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2019年11月4日月曜日

2013年8月8日、安倍内閣は、山本庸幸内閣法制局長官を退任させ、集団的自衛権容認論者である小松一郎氏を、従来の慣例を覆して外部から長官に任命した。(杉浦ひとみ(1956-))

安保法制成立過程の異常性

【2013年8月8日、安倍内閣は、山本庸幸内閣法制局長官を退任させ、集団的自衛権容認論者である小松一郎氏を、従来の慣例を覆して外部から長官に任命した。(杉浦ひとみ(1956-))】
「2014年7月1日の安保法制についての閣議決定から5年、「平和国家」日本は大きく変わりました。
1 内閣法制局長官の恣意的人事
  この歴史の変節は、政権が集団的自衛権行使容認への道程の第一歩として、内閣法制局長官の人事に手を付けたことに始まりました。2013年8月8日、安倍内閣は、山本庸幸内閣法制局長官を退任させ、集団的自衛権容認論者である小松一郎氏を、従来の慣例を覆して外部から長官に任命しました。
 内閣法制局は、内閣における「法の番人」として権威を持ち、憲法の解釈、とりわけ戦後70年にわたり絶えず論争となった憲法9条について政府の解釈を確定する大きな役割を果たしてきました。
 内閣法制局の憲法解釈があることで、事後の司法判断をまつことなく法の意味を確定し、これを尊重する事実上の力を持ってきました。ところが、安倍首相のこの小松長官人事は、政治家による恣意的な法解釈が統制されない構造になったことを意味し、内閣法制局の権威は地に堕ちました。このあと、国民は行政府の憲法解釈・法律解釈を信頼し、尊重することができなくなってしまったのです。これまで国を支えてきた内閣法制局の存在価値を大きく棄損してしまいました。」
(出典:国家賠償請求訴訟 平成28年(ワ)13525号 2019年7月26日 第11回 口頭弁論  報告集会資料(代理人意見陳述)裁判資料・国家賠償請求訴訟安保法制違憲訴訟の会
(索引:)

(出典:安保法制違憲訴訟の会
安保法制違憲訴訟の会(2016-)(Collection of propositions of great philosophers)
安保法制違憲訴訟の会(2016-)
安保法制違憲訴訟の会
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戦争の悲惨さと不条理を知り、平和のうちに生きる権利が憲法9条により守られてきたという信念をもつ者にとって、9条の改変は、戦争、テロ、諸権利が蹂躙される国などを強迫的に想起させ、強い恐れと不安をもたらす。(橋本佳子)

戦争体験者の精神的苦痛

【戦争の悲惨さと不条理を知り、平和のうちに生きる権利が憲法9条により守られてきたという信念をもつ者にとって、9条の改変は、戦争、テロ、諸権利が蹂躙される国などを強迫的に想起させ、強い恐れと不安をもたらす。(橋本佳子)】

原告らの被害
(1)戦争の地獄の苦しみ
 戦地での地獄を経験した戦闘経験者、戦火を逃げ惑い命の危険にさらされた戦争被害者は言うに及ばず、戦後生まれの者も、親から子、子から孫へと確実に、戦争の悲惨さと不条理とが語り継がれている。
(2)平和、憲法9条への思い
 (2.1)原告らは戦後、平和に暮らせることがどんなに幸せかを噛みしめて生きてきた。
 (2.2)原告らの基本的な信念
  (a)平和のうちに生きる権利とは、日常生活を安心して過ごせるということである。これは、何ものにも代えがたい基礎的な権利である。
  (b)平和のうちに生きる権利を保障してくれているのが、憲法であり第9条である。
(3)安保法制の制定による被害
 (3.1)安保法制の制定により、基本的な信念となっている平和のうちに生きる権利が、侵害されるのではないかという恐れと不安が発生した。この恐れと不安は、根拠のないものではない。なぜなら、この権利を保障していた第9条が実質的に壊されてしまったからである。
 (3.2)特に、戦争体験者や戦争の悲惨さと非条理が信念の一部となっている原告にとっては、この恐れと不安は、単に抽象的で漠然としたものではなく、精神的ではあるが極めて具体的な危害を、原告らに与えている。
 (3.3)発生する可能性が否定できない諸々の事象:国内米軍基地への攻撃、報復テロの発生、特に原発へのテロ、秘密保護法、共謀罪法など戦前日本への逆戻り、戦争。
  (a)「今後日本はアメリカに追随する国と見なされ、テロに巻き込まれる危険」
  (b)「朝鮮半島で戦争になればアメリカの基地が集中する日本は確実に戦場になってしまう」
  (c)「安保法制後戦争参加の体制を整えつつある。平和の保障はもうなくなり、休まることのない不安を背負った生活になってしまった」
  (d)「自衛隊と米軍との一体化が進み、その報復としてテロの恐怖が高まっている」
  (e)「安保法制以降、北朝鮮や中国の脅威をあおり、自衛隊の装備を拡大して米軍一体化が強まりテロの恐怖がつのる」
  (f)「侵略戦争を行うアメリカに追随することで、日本へのテロの不安・恐怖観念に苛まれている。それが、憲法改正手続きの国民投票の手続きを経ずに行われたことで怒りがより強くなる」
  (g)「基地の近くに住んでおり自衛隊基地が狙われれば大勢の市民が被害を受ける」
  (h)「安保法制後の米艦防護の動きとともに言論統制の動きも恐れる」
  (i)「秘密保護法、安保法制、共謀罪法と戦前の日本に戻りつつある」
  (j)「特に原発を幾つも持つ日本は爆弾を落とされたら国は壊滅することから1日として平安な日はない」
  (k)「副総理が『憲法改正はナチスのやり方を見習ったらどうか』と言ったことが安保法制後同様に進行しているように思う。一気に物を言えない治安維持法の時代に変ってしまう恐ろしさ。」
  (l)「死ぬ時は一緒と命からがらソ連から逃げてきたのに副総理がナチスのやり方をまねせよなど戦争が準備されていく恐怖」
(4)教員の精神的苦痛
 戦前の教育の反省から「教え子を再び戦場に送らない」のスローガンを受け継いできたが、安保法制により教え子たちが戦場に行く現実が目の前に迫っている。
(5)子や孫が戦争に巻き込まれることの不安
(6)民主主義違反と憲法改正決定権の侵害

