病院の職員は、その人たちの合理的かつ正常な行動を無視して、精神病院に入っている人は精神病に違いないと考えているようだった。ウォルター・ミシェル(1930-2018)
「状況と社会的役割の影響力の劇的な描写は、発表時に多数の人にショックを与えた自然実験においてみることができる(Rosenhan,1973)。
その実験では、スタンフォード大学の医者・心理学者・大学院生といった正常な個人が、さまざまな精神病の症状を演じて、地域の精神病院に入院した。その人たちは、収容された後は、ふだんと同じく合理的にふるまった。
ところが、外ではどんな人物なのか知らない精神病院の専門職員によって、入院後、ずっと精神障害がある人として扱われ続け、精神病とラベルづけされていた。
病院の職員は、その人たちの合理的かつ正常な行動を無視して、精神病院に入っている人は精神病に違いないと考えているようだった。職員の目にとって、そこにいることだけで、正常な人が精神病患者のようにみえるのに十分だったのである。」
(ウォルター・ミシェル(1930-2018),オズレム・アイダック,ショウダ・ユウイチ『パーソナリティ心理学』第Ⅳ部 行動・条件づけレベル、第10章 行動主義の考え方、p.325、培風館 (2010)、黒沢香(監訳)・原島雅之(監訳))
【中古】パーソナリティ心理学—全体としての人間の理解 / ミシェル ウォルター ショウダユウイチ アイダック オズレム 黒沢香 原島雅之 / 培風館 |