した皮質ニューロンのネットワークが提供する情報処理の豊かさは、現在の私たちの想像の範囲を超える。ニューロンの状態は、部分的に自律的な様態で絶えず変動しており、その人独自の内的世界を作り上げている。ニューロンは、同一の感覚入力が与えられても、その時の気分、目標、記憶などによって異なったあり方で反応する。また、意識の神経コードも脳ごとに異なる。私たちは皆、色、形状、動きなどに関して、神経コードの包括的な一覧を共有するが、それを実現する組織の詳細は、人によって異なる様態で脳を彫琢する、長い発達の過程を通じて築かれる。そしてその過程では、個々シナプスが選択されたり除去されたりしながら、その人独自のパーソナリティーが形成されていく。
 遺伝的な規則、過去の記憶、偶然のできごとが交錯することで形作られる神経コードは、人によって、さらにはそれぞれの瞬間ごとに独自の様相を呈する。その状態の無限とも言える多様性は、環境に結びついていながら、それに支配はされていない内的表象の豊かな世界を生む。痛み、美、欲望、後悔などの主観的な感情は、この動的な光景のもとで、神経活動を通して得られた、一連の安定した状態のパターン(アトラクター)なのである。それは本質的に主観的だ。というのも、脳の動力学は、現在の入力を過去の記憶、未来の目標から成る布地へと織り込み、それを通して生の感覚入力に個人の経験の層を付与するからである。
 それによって出現するのは、「想起された現在」、すなわち残存する記憶と未来の予測によって厚みを増し、常時一人称的な観点を外界に投影する、今ここについてのその人独自の暗号体系(サイファー)だ。これこそが、意識的な心の世界なのである。
 この絶妙な生物機械は、あなたの脳の内部でたった今も作動している。本書を閉じて自己の存在を改めて見つめ直そうとしているこの瞬間にも、点火したニューロンの集合の活動が、文字通りあなたの心を作り上げるのだ。」
(スタニスラス・ドゥアンヌ(1965-),『意識と脳』,第7章 意識の未来,紀伊國屋書店(2015),pp.367-368,高橋洋(訳))
(索引:)

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