「2 多数の陳述書に通底し、 浮かびあがってくる原告らの被害
(1) 戦争の地獄の苦しみ
 多くの戦争体験者が命からがら逃げ、命をつなぐことができた体験と戦後の極貧の苦しみを訴えています。戦争の悲惨さと不条理が、戦地での地獄を経験した戦闘経験者、戦火を逃げ惑い命の危険にさらされた戦争被害者は当然、戦後生まれの者も親から子、子から孫へと確実に語り継がれていることが明かとなります。多くの原告が、祖父母や両親から悲惨極まる戦争のはなしと「戦争だけは絶対にしてはならない」と繰り 返され、自分の血肉となっているのです。
(2) 平和、 憲法9条への思い
 あの悲惨を極めた戦争を経験して、またはその話しを聞き、原告らは戦後を平和に暮らせることがどんなに幸せかを噛みしめて生きてきたのです。日常生活を安心して過ごせることの喜びが何よりも代えがたいものであること、これが自分の平和のうちに生きる権利であり、自分の人格と一体となっていることを訴えています。それを支えているのが憲法であり、9条であるという確信に充ち満ちています。「平和憲法が、9条があるのだから戦争になることはないと信じて生きてきた」この言葉が陳述書に最も多く出てくる言葉です。
 「平和憲法は自分の生き方の指針であり、憲法が踏みにじられたことは生き方を全否定された精神的苦しみである」「世界に対して平和憲法を持つことは自分の誇り」ともいいます。そして多くの原告には、この平和憲法はあのアジアを含めたすべての戦争犠牲者の遺言であり、自分達が守らなければという思いがあります。
(3) 安保法制の制定による被害
 安保法制によって受ける被害としては、戦争をする国になってしまったことへの不安、恐怖をそれぞれの考え、立場から、具体的に語られています。「祖母から戦争の悲惨さ恐ろしさを聞かされて育った。営々として守られてきた9条を亡き者にされた。安保法制により、「戦前」と呼ばれる時代に入ってしまった。」「戦争体験者は戦争の地獄の苦しみを思い出すだけで身が震える」「祖父が獄死した家族は、再び歯ぎしりするような不条理の影が忍びよるに不安に駆られる」などと訴えています。重要なことは、原告らの戦争の不安・恐怖というものが単に抽象的で漠然としたものではないということです。
 「平和の願いを踏みにじるものであり胸が張り裂ける思い」「平和な憲法とともに生きてきた人生のそのものを否定された」という思いとともに、それぞれ、自分の経験や立ち位置で、以下のとおり具体的にその理由を述べています。「今後日本はアメリカに追随する国と見なされ、テロに巻き込まれる危険」「朝鮮半島で戦争になればアメリカの基地が集中する日本は確実に戦場になってしまう」「安保法制後戦争参加の体制を整えつつある。平和の保障はもうなくなり、休まることのない不安を背負った生活になってしまった」「自衛隊と米軍との一体化が進み、その報復としてテロの恐怖が高まっている」「安保法制以降、北朝鮮や中国の脅威をあおり、自衛隊の装備を拡大して米軍一体化が強まりテロの恐怖がつのる」「侵略戦争を行うアメリカに追随することで、日本へのテロの不安・恐怖観念に苛まれている。それが、憲法改正手続きの国民投票の手続きを経ずに行われたことで怒りがより強くなる」「基地の近くに住んでおり自衛隊基地が狙われれば大勢の市民が被害を受ける」「安保法制後の米艦防護の動きとともに言論統制の動きも恐れる」「秘密保護法、安保法制、共謀罪法と戦前の日本に戻りつつある」「特に原発を幾つも持つ日本は爆弾を落とされたら国は壊滅することから1日として平安な日はない」「副総理が『憲法改正はナチスのやり方を見習ったらどうか』と言ったことが安保法制後同様に進行しているように思う。一気に物を言えない治安維持法の時代に変ってしまう恐ろしさ。」「死ぬ時は一緒と命からがらソ連から逃げてきたのに副総理がナチスのやり方をまねせよなど戦争が準備されていく恐怖」などです。
(4) 教員の精神的苦痛
 教員の陳述書が多数あります。戦前の教育の反省から「教え子を再び戦場に送らない」のスローガンを受け継いできたが、安保法制により教え子たちが戦場に行く現実が目の前に迫っている、卒業生やその子どもたちに平和な世界を繋げない苦しさ、とりわけ、「自衛隊員が外国で人を殺し、殺されるようなことになれば子どもたちに顔向けできないと苦しんでいる」という陳述は共通しております。
(5) 子や孫が戦争に巻き込まれることの不安
 多くの陳述書に現れているのが、子や孫の世代が戦争に巻き込まれることの心配と苦しみについて書いて います。あの戦争を経て平和憲法の下、自分達が現在までは平和に過ごしてきたのに、平和憲法が踏みにじ られ、自分の子や孫が戦争に巻き込まれることの確率が高いと感じている。とりわけ、自衛隊の現状から貧 困層の経済的徴兵制が進むのではないか、さらには本格的徴兵制への危険を感じ、子や孫の未来への不安が つのる。当然、これも救済されなければならない被害です。
(6) 民主主義違反と憲法改正決定権の侵害
 多くの怒りが集中しているのが、安保法制の国会での強行採決に対する怒り・憤りであります。内容とともに、その成立過程も自分たちの主権を蔑ろにされたことへの憤りは、多くの原告が国会前やテレビで固唾を飲んで見守る前で文字通り暴力的な強行採決がなされたのであり、当然であります。
 「集団的自衛権の閣議決定には涙し、安保法制の強行採決には怒りで震えた」 「9条を持つ誇りが失われ、安保法制の強行採決の時には3日間の断食をした」と訴えております。
 次ぎに、憲法に定められた憲法改正の手続き、国民投票もなしに違憲の安保法制が制定されてしまったこと対する怒りについても多くの原告が訴えています。「安保法制は憲法を改正しなければできない法律なのに一票を投ずる機会を奪われたままである」「国民の主権がないがしろにされて戦争に向かう法律が通ってしまった」「特定秘密保護法、安保法制が作られる過程は歯ぎしりするほどの怒りと、戦争体験が呼び戻され苦しい毎日を送っている」憲法改正手続きの国民投票も行われず違憲の安保法制の強行採決は原告らの主権を根底から侵害するものであり、原告らの不安、憤り、絶望感は、紛れもなくその侵害による精神的苦痛です。」
(出典:国家賠償請求訴訟 平成28年(ワ)13525号 2019年4月12日 第10回 口頭弁論  報告集会資料(代理人意見陳述)裁判資料・国家賠償請求訴訟安保法制違憲訴訟の会
(索引:戦争体験者の精神的苦痛,日本国憲法第9条,安保法制)

(出典:安保法制違憲訴訟の会
安保法制違憲訴訟の会(2016-)(Collection of propositions of great philosophers)
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2019年11月2日土曜日

国会議員の職務義務違反という行為態様の違法性の質と量は、侵害行為の態様と被侵害利益の種類・性質等を考慮しなければ、判断できない。(伊藤真(1958-)

立法不法行為の違法性の判断

【国会議員の職務義務違反という行為態様の違法性の質と量は、侵害行為の態様と被侵害利益の種類・性質等を考慮しなければ、判断できない。(伊藤真(1958-)】

(3)追加。
(2)追記。

 以下のような立法行為によって、原告の「権利又は法律上保護される利益」(民法709条)が侵害されたのならば国家賠償法上の違法性が認められ、これによって生じた損害は、国家賠償として認められなければならない。
(1)「立法の内容が憲法の一義的な文言に違反している」場合
 例えば、
 (1.1)「憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合」
 (1.2)「憲法上保障され又は保護されている権利利益を合理的な理由なく制約するものとして憲法の規定に違反するものであることが明白」
 (1.3)立法内容が人権規範以外の憲法規範に違反するときは、「憲法の規定に違反するものであることが明白な場合」
(2)国務大臣と国会議員の職務義務
 (2.1)国務大臣は、重大な違憲の疑義が生じているような法案を、国会に提出する閣議決定に同意してはならない。
 (2.2)基本的な行為規範
  審議を通じて、なぜそのような法律が必要なのか、その立法事実を丁寧に検討し、当該立法の必要性、相当性を十分に明らかにすることで、国会議員として国民の疑問に誠実に応えるべきという国会議員としての行為規範がある。
 (2.3)相当に慎重な注意義務
  国会議員には、憲法の基本原理に牴触したり、国民各人の権利や法的利益を侵害したりする可能性のある法律を制定する場合には、相当慎重に立法内容を検討する注意義務がある。
 (2.3)特に説得的な説明責任
  国会議員には、有識者から違憲と指摘されるような法律を制定する際には、当該立法が憲法違反とはならないことを国民に説得的に説明する法的義務が生ずる。
 (2.4)法案の修正義務
  国会議員は、当該法案に、重大な違憲の疑義が生じている場合には、そうした違憲の疑いを払拭するべく審議を重ね、少なくとも国民の多くが違憲の疑いを持たない程度には法案の修正などによって対応するべき職務義務がある。
(3)立法不法行為の違法性の判断
 (3.1)参考:刑事手続上の検察官や裁判官の職務行為の違法性が問題となった事案における「職務行為基準説」(「公権力発動要件欠如説」とも称されるもの)
  侵害行為の態様や被侵害利益の内容を考慮すべきでない。
 (3.2)参考:一般の行政処分についての「職務行為基準説」
  国賠法上の違法性を、侵害行為の態様・程度と被侵害利益の種類・内容との相関関係において判断している。(「相関関係論」)
 (3.3)立法不法行為の場合
  (a)国賠法上の違法性は、厳密な行政法規違反に限定されるものではない。
  (b)職務行為基準説を採用しつつも、より一層、侵害行為の態様と被侵害利益の種類・性質との相関関係を考慮するべきである。
  (c)国会議員の職務義務違反という行為態様の違法性の質と量は、侵害行為の態様と被侵害利益の種類・性質等を考慮しなければ、判断できない。
「第1 国賠法上の違法性の判断基準について
 被告は、「職務行為基準説」を採用することにより、いわゆる「相関関係論」すなわち、侵害行為の態様・程度と被侵害利益の種類・内容との相関関係において違法性が判断されるとする立場は取り得なくなるかの主張をしているので、この点について反論する。
 まず、国賠法上の違法性は、厳密な行政法規違反に限定されるものではないことは、田中二郎博士など行政法の研究者や、平成25年3月26日最高裁第三小法廷判決に付された寺田逸郎裁判官及び大橋正春裁判官の補足意見などでも言及されているところである。
 被告主張のように、侵害行為の態様や被侵害利益の内容を考慮すべきでないと言えるのは、刑事手続上の検察官や裁判官の職務行為の違法性が問題となった事案における「職務行為基準説」(「公権力発動要件欠如説」とも称されるもの)についてであり、これと、一般の行政処分についての「職務行為基準説」を混同してはならない。
 行政処分に関するいくつかの裁判例においても、国賠法上の違法性を、侵害行為の態様・程度と被侵害利益の種類・内容との相関関係において判断している。
 よって、一般に「職務行為基準説」を採用することが、「相関関係論」を否定する理由にはならない。では、立法不法行為の場合はどうであろうか。立法不法行為の場合には、職務行為基準説を採用しつつも、より一層、侵害行為の態様と被侵害利益の種類・性質との相関関係を考慮するべきと考える。国会議員の職務義務違反という行為態様の違法性の質と量は、侵害行為の態様と被侵害利益の種類・性質等を考慮しなければ、判断できないものといえるからである。特に、憲法の基本原理に牴触したり、国民各人の権利や法的利益を侵害したりする可能性のある法律を制定する場合には、相当慎重に立法内容を検討する注意義務があるといえ、さらに、有識者から違憲と指摘されるような法律を制定する際には、当該立法が憲法違反とはならないことを国民に説得的に説明する法的義務が生じているといえる。このように、国会議員の職務義務の内容・レベルは、侵害行為の態様、当該立法行為によって生じる被侵害利益の種類・性質などを考慮しなければ判断できない。検察官の公訴提起・追行などの公権力発動要件のように明確な要件が予め法定されている訳ではないからである。」
(出典:国家賠償請求訴訟 平成28年(ワ)13525号 2017年6月2日 第4回 口頭弁論 報告会資料(意見陳述全文掲載)修正版裁判資料・国家賠償請求訴訟安保法制違憲訴訟の会
(索引:立法不法行為)

