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2019年11月2日土曜日

外国の軍隊に対する物品及び役務の提供は、それ自体は武力行使には当たらないとしても、他国の武力行使と一体になることによって、憲法が禁止する「武力の行使」と評価される。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)

後方支援活動等の武力行使性

【外国の軍隊に対する物品及び役務の提供は、それ自体は武力行使には当たらないとしても、他国の武力行使と一体になることによって、憲法が禁止する「武力の行使」と評価される。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)】
「(2) 後方支援活動等の武力行使性
 ここで後方支援活動等とされるものは、外国の軍隊に対する物品及び役務の提供であって、一般に「兵站」と呼ばれているものです。自衛隊の後方支援活動等において問題となるのは、これらが憲法の禁ずる「武力の行使」に当たらないかという点です。すなわち、直接戦闘行為に加わらなくても、また、自衛隊の活動自体が武力行使に当たらないとしても、他国の武力行使と一体になることによって、結局、憲法9条が禁止する「武力の行使」と評価されるのではないかという問題です。」
(出典:国家賠償請求訴訟 平成28年(ワ)13525号 2016年4月26日 訴状裁判資料・国家賠償請求訴訟安保法制違憲訴訟の会
目 次 ※印は、上記引用文の記載箇所を示す。
第2 集団的自衛権の行使等を容認する新安保法制法は違憲であり、その制定に係る内閣及び国会の行為は違法であること
3 後方支援活動等の実施はいずれも違憲であること
(1) 後方支援活動等の軍事色強化
※(2) 後方支援活動等の武力行使性
(3) 後方支援活動等の他国軍隊の武力の行使と一体化
(4) 後方支援活動等の違憲性
(索引:日本国憲法第9条,安保法制,後方支援活動等の武力行使性)

(出典:安保法制違憲訴訟の会
安保法制違憲訴訟の会(2016-)(Collection of propositions of great philosophers)
安保法制違憲訴訟の会(2016-)
安保法制違憲訴訟の会
検索(安保法制)
検索(憲法改正)
検索(憲法9条)

(1)日本への武力攻撃だけでなく、(1')日本との密接関係国への攻撃に対する自衛措置があり得ると仮に想定しても、(1')の危険の評価、危険に対する多様な対処、実力行使の妥当性の判断は、極めて曖昧で困難である。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)

実力行使の妥当性判断の困難さ

【(1)日本への武力攻撃だけでなく、(1')日本との密接関係国への攻撃に対する自衛措置があり得ると仮に想定しても、(1')の危険の評価、危険に対する多様な対処、実力行使の妥当性の判断は、極めて曖昧で困難である。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)】

「第2要件(他に適当な手段がないこと)及び第3要件(必要最小限度の実力の行使)は、表現はこれまでの自衛権発動の3要件と類似していますが、前提となる第1要件があいまいになれば、第2要件、第3要件も必然的にあいまいなものになります。例えば、国会審議を含めて政府から繰り返し強調されたホルムズ海峡に敷設された機雷掃海についてみれば、第1要件のいう「我が国の存立が脅かされ、国民の生命等が根底から脅かされる」のは、経済的影響でも足りるのか、日本が有する半年分の石油の備蓄が何か月分減少したら該当するのか、そのときの国際情勢や他国の動きをどう評価・予測するのかなどの判断のしかたに左右され、第2要件の「他の適当な手段」として、これらに関する外交交渉による打開の可能性、他の輸入ルートや代替エネルギーの確保の可能性などの判断も客観的基準は考えにくく、さらに第3要件の「必要最小限度」も第1要件・第2要件の判断に左右されて、派遣する自衛隊の規模、派遣期間、他国との活動分担などの限度にも客観的基準を見出すことは困難です。
 以上に加えて、平成25年12月に制定された特定秘密保護法により、防衛、外交、スパイ、テロリズム等の安全保障に関する情報が、政府の判断によって国民に対して秘匿される場合、「外国に対する武力攻撃」の有無・内容、その日本及び国民への影響、その切迫性等を判断する偏りのない十分な資料を得ることすらできず、政府の「総合的判断」の是非をチェックすることができないのです。」
(出典:国家賠償請求訴訟 平成28年(ワ)13525号 2016年4月26日 訴状裁判資料・国家賠償請求訴訟安保法制違憲訴訟の会
目 次 ※印は、上記引用文の記載箇所を示す。
第2 集団的自衛権の行使等を容認する新安保法制法は違憲であり、その制定に係る内閣及び国会の行為は違法であること
1 新安保法制法制定の経緯
2 集団的自衛権の行使が違憲であること
(1) 集団的自衛権の行使容認
(2) 憲法9条の解釈における集団的自衛権行使の禁止
(3) 閣議決定と新安保法制法による集団的自衛権行使の容認
※(4) 集団的自衛権行使容認の違憲性
(5) 立憲主義の否定
(索引:日本国憲法第9条,安保法制,実力行使の妥当性判断の困難さ)

