2018年9月23日日曜日

種類の異なる感覚の間の相互作用(クロスモーダルな相互作用)の一例として、特定の形(視覚情報)と特定の名前(聴覚情報)が結び付けられる傾向のあることが、ブーバ・キキ効果として知られている。(ヴィラヤヌル・S・ラマチャンドラン(1951-))

ブーバ・キキ効果

【種類の異なる感覚の間の相互作用(クロスモーダルな相互作用)の一例として、特定の形(視覚情報)と特定の名前(聴覚情報)が結び付けられる傾向のあることが、ブーバ・キキ効果として知られている。(ヴィラヤヌル・S・ラマチャンドラン(1951-))】

種類の異なる感覚の間の相互作用(クロスモーダルの相互作用)の一例。
実験
 (a)こぼれたペンキのように見える図形
 (b)ギザギザに割れたガラスの破片のように見える図形
 (a)と(b)のどちらが、「ブーバ」で、どちらが「キキ」か?
結果
 (a)が「ブーバ」で(b)が「キキ」と答える人が多い。
 「最近、大きな講義室でこれを試したところ、98パーセントの学生はそちらを選んだ」。
 「書記体系がまったく異なるインドや中国の英語を話さない人たちにおこなっても、結果はまったく同じとなる」。

 「先に、解剖学的構造にもとづいて検討したように、脳領域間のクロス活性化の促進につながる遺伝子は、種としての私たち人間を創造的にすることによって、きわめて有利なはたらきをしてきた可能性がある。そうした遺伝子のまれな変異型、もしくは一定の組み合わせが、共感覚の出現という良性の副次的影響を引き起こすのかもしれない。ここで、良性という点を取り急ぎ強調しておきたい。共感覚は鎌状赤血球症や精神疾患のように有害ではないし、また実際に、ほとんどの共感覚者は、彼らの能力を楽しんでいる様子で、たとえ「治す」ことができるとしても、それを選びはしないだろう。ここでしているのは、全般的なメカニズムが同じかもしれないという話だ。この考えが重要なのは、共感覚とメタファーは、同義ではないが、奥深いつながりを共有しているということを明らかにするからであり、そのつながりが、私たち人間の驚くべき独特さについて深い洞察をもたらしてくれるかもしれないからである。
 したがって共感覚は、創造性のサインもしくは指標となる可能性のある、やや異常なクロスモーダルの相互作用の一例と考えるのが最良であろう(モダリティとは嗅覚、触覚、聴覚などの感覚能力のことで、「クロスモーダル」は、異種の感覚情報の共有――たとえば、視覚と聴覚が一緒になって、いま観ている外国映画は吹き替えに難があるとあなたに告げるときのような情報の共有――を指す)。しかし、科学ではよくあることだが、私はそこから、非共感覚者の私たちでも、頭のなかで進行していることのかなりの部分は、まったく正常な、無原則的ではないクロスモーダルの相互作用に依拠しているという事実に考えがおよんだ。したがって私たちはみな、ある程度ではあるが「共感覚者」だという考えには一応の道理がある。たとえば、図3-7に示した二つの図形を見てほしい。左側の図はこぼれたペンキのように見え、右側の図はギザギザに割れたガラスの破片のように見える。さて、どちらが「ブーバ」でどちらが「キキ」かを当てなくてはならないとしたら、あなたはどう答えるだろうか? 正解はないが、たぶんあなたは、こぼれたペンキが「ブーバ」、ガラスが「キキ」という選択をするだろう。最近、大きな講義室でこれを試したところ、98パーセントの学生はそちらを選んだ。それは、丸みを帯びたほうの図は物理的な形が(boubaに使われている)Bという文字に似ていて、ギザギザのほうの形は(kikiに使われている)Kに似ていることと何か関係があるのではないかとあなたは思うかもしれない。だが、この実験を、書記体系がまったく異なるインドや中国の英語を話さない人たちにおこなっても、結果はまったく同じとなる。
 なぜそうなるのだろうか? アメーバに似た図形の輪郭のゆるやかなカーブやうねりが、脳の聴覚中枢に表象されるブーバという音のゆるやかなうねりや、「boo-baa」と発音するときの唇のなめらかな丸みや弛緩のぐあいとよく似ているというのがその理由である。一方、「kee-kee」という音の鋭い波形や、口蓋にあたる舌の鋭い屈曲は、ギザギザの視覚的形状とよく似ている。この話は第6章でまたとりあげて、これが、メタファー、言語、抽象的思考の進化といった、私たちの心のもっとも謎めいた側面の多くを理解するための鍵を握っているかもしれないという可能性を検討する。」
(出典:wikipedia
ブーバ・キキ効果
(ヴィラヤヌル・S・ラマチャンドラン(1951-),『物語を語る脳』,第3章 うるさい色とホットな娘――共感覚,(日本語名『脳のなかの天使』),角川書店(2013),pp.159-160,山下篤子(訳))
(索引:ブーバ・キキ効果)

脳のなかの天使



(出典:wikipedia
ヴィラヤヌル・S・ラマチャンドラン(1951-)の命題集(Collection of propositions of great philosophers)  「バナナに手をのばすことならどんな類人猿にもできるが、星に手をのばすことができるのは人間だけだ。類人猿は森のなかで生き、競いあい、繁殖し、死ぬ――それで終わりだ。人間は文字を書き、研究し、創造し、探究する。遺伝子を接合し、原子を分裂させ、ロケットを打ち上げる。空を仰いでビッグバンの中心を見つめ、円周率の数字を深く掘り下げる。なかでも並はずれているのは、おそらく、その目を内側に向けて、ほかに類のない驚異的なみずからの脳のパズルをつなぎあわせ、その謎を解明しようとすることだ。まったく頭がくらくらする。いったいどうして、手のひらにのるくらいの大きさしかない、重さ3ポンドのゼリーのような物体が、天使を想像し、無限の意味を熟考し、宇宙におけるみずからの位置を問うことまでできるのだろうか? とりわけ畏怖の念を誘うのは、その脳がどれもみな(あなたの脳もふくめて)、何十億年も前にはるか遠くにあった無数の星の中心部でつくりだされた原子からできているという事実だ。何光年という距離を何十億年も漂ったそれらの粒子が、重力と偶然によっていまここに集まり、複雑な集合体――あなたの脳――を形成している。その脳は、それを誕生させた星々について思いを巡らせることができるだけでなく、みずからが考える能力について考え、不思議さに驚嘆する自らの能力に驚嘆することもできる。人間の登場とともに、宇宙はにわかに、それ自身を意識するようになったと言われている。これはまさに最大の謎である。」
(ヴィラヤヌル・S・ラマチャンドラン(1951-),『物語を語る脳』,はじめに――ただの類人猿ではない,(日本語名『脳のなかの天使』),角川書店(2013),pp.23-23,山下篤子(訳))

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