(出典:安保法制違憲訴訟の会
安保法制違憲訴訟の会(2016-)(Collection of propositions of great philosophers)
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前文に規定された平和的生存権と第9条は、具体的な安全保障政策や外交政策など、多数派による多様な政治的決定の許容限界を定める、国民の生命、自由、財産を守るための基底的権利を規定している。(伊藤真(1958-)

平和的生存権と第9条

【前文に規定された平和的生存権と第9条は、具体的な安全保障政策や外交政策など、多数派による多様な政治的決定の許容限界を定める、国民の生命、自由、財産を守るための基底的権利を規定している。(伊藤真(1958-)】

 本件訴訟は、新安保法制法の安全保障政策上の当否の判断を裁判所に求めているのではない。あくまでも、新安保法制法が、憲法が許容している枠組みを逸脱しているか否かの判断を求めている。
(1)安全保障政策の当不当の判断
 (a)安全保障政策に関する国民の意思は多様である。
 (b)具体的な安全保障政策の実現や、外交交渉の内容などは政治部門の判断に委ねられている。
(2)多数派による政治的決定への制限
 (a)安全保障政策における判断の誤りは国民の生命、自由、財産に甚大な損害を与え、取り返しのつかない結果を招来することになる。
 (b)従って憲法は、こうした国家の安全保障政策に対して、憲法9条、前文の平和的生存権などの規定によって、多数派による政治的決定に制限を加えている。

「平成27年再婚禁止期間違憲判決では、まず民法733条1項の憲法適合性を判断した上で、当該立法不作為の国家賠償法上の違法性の有無についての判断枠組みを提示してあてはめをし、国家賠償法上の違法の評価を受けるものではないとして請求を棄却しており、原告の損害については一切検討していない。このように最高裁も法規の憲法適合性の判断を先行させている。
 本事案もこれと同様に、新安保法制法の違憲性について先行させて判断をするべき事案である。
 安全保障政策における判断の誤りは国民の生命、自由、財産に甚大な損害を与え、取り返しのつかない結果を招来することになる。だからこそ、憲法は、こうした国家の安全保障政策に対して、憲法9条、前文の平和的生存権などの規定によって、多数派による政治的決定に制限を加えたのである。
 安全保障政策に関する国民の意思は多様である。具体的な安全保障政策の実現や外交交渉の内容などは政治部門の判断に委ねられているとしても、内閣、国会が最低限遵守しなければならない大きな枠組みは憲法によって規定されている。政策の当不当の判断ではなく、こうした大きな枠組みを逸脱した立法か否かの判断こそは司法の役割である。
 本件訴訟は、新安保法制法の安全保障政策上の当否の判断を裁判所に求めているのではない。あくまでも、新安保法制法が、憲法が許容している枠組みを逸脱しているか否かの判断を求めているだけである。にもかかわらず、この問題を政治の場で解決するべき問題であるとして、政治部門にその判断をゆだねてしまい、裁判所が憲法判断を避けることは決して許されることではない。」
(出典:国家賠償請求訴訟 平成28年(ワ)13525号 2017年3月3日 第3回 口頭弁論 報告会資料(意見陳述全文掲載)裁判資料・国家賠償請求訴訟安保法制違憲訴訟の会
(索引:平和的生存権,日本国憲法第9条,安保法制)

(出典:安保法制違憲訴訟の会
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立法内容の違憲性が明白な場合には、この立法行為によって権利または法律上保護された利益が侵害されたならば、国家賠償法上の違法性が認められる。なぜなら、国務大臣と国会議員には、十分な審議、国民への説明、法案の必要な修正等の責任があるからである。(伊藤真(1958-)

国家賠償法上の違法性

【立法内容の違憲性が明白な場合には、この立法行為によって権利または法律上保護された利益が侵害されたならば、国家賠償法上の違法性が認められる。なぜなら、国務大臣と国会議員には、十分な審議、国民への説明、法案の必要な修正等の責任があるからである。(伊藤真(1958-)】
 以下のような立法行為によって、原告の「権利又は法律上保護される利益」(民法709条)が侵害されたのならば国家賠償法上の違法性が認められ、これによって生じた損害は、国家賠償として認められなければならない。
(1)「立法の内容が憲法の一義的な文言に違反している」場合
 例えば、
 (1.1)「憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合」
 (1.2)「憲法上保障され又は保護されている権利利益を合理的な理由なく制約するものとして憲法の規定に違反するものであることが明白」
 (1.3)立法内容が人権規範以外の憲法規範に違反するときは、「憲法の規定に違反するものであることが明白な場合」
(2)国務大臣と国会議員の職務義務
 (2.1)国務大臣は、重大な違憲の疑義が生じているような法案を、国会に提出する閣議決定に同意してはならない。
 (2.2)国会議員は、当該法案に、重大な違憲の疑義が生じている場合には、そうした違憲の疑いを払拭するべく審議を重ね、少なくとも国民の多くが違憲の疑いを持たない程度には法案の修正などによって対応するべき職務義務がある。
 (2.3)審議を通じて、なぜそのような法律が必要なのか、その立法事実を丁寧に検討し、当該立法の必要性、相当性を十分に明らかにすることで、国会議員として国民の疑問に誠実に応えるべきという国会議員としての行為規範がある。

「これらの「憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合」とか「憲法上保障され又は保護されている権利利益を合理的な理由なく制約するものとして憲法の規定に違反するものであることが明白」という表現は、昭和60年判決がいうところの「立法の内容が憲法の一義的な文言に違反している」場合の例示であり、立法内容が、憲法の人権規範に違反するときの判断枠組みとしてこのような表現になっているものと考えられる。また、仮に立法内容が人権規範以外の憲法規範に違反するときには、「憲法の規定に違反するものであることが明白な場合」という判断枠組みによって判断することが可能と考える。
 なぜなら、立法内容が、憲法13条のような人権規範に違反するときであろうが、憲法9条のように人権規範以外の憲法規範に違反するときであろうが、憲法規範に違反することが明白な内容の立法行為が許されるはずもなく、いずれも昭和60年判決がいうところの「立法の内容が憲法の一義的な文言に違反している」場合にあたるといえるからである。こうした立法行為によって、原告の「権利又は法律上保護される利益」(民法709条)が侵害されたのならば国家賠償法上の違法性が認められ、これによって生じた損害は、国家賠償として認められなければならない。
 さらに、国務大臣は、重大な違憲の疑義が生じているような法案を国会に提出する閣議決定に同意してはならないし、国会議員は、当該法案に、重大な違憲の疑義が生じている場合には、そうした違憲の疑いを払拭するべく審議を重ね、少なくとも国民の多くが違憲の疑いを持たない程度には法案の修正などによって対応するべき職務義務があるといえる。国務大臣も国会議員も憲法尊重擁護義務を負っているからである。そして、審議を通じて、なぜそのような法律が必要なのか、その立法事実を丁寧に検討し、当該立法の必要性、相当性を十分に明らかにすることで、国会議員として国民の疑問に誠実に応えるべきという国会議員としての行為規範がある。」
(出典:国家賠償請求訴訟 平成28年(ワ)13525号 2017年3月3日 第3回 口頭弁論 報告会資料(意見陳述全文掲載)裁判資料・国家賠償請求訴訟安保法制違憲訴訟の会
(索引:国家賠償法上の違法性)

(出典:安保法制違憲訴訟の会
安保法制違憲訴訟の会(2016-)(Collection of propositions of great philosophers)
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2016年7月1日、バングラデシュの首都ダッカでのレストラン襲撃事件において、人質の一人の日本人が、銃を突きつけた犯人に向かって「I am Japanese.」と言い、殺された。日本はもはや、武力と戦争を放棄した国とは考えられていない。(岡本達思(1950-))

憲法9条が日本人を守っていた

【2016年7月1日、バングラデシュの首都ダッカでのレストラン襲撃事件において、人質の一人の日本人が、銃を突きつけた犯人に向かって「I am Japanese.」と言い、殺された。日本はもはや、武力と戦争を放棄した国とは考えられていない。(岡本達思(1950-))】

「他の大国が、中東諸国に軍事介入する中で、憲法9条のもと武器を持たず平和外交や NGO による人道支援を続けてきた日本に対しては、パレスチナに限らず中東諸国の多くの人々は絶大な信頼を寄せてくれました。これは中東諸国で人道支援や取材活動を続けてきた日本人なら、誰もが感じているはずです。
 ところが、自公政権による安倍内閣が誕生して以来、彼らの日本に対して抱く信頼は徐々に薄れてきました。如実に変わったのは、2015年1月に安倍首相が中東諸国を歴訪して以降です。なかでも 1 月 18 日にイスラエルを訪問し、サイバーテロや軍用無人機などの安全保障関連分野での提携を深める演説は、中東諸国に対して挑発的な言動となり、私はそのニュースを見て全身に戦慄が走ったのを今でも忘れることができません。
 昨年7月1日にバングラデシュの首都ダッカで、武装集団によるレストラン襲撃事件がありました。この事件で私が最もショックを受けたのは、人質の一人の日本人が銃を突きつけた犯人に向かって「I am Japanese.」と言い殺されたことでした。かつては私たちの身を守る言葉だった「I am Japanese.」が、今や何の力もないこと、むしろ日本人が攻撃の対象として変わってしまったことに、私は深い悲しみを感じました。」
(出典:国家賠償請求訴訟 平成28年(ワ)13525号 2017年3月3日 第3回 口頭弁論 報告会資料(意見陳述全文掲載)裁判資料・国家賠償請求訴訟安保法制違憲訴訟の会
(索引:ダッカでのレストラン襲撃事件,日本国憲法第9条,安保法制)

