2021年11月26日金曜日

生命の本質を理解するためには、既知の物理法則と矛盾しない、状態依存性とトップダウンの因果関係を含む情報の理論の研究が必要である。また、どのような初期条件のもとで、そのような物理系が出現するのか、その後どのように展開するのかも。(ポール・デイヴィス(1946-))

 状態依存性とトップダウンの因果関係

生命の本質を理解するためには、既知の物理法則と矛盾しない、状態依存性とトップダウンの因果関係を含む情報の理論の研究が必要である。また、どのような初期条件のもとで、そのような物理系が出現するのか、その後どのように展開するのかも。(ポール・デイヴィス(1946-))


(a)状態依存性とトップダウンの因果関係を含む情報の理論が存在するかどうか。
(b)もし存在するとしたら、 これと既知の物理法則との折り合いはどのように付ければいいのか。
 (c)それらの新たな法則は、形式的 に決定論的なのか、それとも量子力学のように偶然の要素を含んでいるのか。
(d) そもそも量子力学が 関係しているのか。
(e)そもそも、生命の情報パターンはどのようにして出現したの か。この宇宙では、新しいものはすべて、法則と初期条件が組み合わさることで出現する。 最初に生物の情報が出現する上で必要だった条件も分かっていない。
(f)出現したのちに、複雑系で作用する 情報の法則などの組織化原理に対して、自然選択がどれほど強い役割を果たしたのかも分かっていな い。


「本書ではここまで、急発展する新たな科学分野について紹介してきた。執筆中もほぼ毎日のように、情報の物理と生命のストーリーにおけるその役割に直接影響をおよぼすような論文 や、新たな実験結果の発表があった。この分野は生まれたばかりで、数多くの疑問がいまだ解決していない。 新たな物理法則、つまり、状態依存性とトップダウンの因果関係を含む情報の理論がもし存在するとしたら、 これと既知の物理法則との折り合いはどのように付ければいいのか? それらの新たな法則は形式的 に決定論的なのか、それとも量子力学のように偶然の要素を含んでいるのか? そもそも量子力学が 関係しているのか? 実際に生命にとって欠かせない役割を果たしているのか? 計り知れないこれ の疑問に加えて、起源の問題もある。そもそも、生命の情報パターンはどのようにして出現したの か? この宇宙では、新しいものはすべて、法則と初期条件が組み合わさることで出現する。 最初に生物の情報が出現する上で必要だった条件も分かっていないし、出現したのちに、複雑系で作用する 情報の法則などの組織化原理に対して、自然選択がどれほど強い役割を果たしたのかも分かっていな い。これらの疑問をすべて解明しなければならない。」

(ポール・デイヴィス(1946-),『機械の中の悪魔』(日本語書籍名『生物の中の悪魔』),エピローグ,pp.285-286,SBクリエイティブ,2019,水谷淳)

生物の中の悪魔 「情報」で生命の謎を解く [ ポール・デイヴィス ]






人気の記事(週間)

人気の記事(月間)

人気の記事(年間)

人気の記事(全期間)

ランキング

ランキング


哲学・思想ランキング



FC2