(出典:安保法制違憲訴訟の会
安保法制違憲訴訟の会(2016-)(Collection of propositions of great philosophers)
安保法制違憲訴訟の会(2016-)
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検索(憲法9条)

(1)日本への武力攻撃だけでなく、(1')日本との密接関係国への攻撃に対する自衛措置があり得ると仮に想定しても、(1)は事実として明確であるのに対し、(1')は評価の問題であり、客観的限定性に欠ける点で、本質的に異なる事態である。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)

法の客観的限定性の欠如

(1)日本への武力攻撃だけでなく、(1')日本との密接関係国への攻撃に対する自衛措置があり得ると仮に想定しても、(1)は事実として明確であるのに対し、(1')は評価の問題であり、客観的限定性に欠ける点で、本質的に異なる事態である。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)】
「そして第1要件についていえば、「我が国に対する武力攻撃」があったかなかったかは事実として明確であるのに対し、他国に対する武力攻撃が「我が国の存立を脅かす」かどうか、「国民の生命、自由及び幸福追求の権利を覆す」かどうかは、評価の問題であるから、極めてあいまいであり、客観的限定性を欠きます。「密接な関係」「根底から覆す」「明白な危険」なども全て評価概念であり、その該当性は判断する者の評価によって左右されます。そして法案審議における政府の国会答弁によれば、この事態に該当するかどうかは、結局のところ、政府が「総合的に判断」するというのです。」
(出典:国家賠償請求訴訟 平成28年(ワ)13525号 2016年4月26日 訴状裁判資料・国家賠償請求訴訟安保法制違憲訴訟の会
目 次 ※印は、上記引用文の記載箇所を示す。
第2 集団的自衛権の行使等を容認する新安保法制法は違憲であり、その制定に係る内閣及び国会の行為は違法であること
1 新安保法制法制定の経緯
2 集団的自衛権の行使が違憲であること
(1) 集団的自衛権の行使容認
(2) 憲法9条の解釈における集団的自衛権行使の禁止
(3) 閣議決定と新安保法制法による集団的自衛権行使の容認
※(4) 集団的自衛権行使容認の違憲性
(5) 立憲主義の否定
(索引:日本国憲法第9条,安保法制,法の客観的限定性)

(出典:安保法制違憲訴訟の会
安保法制違憲訴訟の会(2016-)(Collection of propositions of great philosophers)
安保法制違憲訴訟の会(2016-)
安保法制違憲訴訟の会
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(1')日本との密接関係国への攻撃に対する、自衛措置というものが仮にあり得ると想定しても、日本の領域、周辺への制限がなくなることによって、必要最小限の実力行使の範囲は確実に広がる。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)

自衛隊の活動範囲の拡大

【(1')日本との密接関係国への攻撃に対する、自衛措置というものが仮にあり得ると想定しても、日本の領域、周辺への制限がなくなることによって、必要最小限の実力行使の範囲は確実に広がる。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)】

(c.3.1')追加。

(5)政府の新解釈
 (a)日本国憲法も、独立国が当然に保有する自衛権を否定するものではない。
 (b)自衛のための必要最小限度の実力組織である自衛隊は憲法9条2項の「戦力」には当たらない。
 (c)自衛権発動の新3要件
  (c.1)日本に対する急迫不正の侵害があること、すなわち武力攻撃が発生したこと
   (c.1.1)従って、自国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利としての集団的自衛権の行使は、許されない。
  (c.1')しかし、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合
   (c.1'.1)この場合は、集団的自衛権の行使ではなく、憲法上許容される「自衛の措置」である。
  (c.2)これを排除するために他の適当な手段がないこと
  (c.3)必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと
   (c.3.1')日本に対する武力攻撃が発生していなくとも、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃に対する対処が含まれることによって、自国の領域や、必要な限度において日本の周辺の公海・公空における対処への制限がなくなり、他国の領土・領海・領空に派遣する、いわゆる海外派兵が必要となる。