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「後方支援」が安全であるというのは、事実に反した誤りである。敵から見れば、食糧、武器弾薬、医療物資等を遮断する作戦は効率的であり、逆に、輸送船は反撃の手段を持たないため、むしろ前線より危険である。(本望隆司)

後方支援活動の危険性

【「後方支援」が安全であるというのは、事実に反した誤りである。敵から見れば、食糧、武器弾薬、医療物資等を遮断する作戦は効率的であり、逆に、輸送船は反撃の手段を持たないため、むしろ前線より危険である。(本望隆司)】
「政府は,あたかも「後方支援」は安全であるかのような説明をしておりますが,実際のところ,兵站活動です。前線部隊に兵員、食糧,武器弾薬,医療物資等を運ぶのですから,敵からみれば,それを攻撃し,補給を遮断するのがもっとも効率的であることは当然です。「後方支援」だからといって安全であることは全くなく,輸送船は反撃の手段を持っていませんから,むしろ前線より危険ともいえるわけです。このことは,第二次世界大戦中に,日本の民間の船舶が輸送船として徴用され,攻撃対象になって、約半数の船員が犠牲となり、保有船舶もわずか数隻にまで壊滅した歴史で明らかです。日本海運が立ち直るために長い年月を要したのです。これは我々船員としては繰り返してはならない歴史です。「海員不戦の誓い」は海運界の切実な願いです。」
(出典:国家賠償請求訴訟 平成28年(ワ)13525号 2016年12月2日 第2回 口頭弁論 報告会資料(意見陳述全文掲載)裁判資料・国家賠償請求訴訟安保法制違憲訴訟の会
(索引:後方支援活動の危険性)

(出典:安保法制違憲訴訟の会
安保法制違憲訴訟の会(2016-)(Collection of propositions of great philosophers)
安保法制違憲訴訟の会(2016-)
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船舶会社では、就職の際に、予備自衛官補になることが条件になっている。なぜか。船舶会社と防衛省との間では、有事の際に船舶を自衛隊に提供する契約が結ばれており、船舶会社の船員に、自衛官として後方支援の任務が課されるからだ。(本望隆司)

予備自衛官補

【船舶会社では、就職の際に、予備自衛官補になることが条件になっている。なぜか。船舶会社と防衛省との間では、有事の際に船舶を自衛隊に提供する契約が結ばれており、船舶会社の船員に、自衛官として後方支援の任務が課されるからだ。(本望隆司)】
「ところが,政府が憲法9条の精神を捨て去り,海外での武力の行使が可能になる集団的自衛権を閣議決定してから,我が海運業界もその影響が現れています。
 2016 年には軍需物資の海上輸送に、防衛省と船舶会社との間で,既に,2隻のチャーター契約を結んでいます。これは,普段はこの船舶を通常利用してもよいが,有事の際には,防衛省の命令によって,これらの船舶を自衛隊に提供するというものです。そして、船舶を操船するのは,自衛官となっていますが,現役の自衛官では操船が無理ですから,船員を予備自衛官として,自衛官の身分で,船舶を航行させることになります。この契約は10年で合計250億円という金額ですから、船舶会社としては,黙ってもお金が入ってくる非常に魅力的な取引ですが,現場の船員にとっては,「後方支援」の名の下,いつ攻撃されるか分からない危険な状態におかれます。そして、これらの船舶会社に就職する際に,予備自衛官補になることを条件としています。それを拒否すれば下船させられます。」
(出典:国家賠償請求訴訟 平成28年(ワ)13525号 2016年12月2日 第2回 口頭弁論 報告会資料(意見陳述全文掲載)裁判資料・国家賠償請求訴訟安保法制違憲訴訟の会
(索引:予備自衛官補,安保法制)

(出典:安保法制違憲訴訟の会
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新安保法制法の立法行為は、明白な違憲立法の制定行為であり、「立法の内容が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合」にあたる。(伊藤真(1958-))

立法行為の違法性

【新安保法制法の立法行為は、明白な違憲立法の制定行為であり、「立法の内容が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合」にあたる。(伊藤真(1958-))】

(1)例外的に立法行為の違法性が肯定され、国家賠償法1条1項の規定が適用される場合。
 (1.1)容易に想定し難いような例外的な場合
  「国会議員の立法行為は、立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえて当該立法を行うというごとき、容易に想定し難いような例外的な場合でない限り、国家賠償法一条一項の規定の適用上、違法の評価を受けない」(在宅投票制度訴訟の上告審判決(最高裁昭和60年11月21日第一小法廷判決・民集39巻7号1512頁。以下,「昭和 60 年判決」という。))
 (1.2)憲法上保障されている権利の侵害が明白な場合。
  「立法の内容が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合」にも例外的に,国会議員の立法行為は,国家賠償法1条1項の規定の適用上,違法の評価を受ける(在外邦人選挙権制限違憲訴訟上告審判決(最高裁判所大法廷平成17年9月14日民集59巻7号2087頁。以下,「平成17年判決」という。))
 (1.3)立法行為の違法性を肯定するための検討要素(ハンセン病訴訟熊本地裁判決(熊本地裁平成13年5月11日判決))
  (a)少数者の人権保障を脅かしかねない危険性
  (b)人権被害の重大性
  (c)司法的救済の必要性の高さ
(2)本件の新安保法制法の立法行為は、明白な違憲立法の制定行為であり、「立法の内容が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合」にあたる。
 (a)少数者の人権侵害
  戦争被害者、原爆被害者、基地周辺住民等として特に、平和的生存権、人格権の重大な侵害を受けている少数者の人権被害を招いている。
 (b)極めて特殊で例外的な場合
  多くの憲法学者、元内閣法制局長官、元最高裁長官までもが違憲と指摘する法律を採決の強行により制定してしまうことは、これまで前例がなく「極めて特殊で例外的な場合」にあたる。
 (c)司法的救済の必要の高さ
  内閣法制局による事前の憲法統制がこれまでのように機能しなかったのであるから、司法的な救済の必要性は極めて高い。
 (d)新安保法制の違憲性の判断の必要性
  原告らは一様に、今回の新安保法制による憲法破壊、憲法9条の平和主義の毀損によって、大きな精神的苦痛を被っている。この原告らの損害の重大性、人権侵害の重大性を判断するためには、どれほど無謀な憲法破壊が行われたのか、憲法9条がどのように破壊されたのかを明らかにする必要がある。つまり、新安保法制の違憲性を判断しなければ、原告らの被害の重大性も、立法行為の違法性も判断することができないのである。

