2019年11月2日土曜日

自衛のための必要最小限度の実行組織は「戦力」には当たらない。(1)日本への武力攻撃だけでなく、(1')日本との密接関係国に対する攻撃であっても、(1)と同じ危険がある場合には、(2)他に排除手段がなく、(3')必要最小限度の実力行使であれば自衛措置である。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)

安保法制を支持する政府の新解釈

【自衛のための必要最小限度の実行組織は「戦力」には当たらない。(1)日本への武力攻撃だけでなく、(1')日本との密接関係国に対する攻撃であっても、(1)と同じ危険がある場合には、(2)他に排除手段がなく、(3')必要最小限度の実力行使であれば自衛措置である。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)】
(4)政府の従来解釈
 (a)日本国憲法も、独立国が当然に保有する自衛権を否定するものではない。
 (b)自衛のための必要最小限度の実力組織である自衛隊は憲法9条2項の「戦力」には当たらない。
 (c)自衛権発動の3要件
  (c.1)日本に対する急迫不正の侵害があること、すなわち武力攻撃が発生したこと
   (c.1.1)従って、自国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利としての集団的自衛権の行使は、許されない。
  (c.2)これを排除するために他の適当な手段がないこと
  (c.3)必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと
   (c.3.1)従って、外部からの武力攻撃を日本の領域から排除することを目的とすることから、日本の領域内での行使を中心とし、必要な限度において日本の周辺の公海・公空における対処も許されるが、反面、武力行使の目的をもって自衛隊を他国の領土・領海・領空に派遣する、いわゆる海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されない。

(5)政府の新解釈
 (a)日本国憲法も、独立国が当然に保有する自衛権を否定するものではない。
 (b)自衛のための必要最小限度の実力組織である自衛隊は憲法9条2項の「戦力」には当たらない。
 (c)自衛権発動の新3要件
  (c.1)日本に対する急迫不正の侵害があること、すなわち武力攻撃が発生したこと。
   (c.1.1)従って、自国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利としての集団的自衛権の行使は、許されない。
  (c.1')しかし、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合
   (c.1'.1)この場合は、集団的自衛権の行使ではなく、憲法上許容される「自衛の措置」である。
  (c.2)これを排除するために他の適当な手段がないこと
  (c.3)必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと

「(3) 閣議決定と新安保法制法による集団的自衛権行使の容認
 ところが、政府は、平成26年7月1日、上記のこれまでの確立した憲法9条の解釈を覆し、集団的自衛権の行使を容認することなどを内容とする閣議決定(26・7閣議決定)を行い、これを実施するための法律を制定するものとしました。
 すなわち、「我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、①我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において、②これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに、③必要最小限度の実力の行使をすること」は、従来の政府見解の基本的な論理に基づく自衛のための措置として、憲法上許容されるとし、この武力の行使は、国際法上は集団的自衛権が根拠となる場合があるが、憲法上はあくまでも「自衛の措置」として許容されるものである、としたのです(上記①②③は引用者が挿入。これが「新3要件」といわれるものです。)。
 そして、新安保法制法による改正自衛隊法76条1項及び事態対処法2条4号等に、上記新3要件に基づく「防衛出動」との位置づけにより、この集団的自衛権の行使の内容、手続が定められるに至りました。」
(出典:国家賠償請求訴訟 平成28年(ワ)13525号 2016年4月26日 訴状裁判資料・国家賠償請求訴訟安保法制違憲訴訟の会
目 次 ※印は、上記引用文の記載箇所を示す。
第2 集団的自衛権の行使等を容認する新安保法制法は違憲であり、その制定に係る内閣及び国会の行為は違法であること
1 新安保法制法制定の経緯
2 集団的自衛権の行使が違憲であること
(1) 集団的自衛権の行使容認
(2) 憲法9条の解釈における集団的自衛権行使の禁止
※(3) 閣議決定と新安保法制法による集団的自衛権行使の容認
(4) 集団的自衛権行使容認の違憲性
(5) 立憲主義の否定
(索引:日本国憲法第9条,戦力,戦争,自衛権,自衛権発動の新3要件)

(出典:安保法制違憲訴訟の会
安保法制違憲訴訟の会(2016-)(Collection of propositions of great philosophers)
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