「まず、「他国に対する武力攻撃」に対して日本が武力をもって反撃するということは、法理上、これまで基本的に日本周辺に限られていた武力の行使の地理的限定がなくなり、外国の領域における武力の行使、すなわち海外派兵を否定する根拠もなくなることを意味します。」
(出典:国家賠償請求訴訟 平成28年(ワ)13525号 2016年4月26日 訴状裁判資料・国家賠償請求訴訟安保法制違憲訴訟の会
目 次 ※印は、上記引用文の記載箇所を示す。
第2 集団的自衛権の行使等を容認する新安保法制法は違憲であり、その制定に係る内閣及び国会の行為は違法であること
1 新安保法制法制定の経緯
2 集団的自衛権の行使が違憲であること
(1) 集団的自衛権の行使容認
(2) 憲法9条の解釈における集団的自衛権行使の禁止
(3) 閣議決定と新安保法制法による集団的自衛権行使の容認
※(4) 集団的自衛権行使容認の違憲性
(5) 立憲主義の否定
(索引:自衛隊の活動範囲の拡大,必要最小限の実力行使)

(出典:安保法制違憲訴訟の会
安保法制違憲訴訟の会(2016-)(Collection of propositions of great philosophers)
安保法制違憲訴訟の会(2016-)
安保法制違憲訴訟の会
検索(安保法制)
検索(憲法改正)
検索(憲法9条)

自衛のための必要最小限度の実行組織は「戦力」には当たらない。(1)日本への武力攻撃だけでなく、(1')日本との密接関係国に対する攻撃であっても、(1)と同じ危険がある場合には、(2)他に排除手段がなく、(3')必要最小限度の実力行使であれば自衛措置である。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)

安保法制を支持する政府の新解釈

【自衛のための必要最小限度の実行組織は「戦力」には当たらない。(1)日本への武力攻撃だけでなく、(1')日本との密接関係国に対する攻撃であっても、(1)と同じ危険がある場合には、(2)他に排除手段がなく、(3')必要最小限度の実力行使であれば自衛措置である。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)】
(4)政府の従来解釈
 (a)日本国憲法も、独立国が当然に保有する自衛権を否定するものではない。
 (b)自衛のための必要最小限度の実力組織である自衛隊は憲法9条2項の「戦力」には当たらない。
 (c)自衛権発動の3要件
  (c.1)日本に対する急迫不正の侵害があること、すなわち武力攻撃が発生したこと
   (c.1.1)従って、自国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利としての集団的自衛権の行使は、許されない。
  (c.2)これを排除するために他の適当な手段がないこと
  (c.3)必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと
   (c.3.1)従って、外部からの武力攻撃を日本の領域から排除することを目的とすることから、日本の領域内での行使を中心とし、必要な限度において日本の周辺の公海・公空における対処も許されるが、反面、武力行使の目的をもって自衛隊を他国の領土・領海・領空に派遣する、いわゆる海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されない。

(5)政府の新解釈
 (a)日本国憲法も、独立国が当然に保有する自衛権を否定するものではない。
 (b)自衛のための必要最小限度の実力組織である自衛隊は憲法9条2項の「戦力」には当たらない。
 (c)自衛権発動の新3要件
  (c.1)日本に対する急迫不正の侵害があること、すなわち武力攻撃が発生したこと。
   (c.1.1)従って、自国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利としての集団的自衛権の行使は、許されない。
  (c.1')しかし、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合
   (c.1'.1)この場合は、集団的自衛権の行使ではなく、憲法上許容される「自衛の措置」である。
  (c.2)これを排除するために他の適当な手段がないこと
  (c.3)必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと

「(3) 閣議決定と新安保法制法による集団的自衛権行使の容認
 ところが、政府は、平成26年7月1日、上記のこれまでの確立した憲法9条の解釈を覆し、集団的自衛権の行使を容認することなどを内容とする閣議決定(26・7閣議決定)を行い、これを実施するための法律を制定するものとしました。
 すなわち、「我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、①我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において、②これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに、③必要最小限度の実力の行使をすること」は、従来の政府見解の基本的な論理に基づく自衛のための措置として、憲法上許容されるとし、この武力の行使は、国際法上は集団的自衛権が根拠となる場合があるが、憲法上はあくまでも「自衛の措置」として許容されるものである、としたのです(上記①②③は引用者が挿入。これが「新3要件」といわれるものです。)。
 そして、新安保法制法による改正自衛隊法76条1項及び事態対処法2条4号等に、上記新3要件に基づく「防衛出動」との位置づけにより、この集団的自衛権の行使の内容、手続が定められるに至りました。」
(出典:国家賠償請求訴訟 平成28年(ワ)13525号 2016年4月26日 訴状裁判資料・国家賠償請求訴訟安保法制違憲訴訟の会
目 次 ※印は、上記引用文の記載箇所を示す。
第2 集団的自衛権の行使等を容認する新安保法制法は違憲であり、その制定に係る内閣及び国会の行為は違法であること
1 新安保法制法制定の経緯
2 集団的自衛権の行使が違憲であること
(1) 集団的自衛権の行使容認
(2) 憲法9条の解釈における集団的自衛権行使の禁止
※(3) 閣議決定と新安保法制法による集団的自衛権行使の容認
(4) 集団的自衛権行使容認の違憲性
(5) 立憲主義の否定
(索引:日本国憲法第9条,戦力,戦争,自衛権,自衛権発動の新3要件)

(出典:安保法制違憲訴訟の会
安保法制違憲訴訟の会(2016-)(Collection of propositions of great philosophers)
安保法制違憲訴訟の会(2016-)
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検索(憲法改正)
検索(憲法9条)

自衛のための必要最小限度の実行組織は「戦力」には当たらない。そのためには(1)日本への武力攻撃が発生し、(2)他に排除手段がない場合、(3)日本の領域内または周辺における必要最小限度の実力行使にとどめること。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)

安保法制成立前の政府の憲法解釈

【自衛のための必要最小限度の実行組織は「戦力」には当たらない。そのためには(1)日本への武力攻撃が発生し、(2)他に排除手段がない場合、(3)日本の領域内または周辺における必要最小限度の実力行使にとどめること。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)】
(1)自衛のための戦争を含めて、あらゆる武力行使を放棄して非武装の恒久平和主義を定めたものであるという解釈も存在する。
(2)自衛のための必要最小限度の実力の保持は憲法も許容しているとの解釈が、政府解釈の基本である。
(3)否定されるのは日本が当事者となってする侵略戦争のみであって、集団的自衛権の行使も許されるとする解釈も存在する。
(4)政府の従来解釈
 (a)日本国憲法も、独立国が当然に保有する自衛権を否定するものではない。
 (b)自衛のための必要最小限度の実力組織である自衛隊は憲法9条2項の「戦力」には当たらない。
 (c)自衛権発動の3要件
  (c.1)日本に対する急迫不正の侵害があること、すなわち武力攻撃が発生したこと。
   (c.1.1)従って、自国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利としての集団的自衛権の行使は、許されない。
  (c.2)これを排除するために他の適当な手段がないこと。
  (c.3)必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと。
   (c.3.1)従って、外部からの武力攻撃を日本の領域から排除することを目的とすることから、日本の領域内での行使を中心とし、必要な限度において日本の周辺の公海・公空における対処も許されるが、反面、武力行使の目的をもって自衛隊を他国の領土・領海・領空に派遣する、いわゆる海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されない。