「1 最高裁昭和 60 年判決と平成 17 年判決
 本件訴訟においては,原告は、国会の新安保法制法の制定行為が国家賠償法上の公権力の行使として違法であることを主張している。この点に関し、いわゆる在宅投票制度訴訟の上告審判決(最高裁昭和60年11月21日第一小法廷判決・民集39巻7号1512頁。以下,「昭和 60 年判決」という。)において,「国会議員の立法行為は、立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえて当該立法を行うというごとき、容易に想定し難いような例外的な場合でない限り、国家賠償法一条一項の規定の適用上、違法の評価を受けない」とされた。
 しかし、その後,最高裁は,いわゆる在外邦人選挙権制限違憲訴訟上告審判決(最高裁判所大法廷平成17年9月14日民集59巻7号2087頁。以下,「平成17年判決」という。)において,上記昭和 60 年判決を維持しつつも,国会議員の立法行為が国家賠償法1条1項の適用において違法となるとして,原告に対する国家賠償を認容している。
 そこでは、「立法の内容が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合」にも例外的に,国会議員の立法行為は,国家賠償法1条1項の規定の適用上,違法の評価を受けるものとされた。
 この2つの判決の関係について、再婚禁止期間に関する最高裁大法廷平成27年12月16日判決の判例評釈を執筆された加本牧子最高裁判所調査官は,「昭和60年判決は、違法になる場合をその例示のような事案以外につき一切否定したものとは解されないし、平成 17 年判決も、立法行為等の違法性が認められる場合が『例外的な場合』であるとする点で同旨」と述べている(「最高裁大法廷 時の判例」ジュリスト1490号94頁)。
 2 ハンセン病訴訟熊本地裁判決の考慮要素について
 事例判断という点で、参考になるものが、いわゆるハンセン病訴訟熊本地裁判決(熊本地裁平成13年5月11日判決)である。そこでは、少数者の人権保障を脅かしかねない危険性、新法の隔離規定が存続することによる人権被害の重大性とこれに対する司法的救済の必要性等が検討されている。
 結局、「立法の内容が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合」(平成17年判決)には、例外的に立法行為の違法性が肯定され、その判断にあたっては、少数者の人権保障を脅かしかねないか、人権被害が重大か、司法的救済の必要が高いかなどの考慮要素を検討するべきなのである。
3 本件は国家賠償が認められるべき例外的な場合である
 本件の新安保法制法の立法行為は,明白な違憲立法の制定行為であり,「立法の内容が国民に憲法上保障されている権利を違法に侵害するものであることが明白な場合」にあたる。すなわち、新安保法制法の制定行為は,歴代の日本政府の見解が違憲であるとしてきた集団的自衛権の行使や非戦闘地域以外における後方支援を認めるものであり,戦争被害者、原爆被害者、基地周辺住民等として特に、平和的生存権、人格権の重大な侵害を受けている少数者の人権被害を招いている立法行為である。
 また、内閣法制局による事前の憲法統制がこれまでのように機能しなかったのであるから、司法的な救済の必要性は極めて高いといえる。多くの憲法学者、元内閣法制局長官、元最高裁長官までもが違憲と指摘する法律を採決の強行により制定してしまうことは、これまで前例がなく「極めて特殊で例外的な場合」にあたる。 以上から、本件新安保法制法の国会議員による制定行為は、国家賠償法1条1項の適用上、優に違法と評価されるべきものである。
4 最後に
 この後の原告らによる意見陳述から明らかなように、原告らは一様に、今回の新安保法制による憲法破壊、憲法 9 条の平和主義の毀損によって、大きな精神的苦痛を被っている。この原告らの損害の重大性、人権侵害の重大性を判断するためには、どれほど無謀な憲法破壊が行われたのか、憲法 9 条がどのように破壊されたのかを明らかにする必要がある。つまり、新安保法制の違憲性を判断しなければ、原告らの被害の重大性も、立法行為の違法性も判断することができないのである。
 裁判所には今回の新安保法制の立法内容の違憲性に真正面から向き合って、原告の救済を図る責務があると考える。そしてその判断を通じて、この国の憲法秩序を回復する重大な職責があると考える。
 この裁判では、多岐にわたる論点を争うことになるが、憲法秩序を破壊する政治部門に対して司法がどうあるべきか、その姿勢と司法の存在意義が問われていることは間違いない。裁判を多くの国民が注視している中、国民の司法への期待と信頼を裏切ってはならないこと、そして憲法価値を実現する職責が裁判所にあることを、この裁判の冒頭に申し添えておきたい。
以上」
(出典:国家賠償請求訴訟 平成28年(ワ)13525号 2016年9月2日 第1回 口頭弁論 報告会資料(意見陳述全文掲載)修正版裁判資料・国家賠償請求訴訟安保法制違憲訴訟の会
(索引:立法行為の違法性,国家賠償法,権利侵害が明白な場合,安保法制)

(出典:安保法制違憲訴訟の会
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安保法制違憲訴訟の会(2016-)
安保法制違憲訴訟の会
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検索(憲法改正)
検索(憲法9条)

安保法制の採決に関わった国務大臣及び国会議員は、この法律が違憲または憲法改正が必要であることを知り、さらには平和的生存権を侵害するものであることを、知り得べきであり、回避可能な侵害を発生させたことに過失がある。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)

国務大臣及び国会議員の過失

【安保法制の採決に関わった国務大臣及び国会議員は、この法律が違憲または憲法改正が必要であることを知り、さらには平和的生存権を侵害するものであることを、知り得べきであり、回避可能な侵害を発生させたことに過失がある。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)】
「第5 公務員の故意・過失及び因果関係
1 公務員の故意・過失
 従前の集団的自衛権の行使等が憲法に反するという確定的憲法解釈や圧倒的多数の新安保法制法案は違憲であるとの指摘等を無視して、憲法改正手続をとることなく行われた新安保法制法の制定の経緯に鑑みれば、これに係る内閣(その構成員である各国務大臣)による26・7閣議決定、27・5閣議決定及び同法案の国会提出並びに国会(その構成員である国会議員)による同法案の可決等をするに当たっては、上記国務大臣及び国会議員は、新安保法制法案が違憲であり、これを制定したときは原告らの権利を侵害することを知り、これを容認していたか(故意)、少なくともこれを容易に知り、又は知り得べきであり、侵害を回避することが可能であったのにこれを怠った過失があります。」
(出典:国家賠償請求訴訟 平成28年(ワ)13525号 2016年4月26日 訴状裁判資料・国家賠償請求訴訟安保法制違憲訴訟の会
目 次 ※印は、上記引用文の記載箇所を示す。
第5 公務員の故意・過失及び因果関係
※1 公務員の故意・過失
2 加害行為と損害との因果関係
第6 結論
第7 さいごに
(索引:安保法制,国務大臣及び国会議員の過失)

(出典:安保法制違憲訴訟の会
安保法制違憲訴訟の会(2016-)(Collection of propositions of great philosophers)
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検索(安保法制)
検索(憲法改正)
検索(憲法9条)

参議院平和安全法制特別委員会における採決は、地方公聴会の報告もなされず、総括質疑も行わず、不意をついて与党議員が委員長席を取り囲んで野党議員を排除し、「議場騒然、聴取不能」としか速記に記録されない混乱の中で「可決」された。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)

参議院平和安全法制特別委員会

【参議院平和安全法制特別委員会における採決は、地方公聴会の報告もなされず、総括質疑も行わず、不意をついて与党議員が委員長席を取り囲んで野党議員を排除し、「議場騒然、聴取不能」としか速記に記録されない混乱の中で「可決」された。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)】
「ウ 新安保法制法は、前記のように規範性を有する憲法9条の解釈を変更し、その内容を法律によって改変してしまおうとするものです。それは本来、憲法96条1項に定める国会の発議と国民投票の手続をとらなければできないことであるにもかかわらず、これを潜脱するものです。しかも、この憲法改正の手続を回避して採られた立法の国会審議の過程においては、多くの国民・市民及び野党の反対を押し切った採決が強行され、中でも参議院平和安全法制特別委員会における採決は、地方公聴会の報告もなされず、総括質疑も行わず、不意をついて与党議員が委員長席を取り囲んで野党議員を排除し、「議場騒然、聴取不能」としか速記に記録されない混乱の中で「可決」したとされる異様なものでありました。それは、国民から負託された国会による代表制民主主義をも蹂躙しつつ、本来憲法改正手続を踏まなければできないはずの、実質的な憲法改変を強行したものでありました。新安保法制法の制定は、このようにして、原告ら国民が自らの意思に基づいて憲法の条項と内容を決定する前記憲法改正・決定権をないがしろにし、これを侵害するものです。
 そして、集団的自衛権の行使等は、このように原告らの憲法改正・決定権を侵害し、蹂躙した手続によって制定された新安保法制法の現実の適用・実施過程であり、また、これが反復されることによって、その侵害の結果を既成事実化することになります。そしてこの現実の適用、実施、既成事実化を通じて、本来憲法9条に違反するものであったはずの新安保法制法、その集団的自衛権の行使等に係る根拠法条が、これまでの憲法9条の規範内容にとって代わって、実質的な規範として通用する状態が事実上形成され、これが定着してしまうことになります。しかも、集団的自衛権の行使等は、一旦それがなされれば日本の国全体を後戻りのきかない戦争状態に引き込むことになりかねないものであり、そこではもはや憲法9条の平和主義の規範自体が死文化してしまうのです。」
(出典:国家賠償請求訴訟 平成28年(ワ)13525号 2016年4月26日 訴状裁判資料・国家賠償請求訴訟安保法制違憲訴訟の会
目 次 ※印は、上記引用文の記載箇所を示す。
4 原告らの権利、利益の侵害(概論)
(1) 平和的生存権の侵害
(2) 人格権侵害
※(3) 憲法改正・決定権侵害
(索引:安保法制,日本国憲法第9条,参議院平和安全法制特別委員会)

(出典:安保法制違憲訴訟の会
安保法制違憲訴訟の会(2016-)(Collection of propositions of great philosophers)
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検索(憲法9条)

外国の軍隊に対する物品及び役務の提供のうち、弾薬を含む武器の提供や、航空機に対する給油・整備を除外し、非戦闘地域における活動に制限してきたが、今やこの制限はない。現に戦闘が行われていなければよいとされている。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)

後方支援活動等の武力行使性

【外国の軍隊に対する物品及び役務の提供のうち、弾薬を含む武器の提供や、航空機に対する給油・整備を除外し、非戦闘地域における活動に制限してきたが、今やこの制限はない。現に戦闘が行われていなければよいとされている。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)】
(1)安保法制成立以前の政府の解釈
 (1.1)後方支援活動等は、それ自体は戦闘行為そのものではないとしても、相手国から見れば一体として武力を行使しているものとして攻撃の対象となり得る。
 (1.2)他国軍隊の武力行使と「一体化」しなければ憲法上の問題を生じない。
  その条件は、以下のとおり。
  (a)「現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域」(周辺事態法(平成11年))
  (b)物品・役務の提供から、弾薬を含む武器の提供、戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油・整備を除外する。
(2)安保法制後の政府の解釈
 (2.1)他国軍隊の武力行使と「一体化」しなければ憲法上の問題を生じない。
  その条件は、以下のとおり。
  (a)「現に戦闘行為を行っている現場」ではない場所であれば、そこで実施する日本の支援活動については、そもそも当該他国の武力行使と一体化するものではない。
  (b)その場所が「現に戦闘行為を行っている現場」になる場合には、その活動を休止・中断すればよい(26・7閣議決定)。
  (c)弾薬の提供や、戦闘行為のために発進準備中の航空機に対する給油・整備までも許容される。

