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2018年7月28日土曜日

複合性局所疼痛症候群Ⅱ型(CRPS-Ⅱ型)、すなわち慢性疼痛は卒中患者の約10%に見られ、また、中手骨のひびが原因で起こることもある。これは学習された痛みで、鏡の視覚フィードバック(MVF)による治療の効果が実証されている。(ヴィラヤヌル・S・ラマチャンドラン(1951-))

慢性疼痛

【複合性局所疼痛症候群Ⅱ型(CRPS-Ⅱ型)、すなわち慢性疼痛は卒中患者の約10%に見られ、また、中手骨のひびが原因で起こることもある。これは学習された痛みで、鏡の視覚フィードバック(MVF)による治療の効果が実証されている。(ヴィラヤヌル・S・ラマチャンドラン(1951-))】

 「MVFの臨床応用例はほかにも続々と増えているが、その一つは、奇妙な疼痛障害に関係する。この障害は名前も奇妙で、複合性局所疼痛症候群Ⅱ型(CRPS-Ⅱ型)というが、これは「すごい。どんなものか見当もつかない」という効果をねらった言葉の煙幕にすぎない。どんな名前で呼ぼうが、実際はよくある障害で、卒中患者の約10パーセントに見られる。この障害には比較的よく知られている変型があり、そちらは、中手骨(手の骨)の一つに通常は害がない程度のごく細いひびがはいったというような、小さなけがのあとに起きる。もちろん手にけがをしたのだから、最初は痛いが、通常ならその痛みは骨が治るにつれて徐々に消えていく。しかし運の悪い一部の人たちは痛みが消えない。もともとのけがが治ったあとも、慢性的な強い痛みがやわらぐことなく、いつまでもずっとつづく。治療法はない――少なくとも私は、医学部でそのように教えられた。」(中略)「急性疼痛は、即座にストーブから手を引かせ、身体組織がそれ以上のダメージを受けるのを防止する。慢性疼痛は、治るまで骨折した手を動かさないようにさせ、けがの再発を防止する。
 学習された麻痺が動かない幻肢の説明になるなら、ひょっとするとCRPS-Ⅱは一種の「学習された痛み」なのかもしれないと私は考えはじめた。手を骨折した患者がいるとしよう。完全に治るまでの長いあいだ、手を動かすたびに痛みが走る。彼の脳はそのあいだずっと、「AならB」という不変のパターンを経験する。ここでのAは運動、Bは痛みである。したがってこの二つを表象するさまざまなニューロンをつなぐシナプス結合は、日々強化される――何か月もつづけて。そしてついには、手を動かそうとする試みそのものが、ひどい痛みを誘発するようになる。その痛みが腕のほうまで広がって、手を固めてしまう場合もある。そのようなケースの一部では、腕が麻痺してしまうだけでなく、実際に赤く腫れあがりはじめ、ズデック萎縮の場合には、骨まで萎縮しはじめる。これらはみな、心と体の相互作用がひどくゆがんでしまったあらわれとみなすことができる。
 私は1996年10月にカリフォルニア大学サンディエゴ校で主催した「脳の10年」のシンポジウムで、鏡の箱は幻肢痛に効果があるのと同様に、学習された痛みをやわらげるのにも役立つかもしれないと示唆した。」(中略)「それから数年後に、二つを研究グループがこれを試し、大多数の患者でCRPS-Ⅱの治療に有効であることを示した。」
(ヴィラヤヌル・S・ラマチャンドラン(1951-),『物語を語る脳』,第1章 幻肢と可塑的な脳,(日本語名『脳のなかの天使』),角川書店(2013),pp.61-62,山下篤子(訳))
(索引:慢性疼痛,鏡の視覚フィードバック)

脳のなかの天使



(出典:wikipedia
ヴィラヤヌル・S・ラマチャンドラン(1951-)の命題集(Collection of propositions of great philosophers)  「バナナに手をのばすことならどんな類人猿にもできるが、星に手をのばすことができるのは人間だけだ。類人猿は森のなかで生き、競いあい、繁殖し、死ぬ――それで終わりだ。人間は文字を書き、研究し、創造し、探究する。遺伝子を接合し、原子を分裂させ、ロケットを打ち上げる。空を仰いでビッグバンの中心を見つめ、円周率の数字を深く掘り下げる。なかでも並はずれているのは、おそらく、その目を内側に向けて、ほかに類のない驚異的なみずからの脳のパズルをつなぎあわせ、その謎を解明しようとすることだ。まったく頭がくらくらする。いったいどうして、手のひらにのるくらいの大きさしかない、重さ3ポンドのゼリーのような物体が、天使を想像し、無限の意味を熟考し、宇宙におけるみずからの位置を問うことまでできるのだろうか? とりわけ畏怖の念を誘うのは、その脳がどれもみな(あなたの脳もふくめて)、何十億年も前にはるか遠くにあった無数の星の中心部でつくりだされた原子からできているという事実だ。何光年という距離を何十億年も漂ったそれらの粒子が、重力と偶然によっていまここに集まり、複雑な集合体――あなたの脳――を形成している。その脳は、それを誕生させた星々について思いを巡らせることができるだけでなく、みずからが考える能力について考え、不思議さに驚嘆する自らの能力に驚嘆することもできる。人間の登場とともに、宇宙はにわかに、それ自身を意識するようになったと言われている。これはまさに最大の謎である。」
(ヴィラヤヌル・S・ラマチャンドラン(1951-),『物語を語る脳』,はじめに――ただの類人猿ではない,(日本語名『脳のなかの天使』),角川書店(2013),pp.23-23,山下篤子(訳))

ヴィラヤヌル・S・ラマチャンドラン(1951-)
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