「(2) 憲法9条の解釈における集団的自衛権行使の禁止憲法9条の解釈については、
A:自衛のための戦争を含めてあらゆる武力行使を放棄して非武装の恒久平和主義を定めたものであるという解釈から、
B:自衛のための必要最小限度の実力の保持は憲法も許容しているとの解釈、さらには、
C:否定されるのは日本が当事者となってする侵略戦争のみであって集団的自衛権の行使も許されるとする解釈まで、様々な立場があります。
そして、日本政府は、これまで、日本国憲法も独立国が当然に保有する自衛権を否定するものではなく、自衛のための必要最小限度の実力組織である自衛隊は憲法9条2項の「戦力」には当たらないとする一方で、その自衛権の発動は、①日本に対する急迫不正の侵害があること、すなわち武力攻撃が発生したこと、②これを排除するために他の適当な手段がないこと、③必要最小限度の実力行使にとどまるべきことの3つの要件(自衛権発動の3要件)を満たすことが必要であるとの解釈を定着させてきました。そして、政府は、自国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利としての集団的自衛権の行使は、この自衛権発動の3要件、特に①の要件に反し、憲法上許されないと解してきました。
 また、政府は、③の要件の自衛権による実力行使の「必要最小限度」については、それが外部からの武力攻撃を日本の領域から排除することを目的とすることから、日本の領域内での行使を中心とし、必要な限度において日本の周辺の公海・公空における対処も許されるが、反面、武力行使の目的をもって自衛隊を他国の領土・領海・領空に派遣する、いわゆる海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないとしてきました。
 すなわち、政府は、自衛隊による実力の行使は、日本の領域への侵害の排除に限定して始めて憲法9条の下でも許され、その限りで自衛隊は「戦力」に該当せず、「交戦権」を行使するものでもないと解してきましたが、それ故にまた、他国に対する武力攻撃を実力で阻止するものとしての集団的自衛権の行使は、これを超えるものとして憲法9条に反して許されないとされてきたのです。
 この海外派兵の禁止、集団的自衛権の行使の禁止という解釈は、昭和29年の自衛隊創設以来積み上げられてきた、一貫した政府の憲法9条解釈の基本原則であり、内閣法制局及び歴代の総理大臣の国会答弁や政府答弁書等において繰り返して表明されてきました。それは、憲法9条の確立された政府の解釈として規範性を有するものとなり、これに基づいて憲法9条の平和主義の現実的枠組みが形成され、「平和国家日本」の基本的あり方が形造られてきたのでした。」
(出典:国家賠償請求訴訟 平成28年(ワ)13525号 2016年4月26日 訴状裁判資料・国家賠償請求訴訟安保法制違憲訴訟の会
目 次 ※印は、上記引用文の記載箇所を示す。
第2 集団的自衛権の行使等を容認する新安保法制法は違憲であり、その制定に係る内閣及び国会の行為は違法であること
1 新安保法制法制定の経緯
2 集団的自衛権の行使が違憲であること
(1) 集団的自衛権の行使容認
※(2) 憲法9条の解釈における集団的自衛権行使の禁止
(3) 閣議決定と新安保法制法による集団的自衛権行使の容認
(4) 集団的自衛権行使容認の違憲性
(5) 立憲主義の否定
(索引:日本国憲法第9条,戦力,戦争,自衛権,自衛権発動の3要件)

(出典:安保法制違憲訴訟の会
安保法制違憲訴訟の会(2016-)(Collection of propositions of great philosophers)
安保法制違憲訴訟の会(2016-)
安保法制違憲訴訟の会
検索(安保法制)
検索(憲法改正)
検索(憲法9条)

ある状況が明確に予見できるにもかかわらず、違憲かどうかの判断を回避し、現状の政治的判断を黙認するならば、それは裁判官による不当な一つの政治的選択であり、憲法尊重義務違反でもある。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)

裁判官の憲法尊重義務

【ある状況が明確に予見できるにもかかわらず、違憲かどうかの判断を回避し、現状の政治的判断を黙認するならば、それは裁判官による不当な一つの政治的選択であり、憲法尊重義務違反でもある。(平成28年(ワ)13525号 国家賠償請求事件 2016年4月26日 訴状)】
「裁判所には違憲立法審査権があり、裁判官には憲法を尊重し、擁護する義務があります。今回の新安保法制法に基づく自衛隊の出動等により具体的被害が出てからでは遅いのです。そして、外国の軍隊と共同作戦をとるなどの集団的自衛権行使の既成事実ができてしまえば、裁判所において違憲と判断をした場合の政治的影響が極めて大きくなり、その判断も難しくなります。裁判所におかれては、違憲であることが明白な新安保法制法を黙認することなく、既成事実の作り上げに手を貸すことをせず、憲法と平和を守りたいとの国民・市民の願いに応えるともに、内閣総理大臣の求める裁判所としての判断を行い、新安保法制法が違憲であることの判断をされることを強く願っております。」
(出典:国家賠償請求訴訟 平成28年(ワ)13525号 2016年4月26日 訴状裁判資料・国家賠償請求訴訟安保法制違憲訴訟の会
目 次 ※印は、上記引用文の記載箇所を示す。
【法律の題名の略称】
※【原告たちの思い】
(索引:裁判官の憲法尊重義務,憲法判断,政治的選択)