「(3) 後方支援活動等の他国軍隊の武力の行使と一体化
ア 名古屋高裁平成20年4月17日判決(判例タイムズ1313号137頁-自衛隊のイラク派遣差止訴訟)は、イラクにおいて航空自衛隊が多国籍軍の武装兵員を空輸した行為につき、「他国による武力行使と一体化した行動であって、自らも武力の行使を行ったと評価を受けざるを得ない行動であるということができる」と判示しました。
 後方支援活動等は、それ自体は戦闘行為そのものではないとしても、相手国から見れば一体として武力を行使しているものとして攻撃の対象となり得るものであり、法的にも武力の行使と評価され得るものです。従来の政府解釈では、このような一体化論を前提として(つまり、後方支援活動等が、法的に武力行使とみられることがあることを前提にして)、他国軍隊の武力行使と「一体化」しなければ憲法上の問題を生じないとの 解釈が行われてきました。
 具体的には、まず平成2年の湾岸戦争での多国籍軍支援のための「国際連合平和協力法案」(不成立)の際に問題になりましたが、その後、周辺事態法(平成11年)において、米軍の支援を行うことができる地域を「後方地域」すなわち「現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域」に限定することによって、米軍の武力行使と一体化しない法律上の担保とする仕組みがとられました。同時に、後方地域支援活動としての米軍に対する物品・役務の提供から、弾薬を含む武器の提供、戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油・整備を除外しました。そして旧テロ特措法(平成13年)においても、周辺事態法の上記「後方地域」と同じ文言で定められた地域に協力支援活動等を限定して、多国籍軍との武力行使の一体化が生じないようにすることとされました。すなわち、ここで限定された活動地域は(法文上の用語ではない)「非戦闘地域」と称され、「戦闘地域」と「非戦闘地域」という区別が議論の焦点となり、自衛隊の活動領域を「非戦闘地域」に限定し、「非戦闘地域」での協力支援活動等は武力行使に当たらないとして、法文上この問題を解決しようとしました。旧イラク特措法(平成15年)においても同様の解釈が行われました。
 しかしながら、この立法と解釈自体、相当に危険をはらんでいるものでありました。現に、イラク派遣の実態は、「非戦闘地域」とされたサマワの自衛隊の宿営地に迫撃砲やロケット弾による攻撃が10回以上発生していることや、前記のとおり名古屋高裁判決が航空自衛隊による武装兵員の輸送を武力行使と一体化したものと判断しているように、問題を残すものでありました。
 イ ところが、重要影響事態法と国際平和支援法は、さらに要件を緩め、従来の「後方地域」「非戦闘地域」に自衛隊が活動する地域を区切って限定することにより、他国軍隊との武力行使の一体化の問題が生じない担保とする枠組みに依拠することなく、「現に戦闘行為を行っている現場」ではない場所であれば、そこで実施する日本の支援活動については、そもそも当該他国の武力行使と一体化するものではないという考え方を採ることとし、状況の変化に応じて、その場所が「現に戦闘行為を行っている現場」になる場合には、その活動を休止・中断すればよいものとしたのです(26・7閣議決定)。
 加えて、重要影響事態法と国際平和支援法は、後方支援活動等の内容として、弾薬の提供や、戦闘行為のために発進準備中の航空機に対する給油・整備までも許容します。これは他国軍隊の武力行使への直接の支援にほかなりません。
 政府は、それでも「武力行使の一体化」は生じないとするのですが、これは戦闘の実態に目をつぶった欺瞞であると言わざるを得ません。これによれば、自衛隊は、現に戦闘行為が行われていなければ、そのすぐ近くの地域であっても支援活動が可能であることになり、そのような場所で弾薬の提供まで含む兵站活動を行っている自衛隊は、相手国から見れば、武力を行使する他国の軍隊とまさに一体となって武力を行使する支援部隊と見られ、相手国からの攻撃の対象とされることは避けられないでしょう。そして自衛隊がこれに反撃し、交戦状態へと突き進む危険性は極めて高いといえます。
 従来の、危ういながら、「非戦闘地域」という枠組みによってかろうじて合憲性の枠内に留まるとされてきた後方支援活動等ではありましたが、その枠組みさえも取り払われ、弾薬の提供等まで許容した上記二つ法律においては、もはやそのような説明は成り立たず、これによる自衛隊の後方支援活動等は他国軍隊の武力の行使と一体化し、又はその危険性の高いものとして、憲法9条に違反するものであることが明らかです。」
(出典:国家賠償請求訴訟 平成28年(ワ)13525号 2016年4月26日 訴状裁判資料・国家賠償請求訴訟安保法制違憲訴訟の会
目 次 ※印は、上記引用文の記載箇所を示す。
3 後方支援活動等の実施はいずれも違憲であること
(1) 後方支援活動等の軍事色強化
(2) 後方支援活動等の武力行使性
※(3) 後方支援活動等の他国軍隊の武力の行使と一体化
(4) 後方支援活動等の違憲性
(索引:日本国憲法第9条,安保法制,後方支援活動等の武力行使性)

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安保法制違憲訴訟の会(2016-)(Collection of propositions of great philosophers)
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外国の軍隊に対する物品及び役務の提供は、それ自体は武力行使には当たらないとしても、他国の武力行使と一体になることによって、憲法が禁止する「武力の行使」と評価される。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)

後方支援活動等の武力行使性

【外国の軍隊に対する物品及び役務の提供は、それ自体は武力行使には当たらないとしても、他国の武力行使と一体になることによって、憲法が禁止する「武力の行使」と評価される。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)】
「(2) 後方支援活動等の武力行使性
 ここで後方支援活動等とされるものは、外国の軍隊に対する物品及び役務の提供であって、一般に「兵站」と呼ばれているものです。自衛隊の後方支援活動等において問題となるのは、これらが憲法の禁ずる「武力の行使」に当たらないかという点です。すなわち、直接戦闘行為に加わらなくても、また、自衛隊の活動自体が武力行使に当たらないとしても、他国の武力行使と一体になることによって、結局、憲法9条が禁止する「武力の行使」と評価されるのではないかという問題です。」
(出典:国家賠償請求訴訟 平成28年(ワ)13525号 2016年4月26日 訴状裁判資料・国家賠償請求訴訟安保法制違憲訴訟の会
目 次 ※印は、上記引用文の記載箇所を示す。
第2 集団的自衛権の行使等を容認する新安保法制法は違憲であり、その制定に係る内閣及び国会の行為は違法であること
3 後方支援活動等の実施はいずれも違憲であること
(1) 後方支援活動等の軍事色強化
※(2) 後方支援活動等の武力行使性
(3) 後方支援活動等の他国軍隊の武力の行使と一体化
(4) 後方支援活動等の違憲性
(索引:日本国憲法第9条,安保法制,後方支援活動等の武力行使性)

(出典:安保法制違憲訴訟の会
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(1)日本への武力攻撃だけでなく、(1')日本との密接関係国への攻撃に対する自衛措置があり得ると仮に想定しても、(1')の危険の評価、危険に対する多様な対処、実力行使の妥当性の判断は、極めて曖昧で困難である。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)

実力行使の妥当性判断の困難さ

【(1)日本への武力攻撃だけでなく、(1')日本との密接関係国への攻撃に対する自衛措置があり得ると仮に想定しても、(1')の危険の評価、危険に対する多様な対処、実力行使の妥当性の判断は、極めて曖昧で困難である。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)】

「第2要件(他に適当な手段がないこと)及び第3要件(必要最小限度の実力の行使)は、表現はこれまでの自衛権発動の3要件と類似していますが、前提となる第1要件があいまいになれば、第2要件、第3要件も必然的にあいまいなものになります。例えば、国会審議を含めて政府から繰り返し強調されたホルムズ海峡に敷設された機雷掃海についてみれば、第1要件のいう「我が国の存立が脅かされ、国民の生命等が根底から脅かされる」のは、経済的影響でも足りるのか、日本が有する半年分の石油の備蓄が何か月分減少したら該当するのか、そのときの国際情勢や他国の動きをどう評価・予測するのかなどの判断のしかたに左右され、第2要件の「他の適当な手段」として、これらに関する外交交渉による打開の可能性、他の輸入ルートや代替エネルギーの確保の可能性などの判断も客観的基準は考えにくく、さらに第3要件の「必要最小限度」も第1要件・第2要件の判断に左右されて、派遣する自衛隊の規模、派遣期間、他国との活動分担などの限度にも客観的基準を見出すことは困難です。
 以上に加えて、平成25年12月に制定された特定秘密保護法により、防衛、外交、スパイ、テロリズム等の安全保障に関する情報が、政府の判断によって国民に対して秘匿される場合、「外国に対する武力攻撃」の有無・内容、その日本及び国民への影響、その切迫性等を判断する偏りのない十分な資料を得ることすらできず、政府の「総合的判断」の是非をチェックすることができないのです。」
(出典:国家賠償請求訴訟 平成28年(ワ)13525号 2016年4月26日 訴状裁判資料・国家賠償請求訴訟安保法制違憲訴訟の会
目 次 ※印は、上記引用文の記載箇所を示す。
第2 集団的自衛権の行使等を容認する新安保法制法は違憲であり、その制定に係る内閣及び国会の行為は違法であること
1 新安保法制法制定の経緯
2 集団的自衛権の行使が違憲であること
(1) 集団的自衛権の行使容認
(2) 憲法9条の解釈における集団的自衛権行使の禁止
(3) 閣議決定と新安保法制法による集団的自衛権行使の容認
※(4) 集団的自衛権行使容認の違憲性
(5) 立憲主義の否定
(索引:日本国憲法第9条,安保法制,実力行使の妥当性判断の困難さ)

