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2020年5月9日土曜日

経済システムの有用性テスト:(1)協働のテスト:構成員たちを積極的に生産過程に参加させ,消費も全体制約に一致させるか(2)配分のテスト:様々な資源と人とを,必要な消費財,投資,産業,地域に最適配分できるか。(ジャコモ・コルネオ(1963-))

経済システムの有用性の判断

【経済システムの有用性テスト:(1)協働のテスト:構成員たちを積極的に生産過程に参加させ,消費も全体制約に一致させるか(2)配分のテスト:様々な資源と人とを,必要な消費財,投資,産業,地域に最適配分できるか。(ジャコモ・コルネオ(1963-))】

経済システムの有用性を判断するための2つのテスト
(1)協働のテスト
 (a)国家の構成員たちは、彼らの能力に応じて、生産過程に積極的に参加しようとするか。
 (b)社会は生産する以上には消費できない故に、彼らの消費は、経済全体の制約に一致するか。
(2)配分のテスト
 (a)人々の才能と労働力や天然資源が、可能な限り多くのニーズを満たすように用いられているのか、それとも、社会は資源を浪費しているのか。
 (b)例えば、異なる消費財の生産、消費と投資の代替可能性、産業Aと産業Bの間の代替可能性、地域Xと地域Yの間の代替可能性に対して、国民経済全体が持つ資源が最適に配分されるか。

 「こうして我々は、資本主義に代わりうる経済システムを判断するのに役立つ二重の基準にたどり着く。代替的な経済システムが経済的に有用であるためには、二つのテストに合格しなければならないのである。協働のテストと配分のテストである。
 第一のテストの問いは次の通りである。資本主義に代わるシステムによって、国家の構成員たちの間には十分に経済的な協働が生まれうるのか? ここで何よりも問題となるのは、彼らの能力に応じて生産過程に積極的に参加しようとする協力的な姿勢、そして自らの消費を経済全体の制約に一致させようとする個々人の心構えである。これは、社会は生産する以上には消費できないという理由に基づいている。このテストで我々は、個人的なインセンティブを解析し、また考察対象である経済システムが、経済的に意味のある行動を促すかどうかを把握しなければならない。
 第二のテストは次のような問いである。観察された代替的な経済システムは、相対的に効率的な資源配分を行うことができるのか? ここで問題となるのは、もし代替となる投入の可能性――例えば、異なる消費財の生産、消費と投資の代替可能性、産業Aと産業Bの間の代替可能性、地域Xと地域Yの間の代替可能性――がある場合には、人々の才能と労働力、そして天然資源といった、国民経済全体が持つ資源を利用する方法である。この問いはすなわち、資源が可能な限り多くのニーズを満たすように用いられているのか、それとも社会は資源を浪費しているのか、ということを意味している。
 真剣に捉えられるべき資本主義の代替案は、協働の問題と同様に配分の問題も解決しなければならない。この代替案は、個人が経済的に理性的な行動をとるよう動機づけなければならない。そして、手元にある資源を空間的にも時間的にも効率的に利用しなければならない。」
(ジャコモ・コルネオ(1963-),『よりよき世界へ』,第3章 ユートピアと財産共同性,pp.42-43,岩波書店(2018),水野忠尚,隠岐-須賀麻衣,隠岐理貴,須賀晃一(訳))
(索引:)

よりよき世界へ――資本主義に代わりうる経済システムをめぐる旅


(出典:University of Nottingham
ジャコモ・コルネオ(1963-)の命題集(Propositions of great philosophers)  「私はここで福祉国家の後退について別の解釈を提言したい。その解釈は、資本主義(市場システムと生産手段の私有)は、福祉国家を異物のように破損する傾向があるという仮説に基づいている。福祉国家の発端は、産業労働者の蜂起のような一度限りの歴史的な出来事であった。」(中略)「この解釈は、共同体がこのメカニズムに何も対抗しないならば、福祉国家の摩耗が進行することを暗示している。資本主義は最終的には友好的な仮面を取り去り、本当の顔を表すだろう。資本主義は通常のモードに戻る。つまり、大抵の人間は運命の襲撃と市場の変転に無防備にさらされており、経済的にも社会的にも、不平等は限界知らずに拡大する、というシステムに戻るのである。
 この立場に立つと、福祉国家は、資本主義における安定した成果ではなく、むしろ政治的な協議の舞台で繰り返し勝ち取られなければならないような、構造的なメカニズムである点に注意を向けることができる。そのメカニズムを発見するためには、福祉国家が、政治的意思決定の結果であることを具体的に認識しなければならない。」
(ジャコモ・コルネオ(1963-),『よりよき世界へ』,第11章 福祉国家を備えた市場経済,pp.292-293,岩波書店(2018),水野忠尚,隠岐-須賀麻衣,隠岐理貴,須賀晃一(訳))

ジャコモ・コルネオ(1963-)
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