2019年3月30日土曜日

(a)歳費(約129万円/月),(b)期末手当(約540万円/年),(c)文書・交通費(100万円/月),(d)立法調査費(65万円/月),(e)公設秘書2人と政策秘書1人分の給料(約2000万円/年),(f)議員宿舎,(g)帰省費用(新幹線無料パスまたは航空券4往復/月),(h)海外視察(約200万円)など。(池上彰(1950-))

国会議員1人当たり費用(2018年現在)

【(a)歳費(約129万円/月),(b)期末手当(約540万円/年),(c)文書・交通費(100万円/月),(d)立法調査費(65万円/月),(e)公設秘書2人と政策秘書1人分の給料(約2000万円/年),(f)議員宿舎,(g)帰省費用(新幹線無料パスまたは航空券4往復/月),(h)海外視察(約200万円)など。(池上彰(1950-))】
 「2018年現在、国会議員に支払われる「歳費」(給与)は月額129万4000円で、これにボーナスにあたる期末手当約540万円も加わるため、年間で約2100万円となります。これ以外に、文書・交通費として、毎月100万円ずつ支払われます。年間で1200万円です。これには税金がかからず、まるまる受け取ることができます。
 また、議員個人に対してではありませんが、議員が所属している党に、議員1人あたり月65万円の立法調査費が支払われます。これは、法案を作成したり、そのために調査をしたりするための費用です。
 さらに、議員1人につき公設秘書2人と政策秘書1人分の給料が支払われます。これは秘書の経験によって異なるのですが、合計すると2000万円程度は支払われます。これだけで、ざっと6000万円が税金から支払われていますね。
 これ以外にも、議員会館や議員宿舎の維持管理費がかかります。議員宿舎は地方選出の議員が東京で仕事をするために用意されたものです。緊急時にも国会に駆けつけられるように都心の一等地にあるのは当然といえます。ただし、東京に自宅を持つ地方選出の議員もいます。そうした人たちにまで議員宿舎が割りあてられていることに対しては、国民のあいだに批判的な声も少なくありません。
 ほかにも、はっきりとは見えないところで議員に税金が使われています。たとえば、国会と議員宿舎を結ぶ議員専用の無料バス。衆参両院で計200台の黒塗りの専用車も用意されています。議員が地元と東京を往復できるように新幹線グリーン車が乗り放題の無料パスか、月4往復分の航空券ももらえます。新幹線が走っていなくても、毎週無料で飛行機に乗って地元に帰ることができるわけですね。
 まだまだあります。国会議員の海外視察にも公費が出ます。年間一人あたり約200万円までなら議員の負担はないのです。飛行機はファーストクラスが使えます。
 細かい話をすれば、もっとあります。議員会館の各部屋には内線電話1回線と、外線電話2回線があります。東京都内だったら無料でかけ放題。外線電話の基本料金も公費です。
 もちろん、議員は国民の代表。必要なお金を税金で負担するのは当然のこと。たとえば、鉄道の無料パスなどがあることで、お金がない地方選出の議員でも国政に関わることができるわけです。
 でも、そうしたお金がはたして無駄づかいされていないのか、チェックしていく必要がありますね。」
(池上彰(1950-),『イラスト図解 社会人として必要な経済と政治のことが5時間でざっと学べる』PART2 政治,第1章 「国会議員」はどんなことをしている?,01 国会議員の給料はどれくらい?,pp.182-185,KADOKAWA(2018))
(索引:国会議員1人当たり費用(2018年現在))

イラスト図解 社会人として必要な経済と政治のことが5時間でざっと学べる


(出典:wikipedia
池上彰(1950-)の命題集(Collection of propositions of great philosophers)  「あなたが同じ立場だったらどうするか?
 もし、あなた方があのときにそのチッソの水俣工場で働いている社員だったら、どうしますか、ということです。つまり熊本県でも有数の企業です。水俣にとってはいちばん大手の企業です。水俣で生まれ育って、学校を出て、チッソに就職するというのは地元の人にとってはいちばんのエリートコースですよね。それこそ、みなさんがもしチッソに就職が決まったと報告をすれば、家族はもちろん親戚もみんな、「いやあいいところに就職したね、よかったね」と祝福してくれるはずです。もちろん、プラスチックの可塑剤という、日本という国が豊かになるときに必要なものをつくっているわけですから、みんな誇りを持って働いていたはずです。ところがやがて、そこから出てくる廃水が原因で、地元の住民に健康被害が出る、という話が聞こえるようになってきた。さあ、みなさんは果たしてどんな行動をとりますか、ということです。当時のチッソの社員たち。たとえば病院の医師が、原因究明のために猫を使って実験をしていた。でも会社から、そんな実験はやめろ、と言われたからやめてしまった。あるいは多くの社員は気がついていたからこそ、排水口の場所を変えたわけです。それによってさらに被害を広めてしまった。労働組合が分裂をして、そこで初めて、企業の仕打ちに気がついた社員たちが声を上げるようになった。さあ、もしそういうことになったら、みなさんはどういう態度をとりますか。
 いまの日本は廃水の基準に厳しいですから、何かあればすぐわかるでしょう。でもいま、実は、まったく同じようなことが中国のあちこちで起きています。開発途上国で同じようなことが起きているのですね。みなさんが就職をしました。そこの会社が実は、東南アジアあるいはアフリカに、現地の工場を持っている。現地の工場に、要員として派遣されました。そこで働いていた。そうしたらその周辺で、健康被害が出ている住民たちがいることに気がついた。あなたはどういう態度をとるのか。まさにそれが問われている、ということなのですね。決して他人事ではないのだということがわかっていただけるのではないでしょうか。」
(池上彰(1950-),『「経済学」講義 歴史編』lecture5 高度経済成長の歪み,pp.228-229,KADOKAWA(2015))
(索引:)

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