(出典:安保法制違憲訴訟の会
安保法制違憲訴訟の会(2016-)(Collection of propositions of great philosophers)
安保法制違憲訴訟の会(2016-)
安保法制違憲訴訟の会
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(1)日本への武力攻撃だけでなく、(1')日本との密接関係国への攻撃に対する自衛措置があり得ると仮に想定しても、(1)は事実として明確であるのに対し、(1')は評価の問題であり、客観的限定性に欠ける点で、本質的に異なる事態である。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)

法の客観的限定性の欠如

(1)日本への武力攻撃だけでなく、(1')日本との密接関係国への攻撃に対する自衛措置があり得ると仮に想定しても、(1)は事実として明確であるのに対し、(1')は評価の問題であり、客観的限定性に欠ける点で、本質的に異なる事態である。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)】
「そして第1要件についていえば、「我が国に対する武力攻撃」があったかなかったかは事実として明確であるのに対し、他国に対する武力攻撃が「我が国の存立を脅かす」かどうか、「国民の生命、自由及び幸福追求の権利を覆す」かどうかは、評価の問題であるから、極めてあいまいであり、客観的限定性を欠きます。「密接な関係」「根底から覆す」「明白な危険」なども全て評価概念であり、その該当性は判断する者の評価によって左右されます。そして法案審議における政府の国会答弁によれば、この事態に該当するかどうかは、結局のところ、政府が「総合的に判断」するというのです。」
(出典:国家賠償請求訴訟 平成28年(ワ)13525号 2016年4月26日 訴状裁判資料・国家賠償請求訴訟安保法制違憲訴訟の会
目 次 ※印は、上記引用文の記載箇所を示す。
第2 集団的自衛権の行使等を容認する新安保法制法は違憲であり、その制定に係る内閣及び国会の行為は違法であること
1 新安保法制法制定の経緯
2 集団的自衛権の行使が違憲であること
(1) 集団的自衛権の行使容認
(2) 憲法9条の解釈における集団的自衛権行使の禁止
(3) 閣議決定と新安保法制法による集団的自衛権行使の容認
※(4) 集団的自衛権行使容認の違憲性
(5) 立憲主義の否定
(索引:日本国憲法第9条,安保法制,法の客観的限定性)

(出典:安保法制違憲訴訟の会
安保法制違憲訴訟の会(2016-)(Collection of propositions of great philosophers)
安保法制違憲訴訟の会(2016-)
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自衛のための必要最小限度の実行組織は「戦力」には当たらない。(1)日本への武力攻撃だけでなく、(1')日本との密接関係国に対する攻撃であっても、(1)と同じ危険がある場合には、(2)他に排除手段がなく、(3')必要最小限度の実力行使であれば自衛措置である。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)

安保法制を支持する政府の新解釈

【自衛のための必要最小限度の実行組織は「戦力」には当たらない。(1)日本への武力攻撃だけでなく、(1')日本との密接関係国に対する攻撃であっても、(1)と同じ危険がある場合には、(2)他に排除手段がなく、(3')必要最小限度の実力行使であれば自衛措置である。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)】
(4)政府の従来解釈
 (a)日本国憲法も、独立国が当然に保有する自衛権を否定するものではない。
 (b)自衛のための必要最小限度の実力組織である自衛隊は憲法9条2項の「戦力」には当たらない。
 (c)自衛権発動の3要件
  (c.1)日本に対する急迫不正の侵害があること、すなわち武力攻撃が発生したこと
   (c.1.1)従って、自国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利としての集団的自衛権の行使は、許されない。
  (c.2)これを排除するために他の適当な手段がないこと
  (c.3)必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと
   (c.3.1)従って、外部からの武力攻撃を日本の領域から排除することを目的とすることから、日本の領域内での行使を中心とし、必要な限度において日本の周辺の公海・公空における対処も許されるが、反面、武力行使の目的をもって自衛隊を他国の領土・領海・領空に派遣する、いわゆる海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されない。

(5)政府の新解釈
 (a)日本国憲法も、独立国が当然に保有する自衛権を否定するものではない。
 (b)自衛のための必要最小限度の実力組織である自衛隊は憲法9条2項の「戦力」には当たらない。
 (c)自衛権発動の新3要件
  (c.1)日本に対する急迫不正の侵害があること、すなわち武力攻撃が発生したこと。
   (c.1.1)従って、自国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利としての集団的自衛権の行使は、許されない。
  (c.1')しかし、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合
   (c.1'.1)この場合は、集団的自衛権の行使ではなく、憲法上許容される「自衛の措置」である。
  (c.2)これを排除するために他の適当な手段がないこと
  (c.3)必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと

「(3) 閣議決定と新安保法制法による集団的自衛権行使の容認
 ところが、政府は、平成26年7月1日、上記のこれまでの確立した憲法9条の解釈を覆し、集団的自衛権の行使を容認することなどを内容とする閣議決定(26・7閣議決定)を行い、これを実施するための法律を制定するものとしました。
 すなわち、「我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、①我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において、②これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに、③必要最小限度の実力の行使をすること」は、従来の政府見解の基本的な論理に基づく自衛のための措置として、憲法上許容されるとし、この武力の行使は、国際法上は集団的自衛権が根拠となる場合があるが、憲法上はあくまでも「自衛の措置」として許容されるものである、としたのです(上記①②③は引用者が挿入。これが「新3要件」といわれるものです。)。
 そして、新安保法制法による改正自衛隊法76条1項及び事態対処法2条4号等に、上記新3要件に基づく「防衛出動」との位置づけにより、この集団的自衛権の行使の内容、手続が定められるに至りました。」
(出典:国家賠償請求訴訟 平成28年(ワ)13525号 2016年4月26日 訴状裁判資料・国家賠償請求訴訟安保法制違憲訴訟の会
目 次 ※印は、上記引用文の記載箇所を示す。
第2 集団的自衛権の行使等を容認する新安保法制法は違憲であり、その制定に係る内閣及び国会の行為は違法であること
1 新安保法制法制定の経緯
2 集団的自衛権の行使が違憲であること
(1) 集団的自衛権の行使容認
(2) 憲法9条の解釈における集団的自衛権行使の禁止
※(3) 閣議決定と新安保法制法による集団的自衛権行使の容認
(4) 集団的自衛権行使容認の違憲性
(5) 立憲主義の否定
(索引:日本国憲法第9条,戦力,戦争,自衛権,自衛権発動の新3要件)

(出典:安保法制違憲訴訟の会
安保法制違憲訴訟の会(2016-)(Collection of propositions of great philosophers)
安保法制違憲訴訟の会(2016-)
安保法制違憲訴訟の会
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自衛のための必要最小限度の実行組織は「戦力」には当たらない。そのためには(1)日本への武力攻撃が発生し、(2)他に排除手段がない場合、(3)日本の領域内または周辺における必要最小限度の実力行使にとどめること。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)

安保法制成立前の政府の憲法解釈

【自衛のための必要最小限度の実行組織は「戦力」には当たらない。そのためには(1)日本への武力攻撃が発生し、(2)他に排除手段がない場合、(3)日本の領域内または周辺における必要最小限度の実力行使にとどめること。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)】
(1)自衛のための戦争を含めて、あらゆる武力行使を放棄して非武装の恒久平和主義を定めたものであるという解釈も存在する。
(2)自衛のための必要最小限度の実力の保持は憲法も許容しているとの解釈が、政府解釈の基本である。
(3)否定されるのは日本が当事者となってする侵略戦争のみであって、集団的自衛権の行使も許されるとする解釈も存在する。
(4)政府の従来解釈
 (a)日本国憲法も、独立国が当然に保有する自衛権を否定するものではない。
 (b)自衛のための必要最小限度の実力組織である自衛隊は憲法9条2項の「戦力」には当たらない。
 (c)自衛権発動の3要件
  (c.1)日本に対する急迫不正の侵害があること、すなわち武力攻撃が発生したこと。
   (c.1.1)従って、自国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利としての集団的自衛権の行使は、許されない。
  (c.2)これを排除するために他の適当な手段がないこと。
  (c.3)必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと。
   (c.3.1)従って、外部からの武力攻撃を日本の領域から排除することを目的とすることから、日本の領域内での行使を中心とし、必要な限度において日本の周辺の公海・公空における対処も許されるが、反面、武力行使の目的をもって自衛隊を他国の領土・領海・領空に派遣する、いわゆる海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されない。

