2022年6月29日水曜日

時間的な構造において予測可能でなかったり、未来が一つに決定されていなくても、過去から未来までの全存在が決定されていると思われるのは、我々自身が時間的な存在であることによる認識上の限界である。なぜなら、決定性の概念が時間の存在を前提にしているからである。(ボエティウス(480-524)『哲学の慰め』)

決定性は、時間的な概念である

時間的な構造において予測可能でなかったり、未来が一つに決定されていなくても、過去から未来までの全存在が決定されていると思われるのは、我々自身が時間的な存在であることによる認識上の限界である。なぜなら、決定性の概念が時間の存在を前提にしているからである。(ボエティウス(480-524)『哲学の慰め』)


 (a)決定性は時間的な概念である
  未来が決定されているかどうかという概念自体が、時間の存在を前提にしている。一つの存在として存在している全存在は、時間を超えており、決定されているかどうかを問うことは無意味である。(持続的な概念と永遠的な概念)
 (b)認識は、我々の限界に服する
  我々自身が時間的な存在なので、時間の存在を前提にした決定性の概念は理解することができる。しかし、時間を超えた概念はたとえ理解できなくとも、それは我々の存在の限界なのであって、全宇宙の存在の真の姿は同じ概念で理解可能とは限らない。


(ボエティウス(480-524)『哲学の慰め』,第5部,6,pp.229-235,岩波文庫,1950,畠中尚志(訳),https://ndlonline.ndl.go.jp/#!/detail/R300000001-I000000871187-00 )


















































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