(出典:安保法制違憲訴訟の会
安保法制違憲訴訟の会(2016-)(Collection of propositions of great philosophers)
安保法制違憲訴訟の会(2016-)
安保法制違憲訴訟の会
検索(安保法制)
検索(憲法改正)
検索(憲法9条)

安保法制の違憲訴訟は、国民運動の一環である。裁判に勝つことは必要だが、たとえ負けても、裁判を通じて世論を形成し、最終的には国会で、安保法制を廃止するための一手段であることを忘れないこと。(安保法制違憲訴訟の会)

政治過程と司法

【安保法制の違憲訴訟は、国民運動の一環である。裁判に勝つことは必要だが、たとえ負けても、裁判を通じて世論を形成し、最終的には国会で、安保法制を廃止するための一手段であることを忘れないこと。(安保法制違憲訴訟の会)】
「五 国民運動の一環であること

さらに私たちは、この裁判の目的が、単に違憲判決を得ることに尽きるものではないことも明確にしておきたいと思います。すなわち、裁判を通じて社会にインパクトを与えながら世論を形成し、政治過程を通じて違憲状態を矯正することにも重きを置きたいと考えています。

このような裁判の政策形成機能は、具体的には嫌煙権訴訟(東京地裁昭和62年3月27日)が、原告敗訴にもかかわらず禁煙車両の増設をもたらした例、砂川裁判闘争において、一審の伊達判決が日米政府を動揺させ、ひいては、67年の美濃部都政誕生を潮目に、69年、米軍の拡張計画断念に至った例など、枚挙に暇まがありません。「裁判で勝つ」ことのみならず、「裁判を通じて勝つ」ことも車の両輪として重視しています。

たとえ裁判所が違憲判断をしたとしても、違憲判決を国会が無視して放置すれば、もはや法律家はどうすることもできません。尊属殺違憲条項ですら法改正まで22年間も放置されました。この安保法制も最終的には国会で廃止するしかありません。もともと裁判所の違憲判断はそのための一手段にすぎないのです。ですから今回の違憲訴訟も国会での廃止に向けた運動の一環であることは明らかであると考えています。」
(出典:私たちが安保法制の違憲訴訟を提起する意義について(4)安保法制違憲訴訟の会
(索引:安保法制,国民運動,司法,世論)

(出典:安保法制違憲訴訟の会
安保法制違憲訴訟の会(2016-)(Collection of propositions of great philosophers)
安保法制違憲訴訟の会(2016-)
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安保法制は、政治過程を通じた廃止の追求とともに、司法ルートからも訴訟提起する必要がある。基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする弁護士は、現状を座視することは許されない。(安保法制違憲訴訟の会)

弁護士の責務

【安保法制は、政治過程を通じた廃止の追求とともに、司法ルートからも訴訟提起する必要がある。基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする弁護士は、現状を座視することは許されない。(安保法制違憲訴訟の会)】
「三 法律家としての弁護士の職責
次に私たちは、訴訟提起をせずに現状を座視することは、法律家としての弁護士の職責を全うすることにならず、むしろ安保法制の現状追認と評価されてしまうことを強く危惧しました。弁護士の使命は、弁護士法一条一項が示すように、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することにあります。」
「市民とともに声を上げ選挙など政治過程を通じて安保法制を廃止に追い込むことはぜひとも追求していかねばなりません。しかし、法律家にしかできないこともあるはずです。司法のルートからこの違憲立法を廃止する訴訟を推し進めることは、まさに法律家にしかできないことであり、法律家として行動しなければならないことと考えています。」
(出典:私たちが安保法制の違憲訴訟を提起する意義について(3)安保法制違憲訴訟の会
(索引:安保法制,弁護士,政治と司法)

(出典:安保法制違憲訴訟の会
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