「(2) 憲法9条の解釈における集団的自衛権行使の禁止憲法9条の解釈については、
A:自衛のための戦争を含めてあらゆる武力行使を放棄して非武装の恒久平和主義を定めたものであるという解釈から、
B:自衛のための必要最小限度の実力の保持は憲法も許容しているとの解釈、さらには、
C:否定されるのは日本が当事者となってする侵略戦争のみであって集団的自衛権の行使も許されるとする解釈まで、様々な立場があります。
そして、日本政府は、これまで、日本国憲法も独立国が当然に保有する自衛権を否定するものではなく、自衛のための必要最小限度の実力組織である自衛隊は憲法9条2項の「戦力」には当たらないとする一方で、その自衛権の発動は、①日本に対する急迫不正の侵害があること、すなわち武力攻撃が発生したこと、②これを排除するために他の適当な手段がないこと、③必要最小限度の実力行使にとどまるべきことの3つの要件(自衛権発動の3要件)を満たすことが必要であるとの解釈を定着させてきました。そして、政府は、自国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利としての集団的自衛権の行使は、この自衛権発動の3要件、特に①の要件に反し、憲法上許されないと解してきました。
 また、政府は、③の要件の自衛権による実力行使の「必要最小限度」については、それが外部からの武力攻撃を日本の領域から排除することを目的とすることから、日本の領域内での行使を中心とし、必要な限度において日本の周辺の公海・公空における対処も許されるが、反面、武力行使の目的をもって自衛隊を他国の領土・領海・領空に派遣する、いわゆる海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないとしてきました。
 すなわち、政府は、自衛隊による実力の行使は、日本の領域への侵害の排除に限定して始めて憲法9条の下でも許され、その限りで自衛隊は「戦力」に該当せず、「交戦権」を行使するものでもないと解してきましたが、それ故にまた、他国に対する武力攻撃を実力で阻止するものとしての集団的自衛権の行使は、これを超えるものとして憲法9条に反して許されないとされてきたのです。
 この海外派兵の禁止、集団的自衛権の行使の禁止という解釈は、昭和29年の自衛隊創設以来積み上げられてきた、一貫した政府の憲法9条解釈の基本原則であり、内閣法制局及び歴代の総理大臣の国会答弁や政府答弁書等において繰り返して表明されてきました。それは、憲法9条の確立された政府の解釈として規範性を有するものとなり、これに基づいて憲法9条の平和主義の現実的枠組みが形成され、「平和国家日本」の基本的あり方が形造られてきたのでした。」
(出典:国家賠償請求訴訟 平成28年(ワ)13525号 2016年4月26日 訴状裁判資料・国家賠償請求訴訟安保法制違憲訴訟の会
目 次 ※印は、上記引用文の記載箇所を示す。
第2 集団的自衛権の行使等を容認する新安保法制法は違憲であり、その制定に係る内閣及び国会の行為は違法であること
1 新安保法制法制定の経緯
2 集団的自衛権の行使が違憲であること
(1) 集団的自衛権の行使容認
※(2) 憲法9条の解釈における集団的自衛権行使の禁止
(3) 閣議決定と新安保法制法による集団的自衛権行使の容認
(4) 集団的自衛権行使容認の違憲性
(5) 立憲主義の否定
(索引:日本国憲法第9条,戦力,戦争,自衛権,自衛権発動の3要件)

(出典:安保法制違憲訴訟の会
安保法制違憲訴訟の会(2016-)(Collection of propositions of great philosophers)
安保法制違憲訴訟の会(2016-)
安保法制違憲訴訟の会
検索(安保法制)
検索(憲法改正)
検索(憲法9条)

ある状況が明確に予見できるにもかかわらず、違憲かどうかの判断を回避し、現状の政治的判断を黙認するならば、それは裁判官による不当な一つの政治的選択であり、憲法尊重義務違反でもある。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)

裁判官の憲法尊重義務

【ある状況が明確に予見できるにもかかわらず、違憲かどうかの判断を回避し、現状の政治的判断を黙認するならば、それは裁判官による不当な一つの政治的選択であり、憲法尊重義務違反でもある。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)】
「裁判所には違憲立法審査権があり、裁判官には憲法を尊重し、擁護する義務があります。今回の新安保法制法に基づく自衛隊の出動等により具体的被害が出てからでは遅いのです。そして、外国の軍隊と共同作戦をとるなどの集団的自衛権行使の既成事実ができてしまえば、裁判所において違憲と判断をした場合の政治的影響が極めて大きくなり、その判断も難しくなります。裁判所におかれては、違憲であることが明白な新安保法制法を黙認することなく、既成事実の作り上げに手を貸すことをせず、憲法と平和を守りたいとの国民・市民の願いに応えるともに、内閣総理大臣の求める裁判所としての判断を行い、新安保法制法が違憲であることの判断をされることを強く願っております。」
(出典:国家賠償請求訴訟 平成28年(ワ)13525号 2016年4月26日 訴状裁判資料・国家賠償請求訴訟安保法制違憲訴訟の会
目 次 ※印は、上記引用文の記載箇所を示す。
【法律の題名の略称】
※【原告たちの思い】
(索引:裁判官の憲法尊重義務,憲法判断,政治的選択)

(出典:安保法制違憲訴訟の会
安保法制違憲訴訟の会(2016-)(Collection of propositions of great philosophers)
安保法制違憲訴訟の会(2016-)
安保法制違憲訴訟の会
検索(安保法制)
検索(憲法改正)
検索(憲法9条)

安保法制の違憲訴訟は、国民運動の一環である。裁判に勝つことは必要だが、たとえ負けても、裁判を通じて世論を形成し、最終的には国会で、安保法制を廃止するための一手段であることを忘れないこと。(安保法制違憲訴訟の会)

政治過程と司法

【安保法制の違憲訴訟は、国民運動の一環である。裁判に勝つことは必要だが、たとえ負けても、裁判を通じて世論を形成し、最終的には国会で、安保法制を廃止するための一手段であることを忘れないこと。(安保法制違憲訴訟の会)】
「五 国民運動の一環であること

さらに私たちは、この裁判の目的が、単に違憲判決を得ることに尽きるものではないことも明確にしておきたいと思います。すなわち、裁判を通じて社会にインパクトを与えながら世論を形成し、政治過程を通じて違憲状態を矯正することにも重きを置きたいと考えています。

このような裁判の政策形成機能は、具体的には嫌煙権訴訟(東京地裁昭和62年3月27日)が、原告敗訴にもかかわらず禁煙車両の増設をもたらした例、砂川裁判闘争において、一審の伊達判決が日米政府を動揺させ、ひいては、67年の美濃部都政誕生を潮目に、69年、米軍の拡張計画断念に至った例など、枚挙に暇まがありません。「裁判で勝つ」ことのみならず、「裁判を通じて勝つ」ことも車の両輪として重視しています。

たとえ裁判所が違憲判断をしたとしても、違憲判決を国会が無視して放置すれば、もはや法律家はどうすることもできません。尊属殺違憲条項ですら法改正まで22年間も放置されました。この安保法制も最終的には国会で廃止するしかありません。もともと裁判所の違憲判断はそのための一手段にすぎないのです。ですから今回の違憲訴訟も国会での廃止に向けた運動の一環であることは明らかであると考えています。」
(出典:私たちが安保法制の違憲訴訟を提起する意義について(4)安保法制違憲訴訟の会
(索引:安保法制,国民運動,司法,世論)

(出典:安保法制違憲訴訟の会
安保法制違憲訴訟の会(2016-)(Collection of propositions of great philosophers)
安保法制違憲訴訟の会(2016-)
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安保法制は、政治過程を通じた廃止の追求とともに、司法ルートからも訴訟提起する必要がある。基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする弁護士は、現状を座視することは許されない。(安保法制違憲訴訟の会)

弁護士の責務

【安保法制は、政治過程を通じた廃止の追求とともに、司法ルートからも訴訟提起する必要がある。基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする弁護士は、現状を座視することは許されない。(安保法制違憲訴訟の会)】
「三 法律家としての弁護士の職責
次に私たちは、訴訟提起をせずに現状を座視することは、法律家としての弁護士の職責を全うすることにならず、むしろ安保法制の現状追認と評価されてしまうことを強く危惧しました。弁護士の使命は、弁護士法一条一項が示すように、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することにあります。」
「市民とともに声を上げ選挙など政治過程を通じて安保法制を廃止に追い込むことはぜひとも追求していかねばなりません。しかし、法律家にしかできないこともあるはずです。司法のルートからこの違憲立法を廃止する訴訟を推し進めることは、まさに法律家にしかできないことであり、法律家として行動しなければならないことと考えています。」
(出典:私たちが安保法制の違憲訴訟を提起する意義について(3)安保法制違憲訴訟の会
(索引:安保法制,弁護士,政治と司法)

(出典:安保法制違憲訴訟の会
安保法制違憲訴訟の会(2016-)(Collection of propositions of great philosophers)
安保法制違憲訴訟の会(2016-)
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