自ら創造したもの
《もの》を作りまた創造する人は、単なる《もの》の観察者にはできぬような具合 に、その《もの》を理解し得る。人間はある意味で人間自身の歴史を作るのだから、人間は自分たち の歴史は理解できる。 (ジャンバッティスタ・ヴィーコ(1668-1744))
「(2)《もの》を作りまた創造する人は、単なる《もの》の観察者にはできぬような具合 に、その《もの》を理解し得る。人間はある意味で人間自身の歴史を作る(ただし、この種の 作りかたがどのようなものかは完全には明らかにされていないが)のだから、人間は自分たち の歴史は理解できるが、外部の自然の世界は、人間が作ったものではなく、単に観察し解釈し ているにすぎぬものである以上、人間自身の経験や活動を解し得るようには、人間には理解し得ぬものである。ただ神のみが、自然を作られたがゆえに、自然の世界を完全に、一から十ま で、理解し得るのである。」
(アイザイア・バーリン(1909-1997),『ヴィーコとヘルダー』,序説,p.13,みすず書房 (1981),小池銈(訳))
アイザイア・バーリン (1909-1997) |